Shelk🦋

考古学/ローマ帝国/古代エジプト/ギリシア・ローマコイン研究【著書】アンティークコインマニアックスhttps://books.mdn.co.jp/books/3219303004/ 【Twitter】https://mobile.twitter.com/Shelk_Shelk_

Shelk🦋

考古学/ローマ帝国/古代エジプト/ギリシア・ローマコイン研究【著書】アンティークコインマニアックスhttps://books.mdn.co.jp/books/3219303004/ 【Twitter】https://mobile.twitter.com/Shelk_Shelk_

マガジン

  • マークの大冒険 英仏百年戦争編

  • アンティークコインの世界

    前7世紀に世界で初めて金属製の円形コインがリディア(現在のトルコに位置した古都)で発行された。物々交換の効率の悪さから解放され、小さく軽く携帯しやすいコインによって人間はさらに商業を発展させていく。小アジアで誕生したコインは、その便利さから瞬く間に拡がっていった。そして、芸術表現を得意としたギリシア人がコインの図像を芸術の域にまで引き上げていく。その後、ギリシアのコインづくりの文化はローマへと受け継がれていった。ローマ人は権力の象徴としてコインを発行した。それゆえ、帝政期のコインには治世中のローマ皇帝の肖像が刻まれる。写真がない当時、コインの肖像は統治者が誰であるのかを民に知らしめる最大のメディアだった。

  • マークの大冒険 現代日本編

    大学卒業後、研究者のポストに付けず、うだつの上がらない日々を送っていたマーク。フリーのカメラマンとして何とか食い繋ぐも、生活はカツカツで、研究に勤しむ時間が取れず、気力さえも奪われていた。そんな彼の前に訪れた日常の中の非日常の物語。

  • ライトノベル マークの大冒険 もうひとつの歴史

    イングランド国教会が設立したアカデミーに通うマークは、英国式の蔦這う赤煉瓦造りの美しき校舎でキャンパスライフを送っていた。日本で初めてキュレーター養成過程(博物館・美術館の収蔵品を管理・分類・展示する国家資格)を設けたこの伝統校で、古代エジプト学の権威として著名な教授の授業を受けるべく入学したマーク。彼は憧れの教授に師事の下、大学のエジプト発掘調査隊に志願する。そして、彼は真夜中の発掘現場で古代エジプトの天空神ホルスを封印した器ウジャトを発見する。だが、遺跡への不正侵入とウジャトの盗掘で、翌朝にはおおごとになり、その事件が彼の人生を大きく変えることになる。ホルスと出会ったエジプト、黄金の果実を探し求めるギリシア、ブルートゥスのアウレウス金貨を手に入れるべく向かったローマ、そして、フランス革命時代の熱きパリ。世界中を旅する大冒険ファンタジーライトノベル。

  • 英国挿絵画家の世界

    20世紀、英国では絵本挿絵の黄金時代が訪れた。この時のアーティストらを超える新人はいまだ現れていない。それくらい当時のレベルは高く、今日に名を残すスーパースターたちが誕生した。ここではそんな英国挿絵画家たちの軌跡をたどり、彼らの作品の真髄に迫る。

最近の記事

第1回ロンドン万国博覧会カタログ

第1回ロンドン万国博覧会カタログの一部を撮影したので公開する。本書は公認の3巻組カタログ「The Industry of all Nations 1851. The Art-Journal, Illustrated Catalogue(1851年万国博覧会:図解付公式要覧)」である。 1851年開催当時の図録で、現在では稀覯本。英国リドニー美術学校の旧蔵品で、背皮装が施されている。第1回ロンドン万博は世界初の万博で、集客・収益共に大成功を収めた。ロンドンのハイドパークに建設

    • 西洋絵画入門 | 国立西洋美術館の常設展を巡る

      今回は表題の通り、東京・上野にある国立西洋美術館の常設展で現在展示されている西洋絵画を紹介する。常設展の中から30点をピックアップした。今年2024年には西洋絵画に新収蔵品が2点加わったので、そちらも併せて紹介していく。 まず始めに前提知識として入れておきたいのが、当初、西洋絵画には宗教画、歴史画、風景画、静物画の順で明確な序列があり、印象派のような日常風景を描いたものは数少なく評価も低かった。印象派が今日ここまで評価されている所以は、単なる絵画としての質や美しさに限らず、

      • アンティークコインの世界 | ヴィクトリア女王のヤングヘッド試作クラウン銀貨

        今回は表題の通り、ヴィクトリア女王のヤングヘッドの試作クラウン銀貨を紹介していく。天才彫刻師ウィリアム・ワイオンによって手掛けられた本貨は、ヴィクトリア朝時代のイギリスを代表する貨幣のひとつとして多くのコイン収集家から愛好されている。 肖像の周囲にはラテン語で、VICTORIA DEI GRATIA 1844 W WYON RA(ヴィクトリア女王、神の恩寵を受けし者、1844年、ウィリアム・ワイオン)と打たれている。ヴィクトリアがディアデマという鉢巻状の冠を戴く姿が描かれて

