詩(光 る 乗 客)

 

線路はカーブで
いつも私の前を
斜めに 傾いて 
光る乗客を運んだ

その後には
深い闇があり
闇はいつも
私を乾かした

私は信じた
新しく開ける空虚を
私は信じた
失愛の底に開くものを

求めることで世界は傷を受ける
ほんとうは
自己愛の惨劇にすぎぬのに
人は失愛をするのだ

光る乗客たちは郊外へと帰る
私の前を斜めに傾いて
乾く言葉は着地しない
ぼくらの一瞬の永遠

何処へもゆけぬ
ぼくらの一瞬の永遠


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