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水深800メートルのシューベルト|第317話
「イエーイ、着いたぜ」
バーナードが気分の重さを吹き払うように、勢いよく車から外に出た。僕も、彼に続いて外に出て車酔いを醒ますことにした。
下から吹き上げてくる潮の混じった冷たい空気を目一杯吸いながら、両手を挙げて凝り固まった体を伸ばした。
メイソンとブライアントが出てこないのを不審に思っていると、車の中に煙が広がっていて、ガラスにうっすらとした膜ができて外からは見えなくなった。
すぐに運転席と助手席のドアが乱暴に開き、中から二人がそれぞれ手で煙を払いのけながら出てきた。
「ゴホッゴホッ。むせちまった、吸うどころじゃねえ」
「欲張って一度に吸い過ぎなんだよ、メイソン。ああ、葉っぱが勿体ない」
ブライアントは笑っていた。