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普通に生きるって普通に幸せで普通に難しい 〜「コンビニ人間」を読みました〜


村田沙耶香さんの「コンビニ人間」を読みました。
数年前に一度読みましたが、再度手に取ってみました。

主人公はコンビニでアルバイトをする女性。
周囲からずっとバイトをしていることや結婚をしていないことを不思議がられて、生きづらさを感じています。

普通の人生は嫌だと言いながら、やっぱり私たちは普通の人生をどこか望んでいて、普通の人生を生きられていることに安心してしまう生き物だと思います。
ちゃんと認めて、「普通って幸せだよね!」と胸を張って生きていられたらいいなと思います。

主人公がアルバイトを辞めて、自身の生きる意味を見失う描写が印象的でした。
役割がない人生はしんどいです。社会での役割を与えられその責任感から逃げ出したくなることもあるけど、何もない人生よりは仕事で味わう苦痛の方が楽なのかもなと感じます。
社会のどこにも属していない感覚は、やはりメンタルがしんどいです。

「人生ごっこ」だと思って、普通の人生を演じることを、ゲームのように楽しんでいけたらいいです。
普通というマニュアルがあり、普通の人間を遊びながら演じる。
普通に会社員をして普通に結婚して、普通に子供を産んで育てて普通に老いて普通に死んでいく。思考停止でマニュアル通りに生きる人生も悪くないです。その普通が、案外難しいんですけどね。

ちょうどこの本を読んだ現在、私は新型コロナウイルスの濃厚接触で仕事を休んでいます。
仕事を休んで社会から「はじかれて」思うことは、やはり役割があるということは幸せなんだということです。
仕事をして社会で普通に生きている安心感があるから、趣味の筋トレや読書も心から楽しめます。趣味を楽しむ権利を得るために仕事をしていると思えば、少し前向きになれるかもしれません。

同時に、仕事が人生の全てだと思う必要もありません。
パラレルワールドのように仕事と人生を切り離して考えるのもいいです。
普通を演じているんだ。人生という「普通ごっこ」のルールに乗っかって生きているんだ。
普通という呪縛にとらわれていると理解しながら、あえてその設定に乗っかって生きていくのも悪くないと思います。

コンビニと同じように、人生もまた中身が次々と入れ替わって淡々と一日が重なっていくだけ。
みんな普通に生きたい。
普通に生きるって実は最高で、実はめちゃくちゃ難しい。

普通に生きてる有り難さ。それは何かを失って気づくもの。
普通に仕事して普通にストレス感じて。普通に愚痴吐きながらビール飲んで普通に寝て普通にまた明日も会社へ行って普通の歯車を演じる。

そんな普通の日々を、普通に嘆きながら生きていくのって、実は普通に幸せなんじゃないかって思えた本でした。これからも普通に人生楽しんでいきたいと思います。


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