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第2章 列島が育む食材 05-02.野菜―私たちは野菜のどの器官を食べているのだろう?:特別展「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」見聞録 その08
2024年02月09日、私は国立科学博物館を訪れ、一般客として、特別展「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」(以下同展)に参加した([1])。
野菜は食利用する器官によって、①葉を利用する葉菜類、②根を利用する根菜類、③茎を利用する茎菜類、④花や花の集まり(花序)を利用する花菜類、および、⑤果実を利用する果菜類の5つに分けられる。また、①・③・④をまとめて葉菜類あるいは葉茎菜類とする場合もある([2]のp.52-53)。
ジャガイモとサツマイモは外観が似ているが、食利用する澱粉を多く含む部分(イモ)の器官は異なり、ジャガイモでは茎(塊茎)(図08.01)、サツマイモでは根(塊根)(図08.02)となる。
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タマネギの食利用する部位は多くの層(一般的な品種では8枚)が重なっている。その層の正体は肥厚化した葉の付け根(葉柄)で鱗片葉と言い、一番外側の褐色の鱗片葉(鬼皮)を含めた全体を鱗茎と言う。鱗茎の中心部分にやや黄色みがかかった部分があり、それが後に地上に伸びる地上葉・花となる部分である(萌芽)。鱗片葉は水分と栄養分を含み、中心にある萌芽に供給する(図08.03)。
ちなみに、下部にあるドーム状の部分が茎に相当し、その下に根が付く。
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カブの食利用する大部分は生長した胚軸で、下部にある細い部分が根に相当する。胚軸は、発芽のとき子葉と幼根の間にあたる部分で、多くの植物では発芽後にほとんど生長しない(図08.04)。
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ダイコンの食利用する部分の上部は生長した胚軸、下部は根(主根)となる。 その胚軸と主根の境は明瞭ではないが、栽培しているときに地上に出ている部分が胚軸、地下にある部分が根にほぼ相当する(図08.05)。
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アスパラガスの食利用している部分は地上に出た直後の若芽の茎である。若芽が地上に出ると日光にあたるため、葉緑素が作られてグリーン アスパラガスになる。一方、若芽が地上に出る前に盛り土して日光に当てないようにすると葉緑素が作られないためホワイト アスパラガスになる(図08.06)。
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さらに詳しく知るためには、以下の本を読むことをお勧めする。
1.藤田智 編著.どこを食べているの?野菜.初版第1刷,株式会社 汐文社,2023年01月,56 p.
2.藤田智 編著.どこを食べているの?くだもの.初版第1刷,株式会社 汐文社,2023年03月,56 p.
参考文献
[1] 株式会社 朝日新聞社.“特別展「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」 ホームページ”.https://washoku2023.exhibit.jp/,(参照2024年12月31日).
[2] 特別展「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」ガイドブック,168 p.