        • キリストと十二使徒 | Christ and the Twelve Apostles

          今回は表題の通りキリストと十二使徒をテーマとし、彼らの名や経歴を簡単にまとめた。以下では、キリストの重要人物及び十二使徒の名の下部に各々のアトリビュートを示している。アトリビュートは絵画や工芸品の中で特定の者を表す際のお決まり事の持ち物である。文字を使わなくとも、この持ち物で描かれている者が誰であるかのかを判別できるように用意されている。 ヨセフの子イエス、ナザレのイエス、イエス・キリスト 魚、聖書 イエスは、ヤーウェは救うの意。ダヴィデ王の末裔で、大工を営んでいたナザレの

        マガジン

        • マークの大冒険 英仏百年戦争編
          4本
        • アンティークコインの世界
          84本
        • マークの大冒険 現代日本編
          18本
        • ライトノベル マークの大冒険 もうひとつの歴史
          95本
        • 英国挿絵画家の世界
          17本
        • マークの大冒険 フランス革命編
          21本

        記事

          アンティークコインの世界 | スラブの読み方 NGC Ancients ネガティヴコメントとは

          今回は表題の通り、NGC Ancientsのネガティブコメントについて紹介していく。英語表記であることやコインの専門用語であることも相まって、その言葉の意図が正直よく分からないと感じたことは古代コイン収集家であれば誰もが一度は経験しているのではないだろうか。そこで、今回はNGC Ancientsに見られるネガティヴコメントを解説したい。ネガティブコメントとはその言葉通り、グレーディングされたコインに対しての否定的な要素、すなわち欠点を示したものである。以下、筆者のコレクション

          アンティークコインの世界 | スラブの読み方 NGC Ancients ネガティヴコメントとは

          マークの大冒険 現代日本編 | 遣わされし者 第15使徒と幸運の6ペンス

          「アイ......オーン......」 夜はそう呟くと地面に倒れ込み、彼女が持っていた果実は足元に落ちて転がった。だが、その果実を拾い上げる者がいた。果実を拾い上げた者は、倒れた夜の背後から急に姿を現した。男は茶色の亜麻布製ローブを着ており、フードを深く被っていた。顔には影が落ち、よく見えないが、彼はフードを下ろしてマークの方をぼんやりと見つめた。 「久しぶりだね、マーク」 「アイオーン.....!?」 マークはかつて倒したはずのアイオーンの出現に驚きを隠せず、その恐

          マークの大冒険 現代日本編 | 遣わされし者 第15使徒と幸運の6ペンス

          アンティークコインの世界 |ヘンリー6世のグロート銀貨

          今回紹介するのは、表題の通りヘンリー6世のグロート銀貨である。ヘンリー6世はシェイクスピアの作品にも登場する中世イングランドの国王で、父ヘンリー5世の急死により新生児で戴冠した幼年王だった。 少年王ヘンリー6世の肖像を描いたグロート銀貨。10歳頃の彼を描いている。この種は未使用品でも最初から打ちが悪く、肖像が不明瞭な個体が大半を占めるが、本貨は鼻筋まではっきりと顔が打ち出された良個体の珍品。この時代の英仏のコインは金貨より銀貨の方が珍しく、加えてF〜VFが多くを占め、状態が

          アンティークコインの世界 |ヘンリー6世のグロート銀貨

          アナスタシア伝説 ロマノフ王家の滅亡

          今回は表題の通り、ロシア帝国の都市伝説のひとつアナスタシア伝説について紹介していく。ロシア皇女アナスタシアは処刑されたが、実はどこかで生きているという生存伝説が根強かった。偶然にもアナスタシアという名は「復活する者」を意味し......。そして、彼女本人を名乗る者がついに現れる。永遠の伝説の真相に迫る! ロマノフ王家ニコライ2世の第4皇女アナスタシア。1917年のロシア革命で臨時政府により一家と共に幽閉される。1918年にエカテリンブルクのイパチェフ館で家族と共に処刑された

          アナスタシア伝説 ロマノフ王家の滅亡

          書簡で読み解くマリー=アントワネット王妃とフェルセン伯爵

          表題の通り、今回は書簡を通じてマリー=アントワネット王妃とフェルセン伯爵の二人の関係性について紐解いていく。様々な噂がされた二人だが、その真相はいかなるものなのだろうか。 マリー=アントワネットとフェルセンの関係性については、長らく議論が交わされてきた。二人は当時から愛人関係にあると噂されていたが、決定的な証拠があったわけではなく、フェルセンは王妃の親しい友人の一人にすぎないという反論もあった。王妃の美徳や清廉潔白を信じる人々もおり、長きに亘って二人の関係性については議論さ

