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研究者のキャリアデザイン

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2024年5月の記事一覧

博士課程1年4月|博士課程スタート

博士課程1年4月|博士課程スタート

とうとう博士課程になってしまった。
多くの同期たちが就職して新社会人生活を開始する一方、ぬるっとはじまった博士課程。学部時代には雲の上の存在だった修士学生をいつの間にか追い越して、「D1」の肩書きには1ヶ月経ってもまだまだ慣れない。

「大学7年目」として、大学生の保護者の方向けに「博士学生の生活」を発表する機会があったので、その内容をここにも記録しておきたい。

1. なんで、研究してるの?研究

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博士人材活躍プランに注目中

博士人材活躍プランに注目中

はじめに

本日は、文科省の博士人材活躍プランに大学院教授が注目している理由を短く共有します。

博士人材活躍プランとは

文部科学省が令和6年3月26日に打ち出した博士号の取得者を増やし、博士号取得者の就職率を改善し、人口100万人あたりの博士号取得者数を世界トップレベルに引き上げることを目標に様々な取り組みを実施するというものです。

注目ポイント

リハビリテーション専門職(理学療法士)で大

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研究者のキャリアデザイン・研究環境の作り方|経営学の質問箱:今さら聞けない経営学についてのあれこれ【第2回】

研究者のキャリアデザイン・研究環境の作り方|経営学の質問箱:今さら聞けない経営学についてのあれこれ【第2回】

※ 登壇者の所属は、すべて2024年3月末時点のものです。

中園:
続きまして、研究にまつわる環境構築であったり、研究者として生きていく・暮らしていくにあたって、困ったときにどうすればいいのかという、研究者のキャリアや環境面への質問に移っていきたいと思います。今回は一橋大学の青島矢一先生と東京都立大学の高尾義明先生にご登壇いただきます。
早速後半の1つ目の質問にまいりましょう。
前半のテクニカル

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先延ばし魔の大学院生が、やる気が出ないときに実践する対処法(パターン別)

先延ばし魔の大学院生が、やる気が出ないときに実践する対処法(パターン別)

はじめに記事の画像に使わせていただいているのは、ティム・アーバンのTED talks(下記リンク)で出てきたイラストです(9:13あたり)。
これは、先延ばし魔の締切直前の頭の中。
右の棒人間は、理性的な人。真ん中のサルは、すぐに楽したいサル。こいつが意思決定の舵を握ってしまっている。そして、締切が迫ると、サルの唯一の天敵パニックモンスター(左)が目を覚まし、システムが混乱!
とまあ、そんな状況を

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【論文レビュー】組織社会化研究の2つのパラダイムとは何か?:福本 (2015)

【論文レビュー】組織社会化研究の2つのパラダイムとは何か?:福本 (2015)

本論文は、福本俊樹先生(同志社大)が博士課程在籍時にワーキングペーパーとして出されたものです。新しく参画した個人が組織に馴染む組織社会化という概念について、その概念が誕生した背景から現在の研究に至るまでコッテリと学べます。

組織社会化研究の現状著者が組織社会化という概念に今改めて着目している背景には、現状における組織社会化研究に対する課題意識があるためです。

ある領域における研究の成熟は、現場

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【論文レビュー】リアリティショックと組織コミットメントの不思議な関係!?:Dean et al.(1988)

【論文レビュー】リアリティショックと組織コミットメントの不思議な関係!?:Dean et al.(1988)

職業柄(研究柄?)、リアリティショックに関する設問を読み込む機会があり、設問文という極めて具体的な文言を読んでいると、リアリティショックという概念って改めてなんだっけ?というゲシュタルト崩壊的な感覚に陥りました。今回は、古典的なリアリティショックの実証研究を取り上げます。

リアリティショックとはリアリティショックは、新しい組織での現実に直面した際に私たちが感じるショックです。本論文では、リアリテ

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博士後期2年目ゆる振り返り

博士後期2年目ゆる振り返り

さて、またまた気づいたらD2の1年間が終わっていました。今年も全然何もできないまま1年が終わってしまったぁぁあという気持ちになっているのですが、去年とりあえず振り返りということで1年間でやったことをざっくり見える化してみたら意外と何かしらやっていたということがわかってメンタルヘルス的に良いという学びがあったので、今年も書き残しておこうと思います!(今回も研究の中身ではなくやったことの記録が中心にな

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アメリカ理系Ph.D.取得者、日本人は大激減、中国人、インド人、韓国人、台湾人は大激増 ・・・Survey Earned Doctrates調査

アメリカ理系Ph.D.取得者、日本人は大激減、中国人、インド人、韓国人、台湾人は大激増 ・・・Survey Earned Doctrates調査

US Doctorates Awards(Survey Earned Doctrates)と称するサイトは、1958年~2020年までのアメリカにおける博士号取得者数の変遷を示しています。1958年には約10,000人位でしたが、2020年には5倍の55,283 人に上昇しています。毎年3.1%づつ上昇してきましたが、2019年55,283人をピークにやや減少している様です。

この調査はまたいわ

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研究者同士の交流が生みだすイノベーションのために―「経営学の質問箱」の開催にあたって―|経営学の質問箱:今さら聞けない経営学についてのあれこれ【第3回・終】

研究者同士の交流が生みだすイノベーションのために―「経営学の質問箱」の開催にあたって―|経営学の質問箱:今さら聞けない経営学についてのあれこれ【第3回・終】

はじめに、今回のモーニング・ミーティングに質問を下さったみなさま、そしてお忙しい中回答を引き受けてくださった4人の先生方に、改めて御礼を申し上げます。そして、開催初日、土曜日の朝一番という枠にもかかわらず、多くの方が約1時間早くご自宅(または宿泊先)を出発し、本セッションに足を運んでくださったことに感謝を申し上げます。
正直なところ、時間枠のこともあり、ここまでの参加者数になるとは予想していません

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歴四半世紀の「社内発明者」が考えた、イノベーション論

はじめに~イノベーションについて~先日noteのオススメ欄に「# イノベーション」関連が出てきて、「一時期よく言われてたな」と思いました。だいたい「なぜイノベーションが出ない?」みたいなニュアンスで、ですが。
ということで、イノベーション(と特許、論文)について少し調べてみました。

イノベーション ≠ 特許、論文

最初に身も蓋もない結論。イノベーションの意味をネットで調べたところ、「革新」と。

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【論文レビュー】キャリア論の「第4世代」サステナブルキャリアとは何か?:石山(2024)

【論文レビュー】キャリア論の「第4世代」サステナブルキャリアとは何か?:石山(2024)

石山恒貴先生のサステナブルキャリアに関する論文、大変興味深く拝読しました。学びになるとともに、個人的な今後の研究についても大いに刺激になる内容でした。今後、サステナブルキャリアを後続する研究者やビジネスパーソンが学ぶ際の大事なテクストの一つになる存在と言えます。少なくとも個人的には何度も読み返すものになるでしょう。

サステナブルキャリア(sustainable career)ではサステナブルキャ

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