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ニュースの手帖

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#東京新聞

コロナ禍で苦しみの限界を超えてしまった件 2020年の自殺者数確定値

コロナ禍で苦しみの限界を超えてしまった件 2020年の自殺者数確定値

▼2020年の自殺者数の確定値が報道された。すでに2月に速報値が報道されており、ほぼ同じ内容だが、ここでメモしておく。

▼まず、2021年3月16日付の読売夕刊1面トップから。

〈女性の自殺15・4%増/7026人、コロナ影響か/20年確定値〉

〈厚生労働省と警察庁は16日、2020年の自殺者数が確定値で前年より4・5%(912人)増の2万1081人だったと発表した。女性は同15・4%(93

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東京は残念ながら医療崩壊しつつある件

東京は残念ながら医療崩壊しつつある件

▼海外から小誌を読んでいる人もいるようなので、東京の現在の報道をいくつか点描しておく。

▼まず、多くの日本人にとっておなじみの顔になった尾身茂氏のインタビュー。新型コロナウイルス感染症対策分科会長。2021年1月6日付の読売新聞から。鷹尾洋樹記者。適宜改行。

〈日本はリスクコミュニケーションが苦手です。

専門家は技術的なことを提案し、政治家が決定します。国と専門家の意見が食い違うこともありま

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東京のコロナ感染者数が「1日で1000人」になりそうな件

東京のコロナ感染者数が「1日で1000人」になりそうな件

▼そろそろ尾身茂氏ーー日本国政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会会長ーーが、東京都知事の小池百合子氏と会うのではないか、と思っていたら、小池氏がきょう「年末年始コロナ特別警報」を出した。東京新聞の記事から。

〈東京都の小池知事「年末年始コロナ特別警報」発出…感染者は過去最多を大幅更新、医療ひっ迫で〉2020年12月17日 20時18分

〈新型コロナウイルスの新規感染者が過去最多の822人と

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こどもの窒息事故の記事は朝刊に載せてほしい件

こどもの窒息事故の記事は朝刊に載せてほしい件

▼新聞の夕刊に載っている記事が、朝刊に載ったらいいのに、と思うことがよくある。

すでに、夕刊が配達されない県が複数ある。つまり、その地域には、その新聞の夕刊は存在しないわけだ。

朝刊には「かたい記事」が優先され、「やわらかい記事」が脱落するのだが、日常生活に近い話題を朝刊に載せてほしいものだ。

▼2020年10月13日付の朝日新聞夕刊1面トップの記事も、朝刊に載せてほしい記事だった。

9月

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「食糧が最大のワクチンである」件

▼ノーベル平和賞は人々に「考える」きっかけを与える。今年のテーマは「食」だった。NHKニュースから。

〈ノーベル平和賞にWFP 国際社会からの支援拡大に期待の声も 2020年10月10日 4時41分〉

〈ことしのノーベル平和賞に、世界各地で食糧支援を行っている国連機関、WFP=世界食糧計画が選ばれたことについて中東の紛争地などで食糧支援を必要としている人たちからは受賞をきっかけに国際社会からの

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「将棋世界」を読むと藤井聡太氏の破格ぶりがわかる件(その0)

「将棋世界」を読むと藤井聡太氏の破格ぶりがわかる件(その0)

▼前号から1カ月ほど、わざと更新しなかった。そうすると、どれくらい閲覧数が減るか、みてみようと思ったからだ。しかし、思っていたほど減らない。

むしろ数日前から、具体的には2020年8月18日から、何にも更新していないのに、閲覧数が急増し始めた。

うすうす、そうなるだろう、と思っていたのだが、想像以上の増え方だった。

▼将棋の王位戦第4局が始まったのは8月19日であり、その前日から、マスメディ

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「編集」で印象がまるで変わる件ーーALS嘱託(しょくたく)殺人の報道から

「編集」で印象がまるで変わる件ーーALS嘱託(しょくたく)殺人の報道から

▼編集によって印象がまるで変わってしまうことが簡単にわかる、いい例があった。2020年7月25日付の毎日新聞と東京新聞で考える。

これは、日本社会に蔓延(はびこ)る「優生思想」について考える導入になる。

また、木村花氏を死に追いやったリアリティー・ショー「テラスハウス」をめぐる「編集」の意味についても、応用して考えることができる。

▼まず、ALS嘱託殺人の概況報道をみておく。NHKから。適宜

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木村花氏は「誓約書」に縛られ、事務所にPRのためSNSを使うよう頼まれていた件