          書簡で読み解くマリー=アントワネット王妃とフェルセン伯爵

          マークの大冒険 現代日本編 | 新たに旅立つ者

          前42年、古代ローマ、フィリッピにて____。 ローマのフィリッピでは、激しい戦いが繰り広げられていた。そこでは若き日のマークが、今まさに黄金の果実を使おうとしていた。 「アムラシュリングにあんな使い方が?あの時のボクより確実に賢い。いや、未来から来たボクが関わり、この戦いの中で急激に成長したのか?」 マークは、若き日のマークの戦い方が自分の記憶より格段に上であることに違和感を覚えていた。 「黄金の果実の使い方は知ってるぞ。キミにボクは倒せない」 若き日のマークは、

          マークの大冒険 現代日本編 | 新たに旅立つ者

          アンティークコインの世界 | 王になり損ねた者たち

          今回の表題「王になり損ねた者たち」とは、ルイ16世とマリー=アントワネットの間にできた二人の息子、長男ルイ=ジョゼフと次男ルイ=シャルルを指す。彼らは王太子として生まれ、将来のフランス国王の地位を期待されたが、両者共に夭折した。夭折した二人の情報は王太子であるにもかかわらず、意外にも少ない。今回紹介する2枚のメダルは、そんな彼らについてを現在に伝える貴重な情報源のひとつと言えよう。 フランス王国で発行されたルイ=ジョゼフ誕生記念メダル。ルイ16世とマリー=アントワネット王妃

          アンティークコインの世界 | 王になり損ねた者たち

          マークの大冒険 追憶のバルベーロー編 | セイント・マリアの苦悩

          マークが突如現れた丘に向かうか躊躇している時、背後から声がした。 「マーク、行ってはいけない」 「誰だ?」 「マリアよ」 「セイント・マリア?」 「そう。いつもあなたを見てたわ。そして、必ずここに辿り着くことも。あの食堂からずっと見てた」 「方舟食堂のステンドグラス?」 「そう。あなたの受難の旅もこれで終わり」 「やっぱり、あなたがここにいるということは、あの丘の人影はキリストと使徒たちで間違いないみたいだね」 「ええ、あの子は彼らと共に苦から人類を解放

          マークの大冒険 追憶のバルベーロー編 | セイント・マリアの苦悩

          アンティークコインの世界 | ルイ16世とマリー=アントワネットの成婚記念メダル

          フランス王国で1770年に発行されたルイ16世とマリー=アントワネットの成婚記念メダル。15歳のルイ16世と14歳のマリー=アントワネットを描いている。300年間に亘り争い合っていたフランスとオーストリアの両国が歩み寄り、和睦のしるしとして行った政略婚で、この歴史的出来事は世界に衝撃を与えた。 表側にルイ16世とマリー=アントワネットの胸像、裏側には二人が手を取り合う姿が描かれている。彼らの足元にはブルボン家の家紋である白百合を描いた盾とオーストリアの国章である鷲が配されて

          アンティークコインの世界 | ルイ16世とマリー=アントワネットの成婚記念メダル

          アンティークコインの世界 | ジョゼフィーヌの1フラン試作白銅貨

          今回紹介するのは、フランス領マルティニーク島の1フラン試作白銅貨。試作貨とは、発行元の造幣局が流通貨の製作段階に試し打ちしたもので、Pattern(パターン)とも呼ばれる。マルティニークの貨幣は、カウンターマーク品を除いては、この1フランに加え、50サンチームの2種の額面だけである。通常貨の方も稀少で、状態の優れるものは市場で高額で取引されている。 マルティニークの1フラン試作白銅貨は、ナポレオン1世の最初の妻ジョゼフィーヌの肖像を描いている。彼女はマルティニーク出身だった

          アンティークコインの世界 | ジョゼフィーヌの1フラン試作白銅貨

          今日の出来事 | スラヴ文化とオフィス・ラヴ?

          「スラヴ」という東欧の民族や言語を総称する言葉がある。スラヴ文化に興味を持ち、本を探していた。だが、書店の端末で検索すると、お目当てのスラヴと一緒に「オフィス・ラヴ」というワードも拾ってしまう。そして、オフィス・ラヴがタイトルに入った書籍が何たる多いこと。画面越しに一人で笑ってしまった。 しかし、この状況はまずいと思った。学術的な検索をしたはずが、これを見られたらオフィスでの熱愛に憧れる欲求不満な破廉恥人間と疑われる可能性がある。笑いを堪えてニヤけているのだから、なおさら変

          今日の出来事 | スラヴ文化とオフィス・ラヴ?

          マークの大冒険 現代日本編| End of the Sanctuary, Final Episode-True End

          アイオーンの胸にロンギヌスの槍が突き刺さっていた。 「10年越しにやっと決着がついたな」 マークは胸にロンギヌスの槍が刺さったアイオーンを見て言った。 「目覚めの時が来る。キミは元の器に戻る。果実の代償は、夢から目覚めること。オリエンタル・ウィンドでの目覚め。指輪が持つ記憶の忘却は夢から覚めないための救済であって代償ではない。指輪は見たい幻想をいつまでも見させてくれる器」 「どういうことだ?」 「私は、キミに殺されるために生まれてきた。マーク、私はキミで、キミは私。

          マークの大冒険 現代日本編| End of the Sanctuary, Final Episode-True End