アウトソーシング利活用とIT部門の位置づけ考察(5)~IT部門の位置づけとIT部門構成 ~
前回(第38回)、「1.情報システムの位置づけ」と「2.IT部門のあり方」について考察しました。その中で、情報システムとそれを管理するIT部門の在り方について、将来的にどのようにしていくのが良いのかの方向性を決め、そして、そのために必要となるであろう「資質とノウハウ」について、その考え方を提示しました。
今回は、その方向性に基づいて「IT部門の位置づけ」と「IT部門の構成の考え方」について、考察します。
3.IT部門の位置づけ
情報システムの位置づけ同様、IT部門の位置づけについても、以下の2つの観点で考察すべきと考えます。
4.IT部門の構成
IT部門を、第3.項のどちらの位置づけとするかで、当然その構成(役割機能構成、組織構成)も変わってくる事になります。図1に役割構成案と、「従来型」および「今後型」での構成範囲案を示します。
IT部門の構成については「小売企業」を想定したものとしています。(従って、店舗システムを明示しています)また、今回特にプロフィット化を考察するとともに「子会社化」という想定ではなく、自社内に残したままでの「部門約款の変更」という形態での取り組みとして考察しています。
さらに「システム開発およびマシンの運用・保守」については、既に『アウトソーシング』していることと想定しており、構成から外しています。(具体的には、次回「アウトソーシングの考え方」で紹介します。)
■組織的構成について
組織的には、『企画(ビジネス/システム企画立案担当)』、『営業(ビジネス推進担当)』、『SE』の3機能構成が必要と考えます。
・ビジネス企画・立案担当
経営、営業戦略の創造、並びに経営層への提言を行う。(DX推進担当)
・ビジネス推進担当(営業活動)
企画案の売り込みや、外販活動を行う。(社内システム提案も)
・システム企画、立案担当(SA:System Analyst)
DX戦略を実践する「システム企画、立案および提言」を行う。
・システム推進担当(SE:System Engineer / Systems Engineering)
基本として「全社共通システム(所謂、基幹システム)」、「部門個別システム(各事業部門向けシステム)」、「店舗システム」の『3担当形態』での構成が望ましいと考えます。
・システム教育担当
現場部門の情報リテラシーを向上するための機能並びに、システム運用・操作関連の現場指導や現場部門のトレーナー育成などを行う。
■プロフィット化部門とするために(今後型対応に向け)
・「ビジネス推進部門(営業機能部門)」としての要員の確保、増強が必要になることは言うまでもありません。
・また、自社内対応においても、現場部門(システム享受部門)を『ユーザ』とみなした取り組みが必要と考えます。
・現場システム構築予算をシステム部門の「売上予算」とみて、部門損益を管理する方式が望ましいと考えます。所謂「管理会計」の取り組みを徹底し、IT部門の『評価基準』を明確化することが必要と考えます。
・さらに、システム開発(構築)にあたっては、あらかじめ『外販』を意識した取り組み、仕組み作りを図ることが重要です。要は、自社固有機能を考慮(差別化)するものの、他の機能については極力汎用化、共通化を考慮しておくことが必要であると考えます。
■プロパー必須機能(コアコンピテンシー)
・特に、「2つの企画部門(図1の網掛け部分)」については、極力、自社内プロパーでの担務とすべき役割、機能と考えます。
以上、「今後型IT部門」の位置づけと、それを構成するべき体制の考え方を中心に考察しました。前回と同様、IT部門の方向性を決めること、そして自社内に保持すべき「役割と機能」を検証し、確定できるかどうかがポイントになると考えます。
次回は、IT部門の役割・機能に対する「アウトソーシングの対象範囲とその取り組みの考え方」について考察したいと思います。
【アウトソーシング利活用前4回の掲載記事】
第35回
第36回
第37回
第38回
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?