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🔲通信創作集

36
1990年代、57号まで出した個人通信「🔲通信」の中からセレクト。
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2019年7月の記事一覧

詩(道尽きて)

道尽きて 陽は天にあり 世界はわたくしを立たせ 走る地平がないのなら 犬のように穴を掘り こ…

るーとら
5年前
1

詩(夜明の寒さに目覚めれば)

                                     夜明の寒さに目覚…

るーとら
5年前
2

詩(猿 が 哭 く)

  夜中に 猿が哭いている。 寒く 梢をゆらして、 猿が哭いている。 私は笛だ。 だれが …

るーとら
5年前

詩(空 の 深 さ)

また来た秋に 遠のいて 空の深さを 浴びてみる 欲しかったのは 消えない野原 ただ手のひらを…

るーとら
5年前

詩(光 る 乗 客)

  線路はカーブで いつも私の前を 斜めに 傾いて  光る乗客を運んだ その後には 深い闇が…

るーとら
5年前
1

詩(「恋する惑星」)

    魚だったんです。眠れぬ夜の。水の中にも風は吹く。  星の光が水底に届く時刻でした…

るーとら
5年前

詩(老 子)

疲れた 部屋の壁も天井も疲れた いちにち 錆びた身の節々 むこうの道から老子が 童子の姿でやってくる その瓢箪の酒 それだけはもらう 竹の葉はさらさ 水無しの川原 寄らば斬る 寄らば斬るぞ 木橋に月 満ち欠けて いちにち 満ち干た海 砂の上 砂の貝 貝を食べ 眠る 眠れよ

詩(夜の蝉)

熱を持つ暮らしの疲れ ひからびた魂の臥所に 狂った蝉が鳴いている 銀の箔銅の箔樹上に乱し …

るーとら
5年前

詩(蒼空)

身もこころも 蒼空にあげた 野原いちめんの 草いきれ ここから どこへゆくのか 知らないけれ…

るーとら
5年前

詩(笛)

夕暮れに 外に出て この世を離れる 蜻蛉は舞うか 水は流れるか 木の葉は落ちるか 風の香 空…

るーとら
5年前

詩(この世の花)

この世の花はどこにある この世の花はどこにある わからないのだけれどわたしには この世の花…

るーとら
5年前

詩(月)

   あいあいと哭く声がして  またあいあいと哭く声がして  丘の上の月が深くなる  わた…

るーとら
5年前

詩(いつかの夕暮れ)

いつかの夕暮 たしかに分かった 宿命のようなもの それから季節は螺旋になり どこへ行っても …

るーとら
5年前

詩(踊る男)

   Ⅰ あなたの目は洞窟を見飽きた あなたは踊る男 鍛え抜かれた死体 どうしたらわたしたちは青空から逃れられる わたしたちは血の泉を汲み 生まれたこともしらない この街は 吐き出す群衆もないまま 中空に発信し、発情している だから鳥たちは微熱のまま かわいた海を求め 記号に変換される 1号、2号よ、 わたしたちの青よ、青や赤、 短い永遠よ わたしたちの短い永遠 わたしたちの持つ暗い洞窟 わたしたちの言葉 あなたの目は見飽きた あなたは踊る男 鍛え抜かれた死体