木村花氏は「誓約書」に縛られ、事務所にPRのためSNSを使うよう頼まれていた件

▼女子プロレスラーの木村花氏(22歳)が、フジテレビの「テラスハウス」視聴者からの暴言を浴びて、自殺と見られる死を選んだ事件について。毎日新聞が重要な記事を二つ掲載していた。

▼一つめは、2020年7月5日付。

〈「テラハ」出演 故 木村花さんの母/「スタッフにあおられ…」告白受けた〉

〈3月末、花さんはリストカットした写真をSNSにアップ。その後、SNSのアプリを自身のスマホから消し、見

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「藤井聡太氏が現役最強棋士である」ことがよくわかるデータの件

「藤井聡太氏が現役最強棋士である」ことがよくわかるデータの件

▼将棋の王位戦の番勝負が始まった。初戦は藤井聡太氏が勝った。おそらくこれから、あの「29連勝」を超える藤井聡太フィーバーが訪れるだろう。東京新聞の記事から。

〈藤井七段が王位戦初勝利 疲労はねのけ、ギリギリの攻め貫く〉(2020年7月2日 18時04分)(樋口薫記者)

〈◆最強の盾破る/将棋の木村一基王位(47)に藤井聡太七段(17)が挑戦している第61期王位戦七番勝負(東京新聞主催)の第1局

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17歳の藤井聡太氏がいきなり二冠になるかもしれない件

17歳の藤井聡太氏がいきなり二冠になるかもしれない件

▼将棋棋士の藤井聡太氏が、棋聖戦に続き、王位戦でも挑戦者に名乗りを上げた。

〈将棋の藤井七段が王位戦リーグ最終戦に勝利 挑戦者決定戦へ進出〉(東京新聞2020年6月14日 07時09分)

〈将棋の第六十一期王位戦(東京新聞主催)の紅白リーグ最終戦が十三日、東京都渋谷区の将棋会館で六局一斉に指され、白組は藤井聡太七段(17)=写真(右)=が、紅組は永瀬拓矢二冠(27)=同(左)、叡王・王座=がい

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日本は由緒正しい「賭博国家」である件

日本は由緒正しい「賭博国家」である件

▼週刊文春の「賭けマージャン」スクープがテレビのワイドショーに取り上げられている。

NHKニュースから、事件の概要。

〈黒川元検事長の訓告処分 法務省と検事総長が決定 菅官房長官〉
2020年5月25日 12時22分

〈緊急事態宣言の中、賭けマージャンをしていた問題で辞職した東京高等検察庁の黒川検事長について、菅官房長官は、黒川氏を訓告とした処分は、法務省と検事総長が決定したもので、安倍総理

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「超エモい」は「いとあはれ」の子孫である件

「超エモい」は「いとあはれ」の子孫である件

▼「エモい」という言葉は、すっかり普及した。いろいろな場面で使われるらしい。「やばい」とは違う意味だ。筆者は使ったことがないが、エモいの意味について、2020年3月28日付の読売新聞を読んで目から鱗が落ちる思いがした。

三省堂の辞典編集で有名な国語辞典編纂(へんさん)者・飯間浩明氏いわく、

「エモいは、昔でいう『あはれ』だと思う。素晴らしいと感じ時も悲しい時も、情感を込めて表現できる」

〈飯

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「緊急事態宣言」は5月6日で終わらなさそうな件(6)感染した人は謝るな。謝らせるな。

「緊急事態宣言」は5月6日で終わらなさそうな件(6)感染した人は謝るな。謝らせるな。

▼2020年4月17日付の毎日新聞夕刊の1面トップが、日本特有の「謝罪する文化」が新型コロナウイルスをさらに蔓延(はびこ)らせることを指摘した。宇多川はるか記者。

■「コロナ感染=謝罪」は異常〈コロナ感染=謝罪なの?/組織トップ 芸能人 会社員として…/申告が怖くない社会に〉

▼要するに、感染した有名人がやたらと謝っているわけだ。謝らない人もいるが、謝る人のほうが多い。感染したという事実につい

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「緊急事態宣言」は5月6日で終わらなさそうな件(5)DV(家庭内暴力)は「影のパンデミック」

「緊急事態宣言」は5月6日で終わらなさそうな件(5)DV(家庭内暴力)は「影のパンデミック」

▼世界中でステイホーム、「家にいよう」が合言葉になっている。新型コロナウイルスの感染を止めるには、「社会的距離」をとるしかないからだ。

しかし、家が地獄の人々がいる。ステイホームによって命を奪われる人がいる、ということだ。

■NHKのDV特集記事▼2020年4月20日配信のNHKニュースが素晴らしい特集を組んでいた。

〈特集『家にとどまって』 ~その家が安全ではなかったら?~〉

〈新型コロ

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