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弱おじの本棚

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読んだ本の記録です。
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#人生を変えた一冊

普通に生きるって普通に幸せで普通に難しい 〜「コンビニ人間」を読みました〜

普通に生きるって普通に幸せで普通に難しい 〜「コンビニ人間」を読みました〜

村田沙耶香さんの「コンビニ人間」を読みました。
数年前に一度読みましたが、再度手に取ってみました。

主人公はコンビニでアルバイトをする女性。
周囲からずっとバイトをしていることや結婚をしていないことを不思議がられて、生きづらさを感じています。

普通の人生は嫌だと言いながら、やっぱり私たちは普通の人生をどこか望んでいて、普通の人生を生きられていることに安心してしまう生き物だと思います。
ちゃんと

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運命が与えてくれた今という世界線にありがとう 〜平野啓一郎さんの「マチネの終わりに」を読みました」〜

運命が与えてくれた今という世界線にありがとう 〜平野啓一郎さんの「マチネの終わりに」を読みました」〜

数年ぶりに平野啓一郎さんの「マチネの終わりに」を読みました。
名作すぎました。

運命ってなんなんでしょうか。
たった一つのボタンのかけ違いで、目の前の現実は全く違うものになってしまう。

あの時ああしていれば、今の現実は違っていたのに。
でもそこに、人間の力なんて本当に及ぶものなのでしょうか。

仕方がないこと。なるべくようにして、こうなっているという感覚。

運命のイタズラで進められていく人生

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自分を好きでいられるように行動することこそが「成功」〜羽田圭介さんの「成功者K」を読みました。〜

自分を好きでいられるように行動することこそが「成功」〜羽田圭介さんの「成功者K」を読みました。〜

羽田圭介さんの「成功者K」を読みました。

芥川賞を受賞した作者がテレビ出演を通して有名になっていき、色んな女性と関係を持ったり高級車買ったりいい所に住んだりと「成功者」になっていくお話し。
そしてそれが本当に幸せなのか?っていうお話し。

成功とは何か?
と考えされられました。

世間で言う成功を手に入れたとしても、そこから得られる喜びは刹那的で、すぐにその幸せにも慣れてしまい、自分の手元を離れ

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一生懸命やるからおもろい。 〜恩田陸さんの「蜜蜂と遠雷」を読みました〜

一生懸命やるからおもろい。 〜恩田陸さんの「蜜蜂と遠雷」を読みました〜

恩田陸さんの「蜜蜂と遠雷」を読みました。
ピアノのコンクールを舞台とした青春群像劇です。

・爽やか!青春!青春の美しさを思い出させてくれます。
何かにひたすらに打ち込むことの尊さ。
一生懸命やるからこそ、得られる感情がある。
私も何か打ち込むことを作り出し、まだまだ青春していきたいなと感じました。

・出会いの尊さ登場人物たちは一つのコンクールを通して互いの演奏に触発され、自身の前向きな変化に気

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書くことは「救い」 〜湊かなえさんの「未来」を読みました〜

書くことは「救い」 〜湊かなえさんの「未来」を読みました〜

湊かなえさんの「未来」を読みました。
なんでしょう。色んな感情が生まれました。
言葉にできない、何とも言えない感情ばかりですが、感想を書いてみたいと思います。

本書を読んで感じたのは、「書く」ことが救いになるということです。
登場人物たちは皆、様々な問題を抱えながら生きています。そして必ずしも報われたとは言えない終わり方です。

世界にも様々な問題があります。
目の前の人を救ったところでその問題

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何が正解かなんてわからないから、今の感情を大切に選択する。〜朝井リョウ「武道館」を読みました。〜

何が正解かなんてわからないから、今の感情を大切に選択する。〜朝井リョウ「武道館」を読みました。〜

朝井リョウさんの「武道館」を読みました。

アイドルって大変だなぁと思うとともに、アイドルに対して尊敬の念を抱くようになりました。

恋愛がタブーとされるアイドル。
アイドルとしての自分。そのもっと前に存在する、一人の人間としての自分。

その時の感情に忠実に、恋愛へと突き進むこと。ファンやメンバーのために、自分の気持ちを理性的に押さえつけ、アイドルとしての役割を全うすること。

そのどちらが正解

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上手くいかなくても大丈夫だよ。それはあなたのほんの一部だから。〜「ドーン」を読みました。〜

上手くいかなくても大丈夫だよ。それはあなたのほんの一部だから。〜「ドーン」を読みました。〜

平野啓一郎さんの「ドーン」を読みました。

平野さんの提唱されている「分人」という考え方が好きです。
人生を楽にする知恵だなと思います。

接する人や場面によって、違う自分がいる。
それぞれの自分を、別の人間だと考えてみる。

例えば大嫌いな仕事に行かなくてはならない。
その仕事に行く自分は、今ここにいる自分とは別の「分人」だとして考えてみればいい。

会社でどんなに怒られようが罵られようが嫌な思

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「ままならないから私とあなた」を読みました。

「ままならないから私とあなた」を読みました。

朝井リョウさんの「ままならないから私とあなた」を読みました。

とても面白かったです。
味わったことのない感情を体感できて、素晴らしい読書体験となりました。

結果と過程。
結果さえ良ければ、別に過程なんてどうでもよくない?
取っ払っちゃった方が、効率いいし合理的じゃない?

音楽の道をもがきながら追求していく主人公。
主人公の友人は、主人公のために良かれと思って、その音楽の道が最短ルートで成功す

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