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マークの大冒険 現代日本編 終章 リトル・サンクチュアリ | ゴールデン・アフタヌーン、放課後はキミのいる古書店で
アイオーンの胸にロンギヌスの槍が突き刺さっていた。
「10年越しにやっと決着がついたな」
マークは胸にロンギヌスの槍が刺さったアイオーンを見て言った。
「目覚めの時が来る。キミは元の器に戻る。果実の代償は、夢から目覚めること。オリエンタル・ウィンドでの目覚め。指輪が持つ記憶の忘却は夢から覚めないための救済であって代償ではない。指輪は見たい幻想をいつまでも見させてくれる器」
「どういうことだ
キミがいた場所 | あの古書店での思い出
英国挿絵画家の世界については、自分が当時足繁く通っていた古書店に勤める英国出身の書店員からの影響が大きい。彼女は長く透き通ったブロンドの髪に、吸い込まれるような澄んだブルーの瞳をした、絵に描いたような美人だった。年齢は分からないが、さほど歳は離れていない気がした。
本棚と睨めっこし、アーサー・ラッカムの書籍を探していた時、彼女が「ラッカムのテイストが好きなら、ヒース・ロビンソンもいかが?あなたな
放課後オリエント | 考古学への目覚め
大学の頃、ちょうど必修と必修の間の空きコマに一般教養科目として考古学の授業があった。時間が合ったという理由だけで何となく取り、楽単だったらいいなという、やる気のない学生特有の淡い期待も抱いていた。授業開始が近づくと少し早めに赴いて最後列を確保した。これもやる気のない学生の習性である。
やる気のない学生は、やる気はないがこういうことにかけてはマメである。長い90分を少しでも快適に過ごすには場所取り
あの日のボクは | 赤点・受験日記
高校で成績が落ちて無気力になった時期があり、全く勉強をしなくなった。その結果、高2の頃に赤点を幾つも取り、次に赤点を取ったら留年というところまでいった。それから間もなくして学校では三者面談が行われ、担任から父にそのことが伝えられた。ボクは人生これで終わったと思った。死にたくなった。
めちゃくちゃに怒られる。勘当されるかもしれない。だが、父はそれを聞いても何も言わず、表情ひとつ変えなかった。教室か
キミがいた場所 | あの古書店での後日談
彼女がいなくなった後も、ボクはあの古書店に通い続けていた。ある時、店主が彼女のことについて話始めた。ボクはそれを流すように聞く振りをしていたが、内心ではとても気になっていた。
「どうしてあの時、何も言わなかったんだ?」
古書店のカウンターで手に取った本を眺めていると、向かい側で腰掛ける店主が唐突に呟いた。
「言わなかったって?」
「そりゃ、言わなくても分かるだろ、お前さん。何かしらアクショ
ビアトリクス ・ポターとピーターラビットに会いに行く
ビアトリク・ポターとピーターラビットに会いに行く
『出版120周年 ピーターラビット展』世田谷美術館
今回は、世田谷美術館で現在開催されている『出版120周年 ピーターラビット展』の展示の中で特に印象に残った作品をピックアップして紹介していく。今年2022年3月26日から開始された本展は、2022年6月19日まで開催されている。
最寄りの用賀駅から世田谷美術館は、徒歩で15〜20分ほどのところ
マークの大冒険 現代日本編 | 秘密を暴きし者
「それでは、今日はここまで。次回は貨幣を用いた考古学現場の年代推定についてだ。フォーラムにレジュメを上げておくので、各自、次回の授業までに目を通しておくように。それから再来週は、研究出張で休講予定となっている。詳細は追って連絡するので、そちらもフォーラムで確認しておくように」
教壇に立つマークは、聴講する学生たちに言った。講義の終わりを告げるチャイムが鳴り響き、学生たちは講堂の最前席に出席カード
マークの大冒険 現代日本編 | 秘密を語りし者
「......キミはどうして、ボクが果実を持っていると思ったんだい?」
「それは_____。全ての答えは、文献の中に既にある。教授の著作の言葉ですよ」
「それじゃあ、キミはボクがタイムトラベラーか何かで、いろんな時代を行き来してたって言うのかい?」
「はい。その通りです」
「そんな馬鹿げた話があるかい?」
「でも、それが事実です。そうした結果が現実としてある。エジプトのサッカラで起こった