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AI時代を生き抜くための必読書! 『技術革新と不平等の1000年史』

 ChatGPT、Midjourney、Google Gemeni...…。

 これらの名前を聞けば、誰もが「ああ、あのすごいAIね!」とピンとくることでしょう。

 まるでSF映画の世界が現実に飛び出してきたかのような、驚異的な進化を遂げる生成AI。

 私たちの生活は、AIによってますます便利になり、新たな可能性が広がっています。

 AIが描いた絵画がアートコンテストで優勝したり、AIが作曲した音楽がヒットチャートを賑わせたり、AIが書いた小説がベストセラーになったり……。

 AIは、私たちの創造性を刺激し、新たな文化を生み出す原動力となっています。そして、ビジネスの世界にも大きな変革をもたらしています。

 AIによる自動化や効率化は、企業の生産性を飛躍的に向上させ、新たなビジネスチャンスを生み出しています。

 私たちの働き方も、AIによって大きく変わろうとしています。例えば、AIがカスタマーサポートを代行したり、AIが人事評価を行ったりする未来も、そう遠くないかもしれません。

 しかし、その一方で、AIの進化に対する不安の声も聞こえてきます。

「AIが人間の仕事を奪うのでは?」
「AIの恩恵は一部の人々に偏り、格差を拡大させるのでは?」
……といった懸念は、決して無視できません。

 果たしてAIは私たちをユートピアへと導くのか、それともディストピアへと突き落とすのか。誰もがその答えを知りたいと願っているのではないでしょうか?


歴史は繰り返すのか? 技術革新と格差の1000年

 実は、技術革新と社会の格差の問題は、AI時代に限ったことではありません。産業革命以降、人類は蒸気機関、電気、コンピューターなど、様々な革新的な技術を生み出してきました。しかし、そのたびに社会構造は大きく変化し、豊かさを享受できる人とそうでない人の間に、深い溝が刻まれてきたのです。

 産業革命では、機械化によって生産性が向上しましたが、同時に多くの労働者が職を失い、都市のスラム化が進みました。工場のオーナーや資本家は巨万の富を築きましたが、労働者たちは劣悪な環境で長時間労働を強いられ、貧困にあえぐ人が続出しました。

 20世紀の大量生産システムは、自動車や家電製品など、様々な製品を安価に大量に生産することを可能にし、人々の生活水準を向上させました。しかし、その一方で、労働者はベルトコンベアの前に立ち、単純作業を繰り返すだけの存在となり、労働の喜びや創造性を奪われました。また、大量生産・大量消費社会は、環境破壊や資源の枯渇といった問題も引き起こしました。

 そして今、私たちはAIという新たな技術革新の波に直面しています。歴史は繰り返すのでしょうか?AIは、過去の技術革新と同じように、格差を拡大させるのでしょうか?それとも、私たちは過去の教訓を活かし、AIを社会全体にとって有益なものにすることができるのでしょうか?

ノーベル経済学賞候補が解き明かす、技術と格差の1000年史

 これらの疑問に、1000年という壮大な歴史的視点から光を当てたのが『技術革新と不平等の1000年史』です。

 本書は、経済学の権威であるダロン・アセモグルと、気鋭の経済学者サイモン・ジョンソンが、共同執筆した野心的な一冊です。

 彼らは、過去1000年にわたる世界各地の事例を丹念に調査し、技術革新が経済格差に与える影響を徹底的に分析しました。産業革命期のイギリス、20世紀初頭のアメリカ、そして現代の中国...。様々な時代や地域における技術革新が、経済構造、社会制度、そして人々の生活にどのような変化をもたらしたのかを、豊富なデータと鋭い洞察で描き出しています。

技術は「諸刃の剣」、未来を切り開く鍵は?

 著者たちは、技術革新を「諸刃の剣」と表現します。新しい技術は経済成長の原動力となり、人々の生活を豊かにする可能性を秘めていますが、同時に既存の産業を破壊し、失業や所得格差を拡大させるリスクも孕んでいるのです。

 しかし、本書は単に技術革新の負の側面を指摘するだけではありません。過去の事例を分析することで、私たちが未来に向けてどのような教訓を得ることができるのかを提示しています。

 著者のふたりは、技術革新を社会全体にとって有益なものとするためには、適切な制度設計と政策介入が不可欠であると強調します。教育制度の改革、社会保障制度の充実、労働市場の柔軟化など、具体的な政策提言も提示しており、AI時代を生きる私たちにとって、貴重な指針となるでしょう。

AI時代の羅針盤となる一冊

 経済学の専門知識がなくても理解できるよう、平易な言葉で書かれています。豊富な歴史的事例や図表も掲載されており、読み物としても楽しめます。

 上下巻合わせて1000ページを超える大著であり、内容も非常に濃密です。(ちょうど年間1ページ……!)

 AIや自動化が加速する現代社会において、本書は私たちに重要な問いを投げかけます。私たちは、技術革新をどのように活用し、どのような社会を築いていくべきなのか。

 この問いに対する答えを見つけるために『技術革新と不平等の1000年史』は書かれているとおもいました。
 AI時代の羅針盤となるこの一冊を、ぜひ手に取ってみてください。

【編集後記】
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