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    「葬送のフリーレン」を視聴して感じたことのメモたち。

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アーレント『人間の条件』を読む#2/一旦プロローグに戻る

一度挫折したハンナ・アーレントの『人間の条件』を読み直しながら、思ったことや感じたことを書いておく。それだけの記事の2回目。 (※素人の感想なので、見当違いな解釈が多分に含まれます。ご注意を。) ●前回の反省から 前回、『人間の条件』を読む、の最初の記事を書いた。 そこで、最初の節「1.1 Vita Activa and the Human Condition」を読んだが、結局「Vita Activa(活動的生)」と「Human Condition(人間の条件)」の関係が

    • アニメ『ダンダダン 7話』 優しい世界へ/ろくでもない美しいものと、優しい世界

      アニメ『ダンダダン』7話視聴。凄い回だった。とりあえず何か書いておきたいので、ぜんぜん考えは纏まっていないけど、いま思っていることをメモしておく。 #ネタバレあり ●感動ポルノ的なものではない、という確信 「感動ポルノ」という言葉がある。Wikipediaによると「主に身体障害者が健常者に同情・感動をもたらすコンテンツとして消費されることを批判的に表した言葉」だ。「感動」は快感を伴うので、安易に感動を味わえるドラッグ的なものが作られたりする。だから「泣かせに来る演出」を見

      • 『アオのハコ』6話/雛ってそういう奴じゃん。断ち切る言葉と覚悟について

        アニメ『アオのハコ』5話視聴。雛の回。雛の気持ちにとても共感する回だった。そして彼女の覚悟が決まるまでのお話が良く出来ていて、色々考えさせられた。思ったことをメモしておく。 #ネタばれあり ●「叶わない願い」と戦うしかない雛 足を捻った雛は大喜の肩を借りて歩きながら「やめてよ、気づきたくないんだって」と心の中でつぶやく。雛は「好き」という気持ちを受け入れられずにいる。もし受け入れたら「自分を好きになって欲しい」と思ってしまう。でもそれは「叶わない願い」だ。 私たちは「叶わ

        • 『アオのハコ』5話感想/気持ちをつかみ損ねる「ズレ」の重要性

          アニメ『アオのハコ』5話視聴。大喜、千夏先輩、雛、3人はそれぞれ「相手の気持ち」を想像して行動する。でもそれはズレている。そのズレが物語を動かしてゆく。気持ちを想像するときに生まれる「ズレ」。それのせいで私たちは見当違いの努力をする。でもそれが無ければ、人と人の関係性は深くならない。そのズレは私たちにとって重要なものなのだろう。5話で感じた「ズレることの前向きな意味」について、思ったことをメモしておく。 #ネタばれあり ●大喜と千夏先輩の間のズレ 大喜は「千夏先輩が水族館

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        記事

          『アオのハコ』4話感想/千夏先輩の不安と、試合に集中する得点係

          アニメ『アオのハコ』4話視聴。千夏先輩と大喜がちょっとギクシャクした回。でもそれによって、千夏先輩には大喜が必要なのだと感じられる回だった。それとは別に、OPの「試合に集中する得点係の絵」に、私はなぜかずっと惹かれる。いいシーンだなぁ、と思う。そして「今回のギクシャクの原因」と「得点係に惹かれる理由」には、つながりがある気がする。思ったことをメモしておく。 #ネタばれあり ●ギクシャクは誤解に見えるけど誤解じゃない バド地区予選前夜、落ち着かない大喜を千夏先輩は励ます。安

          『アオのハコ』4話感想/千夏先輩の不安と、試合に集中する得点係

          アーレント『人間の条件』を読む#1(Vita Activaってなんだ)

          ハンナ・アーレントの『人間の条件』は、私が数年前に挫折した本。重要なことが書いてある気がするのだけれど、読んでいて腹落ちしない。腹落ち以前に「著者が言いたいこと」をずっと掴み損ねている気がする。でもずっと気になっている本。こんなにずっと気になっているのは、きっと何かの縁だろうから、せっかくなのでまじめに読み直すことにする。Kindleで英語版も購入した。気合を入れるために、感じたことを記事にしてみる。(※素人の感想なので、見当違いな解釈が多分に含まれます。ご注意を。) 1章

