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詩集:自家中読

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生活の中から生まれた言葉を縫い止めた刺繍。つれづれ。記録。
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記事一覧

いつわりと、暴力

インターネット上で
何かをいつわるとこも
キャラ付けすることも
悪ではなくて
むしろ誰かを救う場合もあるんだけど

子どもを狙って
子どもたちの世界を狙って

性的な欲求をもとに
子どもを傷つける大人を

私は絶対ゆるさない

「子どもが好き」と言われたら心が引いてしまうのだ

「子どもが好き」と言われたら心が引いてしまうのだ

「子どもが好き」

子どもと関わる仕事に携わっている人自身がいう時もあるし
子どもと関わる仕事に就いている人に対して、周りの人がいう時もある言葉。

子どもに関わる仕事に就いていると「きっと子どもが好きなんだろう」と周りから思われるのは、致し方ない部分もある気がする。

ただ、個人的には、子どもと関わる仕事に就いている人自身が「私は子どもが好き」と言っているのを耳にすると、どうにも寒気がする。

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過去形にした時点で自分の中では終わってた話

過去形にした時点で自分の中では終わってた話

制度上だけで、夫婦でいるのであれば、私にはそれは必要ないので、制度の枠を払いたいと思っています。

私は結婚するとき、式も挙げなかったし、どこかの神様にあなたに対する気持ちを誓うこともしませんでした。

これは、私なりの筋で、私が自分の結婚において、気持ちも日々も、誓いたかったのはあなたに対してだけでした。

だから、つまるところ思いと気持ちだけでつながっていた縁でした。

簡単に言うと、好きだか

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つもり、だった

つもり、だった

それなりにがんばってる
つもりだった

仕事して
子どもたちと過ごして
家事やって

たまに体力もたなくて
寝落ちて起きて
夜中にキッチン片付けて

そこで限界が来て
床で寝て
お風呂入れなくて
朝4時にシャワー浴びて
また一日が始まって

うまくいかなかったことも
ちょっとした不安も
見えない先のことも

連絡する余裕もなかったら
相談する余力もなかったら
いつの間にか無関心だけが返ってきた

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第九、うれしみをうたう

第九、うれしみをうたう

ゆうべの夜空を見上げし君と
月影、背に浴び駆け行く僕は

スピカ目指せば
結ばるだろうか

レグルス胸にいだきて走るよ

翼なくとも
翔べるかのような

逸りて行かんよ
その手を取りに

忘れじ
(彼の道)
迷わず行けよ

もしもし、ほんね

もしもし、ほんね

うん
あー、元気
(胃が痛くて毎日薬飲んでる)

特に変わりないよ
(消えたいと思う日もあるよ)

ちょっと…そうだね、落ち着いたら
うん、また行けたらと思ってる
(行けない。顔を見たら糸が切れそうで)

え?うん、子どもたち?
元気だよ、全然、もう背だって追い越されそう
(独り立ちまで指折してる)

そうだねー、仕事忙しいみたい
なかなか、休みも疲れてるみたいだし
(知らない、もう業務連絡以外し

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とまれない。私たちは

とまれない。私たちは

いいんじゃないかと思う

たとえ今日
一歩も進めてなくても
何ひとつ成し遂げてなくても
筆が進んでなくても
心が動いてなくても
隣のあの子より問題が解けてなくても
笑ってなくても
泣いてなくても
別れられなくても
届かなくても
言えなくても
怒れなくても
悲しめなくても
歌えなくても
満足な呼吸ができなかったとしても

放っといても、周ってるし回ってる

全部投げ出して停まっても

この惑星にいる

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さらば 遠心力

さらば 遠心力

25時の電話で思いを伝えあった
あのときの私たちに
信じられるだろうか

爛れた20時の朝食に笑いあった
あの日の私たちに
伝わるだろうか

あのころ私たちを隔てていた
物理的な距離は
無意味なマイルだったのに
いま
近くにいたはずの私たちの心は
月まで届くほどの場所で
さみしい岐路に立っている

写真で届いたオリオンの光を
なによりあたたかく感じた夜
同じ星をどこかで見上げあっていただけで
幸せ

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せつぞくしのタンゴ

せつぞくしのタンゴ

何度も
思い出してしまう
他愛ないやり取りだったのに

お守りのように
見つめてしまう
無機質な着信の文字を

近づけない距離だから
むやみに考えてしまう
でも
届かない手だから
むしろ安心してしまう

なのに
ガラス越しの横顔が
電話越しの声が
業務連絡の文字が
私を揺らすのは事実で
細胞の振るえを起こすのも事実だ
そして
この思いに先がないことも
紛れもない事実

だけど
行くあてのない思いだ

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新芽を摘む

新芽を摘む

摘むんだ

出てきてはいけない
知らない
知ってはいけない
こんな芽吹きは許せない

見ないように
目よ、追わないで
浮かばないで意識に
せめて弾けないで
堪えきれないしゃぼんのように

消えてなくなればいい
今のうちに
私は知らなかった
それで済ませるから

もう渡れない橋の前で
佇むことしかできない
目的地さえない片道切符を
使うわけにはいかない

気づかないふりをして
通り過ぎればいい
会釈

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処方箋

処方箋

ラムネみたいに消えてった
昨日も明日も今日さえも
イブプロフェンはもう効かない
右肩上がりの熱と痛みが
打ち上がってく火曜の0時

世界が変わった瞬間に
立ち会ったのは自分だけ
既定値超えたドーパミン
もう止まらないオーバードーズ

視えない敵が視えてしまった脳内で
ぶっ放される過剰放電
焦げついたシナプス揺らしながら
未来でも覗こうよ
そこはお花畑
限りなく注がれる枯渇のない5月の愛

知り得な

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心の冷えていく夜に

心の冷えていく夜に

妊娠中、つわりが酷かったとき
飲みに行ってほしくなかったのではなくて
飲める自由がないことに気づいてほしかった

産後、一時間おきの授乳のころ
睡眠不足のツラさを比べたかったわけではなくて
他にできる家事は自分で終わらせてほしかった

あなたがやっていたことは
相手への思いやりではなくて
自分がやったことをアピールしていただけだと
気づいてほしかった

こんなに頑張る自分を褒めて
こんなに思いやり

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テキスト、トリミング-八月終わり-

テキスト、トリミング-八月終わり-

やまのみどり
揺れる、稲
川から藻のにおい、かすか
山ぎわは白い黄色なライン

仰ぐ空は
山吹から薄紅
とうめいな紫、水色から深い青

そして群青と藍

抜ける風の中に夕げの香り

夕日に向かう単線の汽車
少し重たげに

視界の全てにかかる
ノスタルジックのオーバーレイ

帰るからす
三つ、四つ

音叉

音叉

わたしたちの会話は
心のふるえを
空気のふるえに変えて
おたがいの心に届けてる

あの日
あのとき

ほんのわずかな心のふるえを
ていねいに拾ってくれたあなたに

今度は空気をいっぱいふるわせて
ありがとうを伝えたい