新芽を摘む
摘むんだ
出てきてはいけない
知らない
知ってはいけない
こんな芽吹きは許せない
見ないように
目よ、追わないで
浮かばないで意識に
せめて弾けないで
堪えきれないしゃぼんのように
消えてなくなればいい
今のうちに
私は知らなかった
それで済ませるから
もう渡れない橋の前で
佇むことしかできない
目的地さえない片道切符を
使うわけにはいかない
気づかないふりをして
通り過ぎればいい
会釈もせず
雑踏に紛れるように
ボヤにすらならないうちに
燻りには酸素も与えず
消してしまえ
二度と火が点かないように
仮面を被り
種火を踏みにじって
心に背を向け
血を冷やせ
凍てついてしまえ
なのに、潰えぬ
思いがゆえに
どうしようもないくらい
恋が
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