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教育問題に関する私見と雑観

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私が書いた記事のうち、教育全般に関する個人的な意見などのものをまとめています。
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2023年1月の記事一覧

スクールカウンセラーやソーシャルワーカーと教員は両立できるわけがない

スクールカウンセラーやソーシャルワーカーと教員は両立できるわけがない

岸田総理が衆院予算委員会で心理・福祉の専門性持った教員の養成の制度設計に関して言及をしました。

萩生田政調会長は以下のように答弁をしています。

一見するとまっとうな指摘のように見えます。果たしてこうした施策は可能なのでしょうか。

スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーとはどんな仕事かスクールカウンセラー(SC)とはどんな仕事でしょうか。

日本国内においては、「スクールカウンセラー

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「超進学校は生徒が優秀だから進学実績が高い」のだから、教員の「質」は無関係と言えるか?

「超進学校は生徒が優秀だから進学実績が高い」のだから、教員の「質」は無関係と言えるか?

超進学校はその教育力が優秀だから伸びるのではなく、生徒が優秀だから進学実績が保たれているのだ、という主張があります。

これに関して連ツイを書き込んだのですが、それを整理してまとめてみようと思います。

大前提として、合格は本人の努力大学進学実績を喧伝する学校や塾は数多くありますが、合格した要因の最も大きな部分は言うまでもなく受験生本人の努力です。

指導がどれほど優れていたとしても、環境がいかに

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「共通テスト」の対策は「自学力」を高めることが最も効果的ではないか、という仮説

「共通テスト」の対策は「自学力」を高めることが最も効果的ではないか、という仮説

2023年度の共通テストが終了しました。

数学の平均点が20点以上上がったり、理科の得点調整が入るなど今年も波乱の結果になりました。

しかし、英語や数学の基本的な方針は変わらず、文章読解能力を含めた教科学力の確認、という方向性で一致しているようです。

さらに地歴などにもその基本方針の傾向がより鮮明に表れるようになりました。

数学の問題が「現代文」化しているという批判一昨年度から繰り返しなさ

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「女子の制服はスラックス選択可能」という非対称性

「女子の制服はスラックス選択可能」という非対称性

近年、多様性をの尊重意識が高まるのに伴って学校の校則や制服のあり方もまた変化しつつあります。

埼玉県の公立高校では、女子はスラックス選択が可能になるというニュースが報道されていました。

こうした動き自体には反対する余地は当然ながらありません。

しかし、同時に違和感を抱く部分も存在します。

「女子のみ」という非対称性記事を引用します。

このニュースを見ると、まるで性自認に関わる制服問題は解

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インクルーシブ教育を日本型学校教育システムに組み込むことが不可能な二つの理由

インクルーシブ教育を日本型学校教育システムに組み込むことが不可能な二つの理由

インクルーシブ教育を推進する勧告が国連から日本政府に対して出されるなど、近年インクルーシブ教育をいかに導入するかが問題になりつつあります。

この問題に関して、日本の学校教育制度とのマッチングの悪さを考察したいと思います。

インクルーシブ教育とはそもそも「インクルーシブ教育」という言葉に馴染の無い方も多いと思います。

簡単に言えば、障害のある児童、生徒をこれまでのように特別支援学校に分離して通

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教員免許のない第二新卒は教員を志望するわけがない

教員免許のない第二新卒は教員を志望するわけがない

東京都の教員採用試験が、教員免許を持たない25歳以上の社会人でも受けられるようになるというニュースが出ていました。

もともとは(といっても2022年導入のようですが)40歳以上を対象にした制度だったものの対象を広げるようです。

受験、合格後2年以内に教員免許を取得することが条件のようです。

従来の免許制度との整合性そもそも、教員採用試験は教員免許を取得した人が受験できる制度です。

この試験

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授業の準備に関する雑感:「長期休みで準備を完成する派」と「直前で準備する派」

授業の準備に関する雑感:「長期休みで準備を完成する派」と「直前で準備する派」

学校の教員にとって、授業の準備というのは最も重要な業務になります。

近年はこうした授業に付随する業務を行う時間が少ないことが、教員という職業にとっての課題になりつつあります。

この問題は現状で小学校、次いで中学校の教員の職務遂行を困難にする要因でもあります。

特に小学校ではその影響が顕著で、担任がすべての授業を行うことが原則であり、空き時間の無いケースも多いため授業準備まで手が回らず崩壊状態

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校内駐車で料金を徴収する制度と教員の業務の現状には齟齬が発生している

校内駐車で料金を徴収する制度と教員の業務の現状には齟齬が発生している

沖縄県、宜野湾市で教職員から校内駐車に関して有料化する条例が可決されました。

宜野湾市内に勤務する小中学校の教職員が校内に注射する場合、一定の料金を払う必要があるということです。

駐車場有料化は全国的な動き今回の条例に関して、教育のための学校敷地を駐車場として使うのは「行政財産の目的外使用」に当たるため、としています。

こうした制度は全国でも多く存在しているようです。

大都市などでは公共交

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高校数学における授業は「チョーク&トーク」が0-100ではなく、「ケースbyケース」

「アクティブラーニング」という言葉が流行ってから10年近くが経ちます。

また、新指導要領には「主体的・対話的で深い学び」という考えがその中心に据えられています。

こうした内容からも、授業や学習活動の中で生徒が自分の意志で主体的に参加し、能動的に行動することが求められています。

「チョーク&トーク」100%の古風な授業が未だに残る高校教育の現場こうした流れの中でもかつてから授業のやり方を全く変

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学校の課題としての「書初め」不要論と学校教育における「習字」の存在意義

学校の課題としての「書初め」不要論と学校教育における「習字」の存在意義

冬休みに宿題が出る学校は多いと思います。

特に小学生は多様な宿題が出ているようです。長期休暇の日記や図画工作の制作、作文などいろいろな宿題が出るようです。

その中でも正月色の強い宿題が「書初め」です。

「書初め」の宿題とは「書初め」を知らない人は少ないとは思いますが、一年の抱負や目標を習字の字として書き、心を新たにするというものです。

学校の宿題として出される「書初め」は一般的には全員に決

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