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毎日ちょっとだけ連載小説|水深800メートルのシューベルト

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連載で小説を始めてみました。一話をかなり短く(200文字くらい)毎日ほんの少しずつ進める予定です。 読んで頂けると嬉しいです。
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2022年9月の記事一覧

水深800メートルのシューベルト|第319話

(メイソンが葉っぱをほぐすと)はらはらと草の粉が、ビニール袋に戻っていた。その干し草が固…

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水深800メートルのシューベルト|第318話

「おい、お前ら! 車に乗ってろよ。お前らにも吸わせてやるから」  メイソンは、地面に唾を…

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水深800メートルのシューベルト|第317話

「イエーイ、着いたぜ」  バーナードが気分の重さを吹き払うように、勢いよく車から外に出た…

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水深800メートルのシューベルト|第316話

 車が街中を何度も迷い、止まったり引き返したりを繰り返しながら、ようやく目的のゴールデン…

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水深800メートルのシューベルト|第315話

「いや、今日は海を目的地にしよう。マーシャルズでいいや」(そうメイソンが言った)  空は…

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水深800メートルのシューベルト|第314話

 行き先がわかって安心してくると、車が急加速したり、ブレーキをかけたりして、体が揺らされ…

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水深800メートルのシューベルト|第313話

 代わりにブライアントが後ろを振り向いて答えた。 「ボスの気分次第だけどな。ゴールデンゲートブリッジ近くの海に行くらしいぜ」  メイソンがギアを動かした途端、エンジンの音が低く大きくなり、背中がシートに押しつけられた。隣の車線の隙間に車がねじ込まれるのを見て、彼はやっと落ち着いた顔つきで返事をした。 「ああ、マーシャルズビーチだ」  ビーチの名前を聞いたことはなかったが、橋の名前を聞いて、僕はほっとした。ゴールデンゲートブリッジはサンフランシスコにあって、海峡にかけられた

水深800メートルのシューベルト|第312話

「なあ、サンフランシスコに行くのかい?」  馬鹿なことを大声で訊いたものだと思った。この…

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水深800メートルのシューベルト|第311話

いったい、どういうつもりでこの道路を飛ばしているのか? ただ、僕を驚かすためにこんなドラ…

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水深800メートルのシューベルト|第310話

 今まで体験したことのないスピードと揺れだった。僕は、バーナードに話しかけるのを諦め、足…

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水深800メートルのシューベルト|第309話

車が車線を変える度にドアか隣のバーナードの方に体が振られ、僕は体勢を直すのに苦労した。彼…

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水深800メートルのシューベルト|第308話

「あ、ああ、喜んでいるよ。ありがとう、誘ってくれて」  僕は、シートから首を起こし、バッ…

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水深800メートルのシューベルト|第307話

 メイソンが顎をしゃくって後ろのドアを示した。そこで、僕は車のドアに手をかけているバーナ…

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水深800メートルのシューベルト|第306話

車は、想像していたより大きくなかったが、力強さを主張しているようで、どんな車も抜き去りそうな迫力があった。それは、グレーの車体でメタリックな輝きを放っていた。車体のボンネットには大きな穴が開いていて、まるで雄牛が荒い鼻息を吐くように、そこからエンジンの蒸気が噴き出しそうに思えた。ボディは丸みを帯びていて、向かいから来る風を全て切り裂きながら後ろへ流してしまいそうなイメージが湧いた。車体の後ろには大きなウイングが、空に向かってツンと反り返っており、僕はその形状が気に入ったので、