          アーレント『人間の条件』を読む#1(Vita Activaってなんだ)

          『アオのハコ』3話感想/爽やかな嫉妬とうなぎ説

          アニメ『アオのハコ』3話視聴。主人公が嫉妬する回。なのに最後まで爽やかだった。リアルな嫉妬の描写は自分の嫉妬心を思い出させる。嫌な気持ちを思い出すはずだ。なのに、こんなに爽やかな気持ちで「嫉妬回」を見れるのはおかしい。そこには秘密があるはずだ。感じたことをメモしておく。 #ネタバレあり ●大喜という人間が分かる一言 主人公の大喜は、千夏先輩と針生先輩の仲が良くて嫉妬する。二人はお互い好きなのかもしれない。そう思うと、すべてがそう見えてくる。これは良くない流れだ。見ている私

          『アオのハコ』3話感想/爽やかな嫉妬とうなぎ説

          アニメ『アオのハコ』感想/手が届かないものにだけ、人は憧れることが出来る

          アニメ『アオのハコ』を2話まで視聴。とても素晴らしい。「憧れ」というものをこんなに真正面から描く作品は久しぶりな気がする。誰かに憧れることは幸せだ。もし、みんなが誰かに憧れていることができれば、それ幸せな世界になる気がする。憧れにはそういう力があるんじゃないだろうか。そういうことを感じる作品だ。考えたことをメモしておく。 #ネタばれあり ●憧れは誰も不幸にしない幸せ この物語の中では、すべてが輝いて見える。憧れの先輩も、体育館ですらも。もちろん私はそんな経験はない。私が知

          アニメ『アオのハコ』感想/手が届かないものにだけ、人は憧れることが出来る

          映画『ふれる。』感想/気持ちが伝わるという奇跡

          映画『ふれる。』を見た。とても興味深い作品だった。 題名からわかるとおり「人と人とのつながり」を扱っている。そこまでは分かりやすい。でもこの作品は、何かをわかりやすく主張したりしない。何かの「答え」を期待すると肩透かしを食らうだろう。結局何が言いたかったんだ?と思うかもしれない。カタルシスも少なめだ。あー面白かった、というタイプの作品じゃない。だけど余韻が後を引く。見た後に色々考えさせられる作品だ。 YOASOBIの主題歌「モノトーン」が最後に流れる。物語を見た後の、この歌詞

          映画『ふれる。』感想/気持ちが伝わるという奇跡

          冴えない日常のメモ

          夜10時までに寝る約束を息子は守らなかった。 「約束は守れ。ロボットを買うとき約束しただろ!」 私は怒鳴る。小5相手に本気で怒鳴る。 「嫌だ。そんな約束、守りたくない。」 そう息子が叫ぶ。 そして泣きながら自分の部屋に駆け込み プラモデルのロボットを破壊する。 「こんなの、もう要らない!」 私はとても悲しくなる。 ロボットを買ってあげたときには、 息子の気持ちに近づいた気がしていた。 でも、もう気持ちは遠く離れてしまっている。 息子との間には「超えらない壁」が立ちはだかって

          冴えない日常のメモ

          夏を感じる『マケイン』を『あの花』と比べてみる/幼馴染と新たな仲間

          アニメ『負けヒロインが多すぎる!(マケイン)』の最終回が放映された。とても夏を感じる作品だった。夏を感じると言えば、個人的には『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。(あの花)』だ。こっちも最近再放送されていた。この二つは共通する部分が多い。でも重要な点で違っていている。思ったことをメモしておく。 #ネタバレあり ●『マケイン』と『あの花』の雑な説明 『マケイン』は、友達ゼロの「ぼっち主人公」が、3人の失恋の目撃者となり、けっこう深く関わることになってゆく物語だ。よくで

          夏を感じる『マケイン』を『あの花』と比べてみる/幼馴染と新たな仲間

          『負けヒロインが多すぎる』11話#2/「約束としての誓い」と「祈りとしての誓い」

          『負けヒロインが多すぎる』11話が凄かった。いろいろ考えさせられた。もう感想記事を書いたけのだど、その後、温水のモノローグについて、そしてずっと感じていた温水の変なバランス感覚について色々考えた。せっかく考えたので、それもメモしておく。 #ネタバレあり ●誓いとモノローグの矛盾 11話で小鞠と温水は、気持ちがすれ違って関係が壊れそうになる。小鞠はかたくなに一人で部長の仕事を全部やろうとして、助けようとする温水の行動は裏目に出る。温水はずっと小鞠の気持ちが分からない。でも最

          『負けヒロインが多すぎる』11話#2/「約束としての誓い」と「祈りとしての誓い」

          『負けヒロインが多すぎる』11話/誰かと向き合うには、まず自分を晒せ。

          『負けヒロインが多すぎる!』11話視聴。とにかく凄い回だった。人の心の深いところを描いてくる。気軽に見れるアニメなのに、こんなにいろいろ考えさせられることになるとは。温水と小鞠のやりとり、そして温水を見守る佳樹と八奈見について、くどくどと考えたことをメモしておく。 #ネタバレあり ●失敗して学べばよい、という落とし穴 小鞠は部長会に向けて、人前で話す練習をする。が、極端に緊張してうまくいかない。その姿を見ていた温水は心配になる。小鞠に向かって「無理をするな」と言う。今回は

          『負けヒロインが多すぎる』11話/誰かと向き合うには、まず自分を晒せ。

          『負けヒロインが多すぎる』10話/物足りない温水の良さと、良くないところ。

          『負けヒロインが多すぎる!』10話視聴。小鞠の健気さと、その陰で寄り添う温水の立ち振る舞いが心地よい。でも温水の言動には「物足りない」と感じさせるものがある。温水の「物足りなさ」について、感じたことを書いておく。 #ネタバレあり ●温水の物足りなさの正体 10話で温水の物足りなさを感じたのは、小鞠に「少しは褒めさせろ」と言われたくだりだ。それはおれじゃなくて朝雲さんだ。それは月之木先輩だ。温水はまるで手柄をすべて他の人に譲ろうとしているかのようだ。言っているのは本当のこと

          『負けヒロインが多すぎる』10話/物足りない温水の良さと、良くないところ。

          負けヒロインが多すぎる!9話/「強がり」が心を打つ理由。

          『負けヒロインが多すぎる!』9話視聴。月之木と玉木に「自分は大丈夫だ」と伝えたい。その思いから小鞠は無理をする。その心理は、八奈見にも焼塩にも通じるもの。負けヒロインたちは強がるのだ。そしてその強がる姿というのはエモい。なぜエモく感じるのか、思ったことを書いておく。 #ネタバレあり 小鞠はコミュニケーションが苦手で、知らない人とうまく話をすることができない。それでも月之木と玉木の期待に応えたい。次期部長としてツワブキ祭の展示を成功さたい。そう思って頑張る。学校で居場所を作

          負けヒロインが多すぎる!9話/「強がり」が心を打つ理由。

          映画『きみの色』を見て「色とは何か」について悶々と考える。

          ※注:悶々と考えたことをメモしただけの記事。考えが纏まってないし、結論もないです。 #ネタバレあり。 映画『きみの色』の主人公たちはそれぞれ3原色の色を持っている。3原色とは「割合を変えて混合すれば、すべての色を表すことができる、基本となる三つの色」。つまり私たちの見る色はすべて、3原色の混合であらわすことができる、ということ。でもそれには疑問が浮かぶ。 色とはスペクトラム(連続的なもの)だ。なのに、すべての色は「3つの色」に還元できる、ということだろうか。自然の中に「

          映画『きみの色』を見て「色とは何か」について悶々と考える。