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死ぬまでには読みたい本の読書日記

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読書の備忘録です。 死ぬまでには読んでおきたい本を読んで記録しています。
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2024年10月の読書日記

2024年10月の読書日記

2024年10月こんにちは、入江悠です。
今月は新作『室町無頼』の仕上げ作業が佳境で、スタジオへの行き帰りの道中しか読書する時間が作れませんでした。
とはいえ、小津安二郎監督について調べ直したり、小津のサイレント時代の映画を観たりと、充実した10月でした。

月末からは東京国際映画祭での【入江悠監督特集】も始まります。
ぜひ映画を観にお越しください。
わたしはすべての上映後に舞台挨拶させていただき

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2024年6月-7月の読書日記

2024年6月-7月の読書日記

2024年6月-7月こんにちは、入江悠です。
新作映画『あんのこと』の劇場公開がおかげさまでロングランしています。
嬉しいことです。

今回は2ヶ月ぶんをまとめて、2024年6月と7月に読んだ読書日記です。

1、「満映秘史」(岸富美子・石井妙子 著)

これはすごいノンフィクションでした。10代前半で映画編集の世界に飛び込んだ少女が、戦時中に「満映」へ渡り、編集技師デビュー。そこから怒涛の半生を

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2024年5月の読書日記

2024年5月の読書日記

2024年5月こんにちは、入江悠です。
新作映画『あんのこと』の劇場公開が始まりました。

更新が遅くなりましたが、2024年5月に読んだ読書日記です。
今月はたくさん読めました。

1、「僕が批評家になったわけ」(加藤典洋 著)

2019年に逝去された批評家の加藤典洋さん。敬愛して読んできましたが、この本は「なぜ批評という行為が大切か」「批評とはなんなのか」を平明な文章で明かしてくれまています

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2024年4月の読書日記

2024年4月の読書日記

2024年4月こんにちは、入江悠です。
新作映画『あんのこと』の劇場公開が近づいてきました。
2024年4月に読んだ読書日記です。

1、「海の稜線」(黒川博行 著)

何度目かの黒川博行さんブームが来て、今月は2冊の小説を読みました。
漁船について、登録と売買のことなど、知らなかったことがたくさん知れるのも黒川ミステリーの醍醐味ですね。この世界にもっとひたりたい。

2、「破門」(黒川博行 著)

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2024年3月の読書日記

2024年3月の読書日記

2024年3月こんにちは、入江悠です。
今月は映画『室町無頼』のアフレコ作業が始まりました。
2024年3月に読んだ読書日記です。

1、「イエスの方舟 同乗漂流」(サンデー毎日編集部 編)

わたしが生まれた年に起きていたことで、名称は知っていたけれど事態の推移について詳しく知らなかった。知らないで何かを断じることの怖さよ。ビートたけしさんが千石イエスを演じたドラマも観てみたい。

2、「くるま

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2024年2月の読書日記

2024年2月の読書日記

2024年2月こんにちは、入江悠です。
今月は映画『室町無頼』の発表がありました。
2024年2月に読んだ読書日記です。

1、「戦争責任」(家永三郎 著)

歴史的な名著です。
先月読んだ「文学が裁く戦争」(金ヨンロン 著)でこの問題をより詳しく知りたくなり、読みました。戦争責任については現代のものも含めてもっと勉強が必要です。

2、「たたかう映画ードキュメンタリストの昭和史」(亀井文夫 著)

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2024年1月の読書日記

2024年1月の読書日記

2024年1月こんにちは、入江悠です。
2024年1月の読書日記とオススメ書籍です。

1、「反骨 鈴木東民の生涯」(鎌田慧 著)

超一級の伝記、ノンフィクションだと思った。
歴史の影へ埋もれつつある、鈴木東民という傑出した人物を掘る。
新聞記者であり、運動家であり、政治家であり、郷土を愛した人であり、そしてフューチャリストである鈴木東民。その生涯が徹底した「下からの目線」で描かれていく。絶版な

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「平家物語」(古川日出男訳)を読んでみた

「平家物語」(古川日出男訳)を読んでみた

死ぬまでには読んでおきたい本。
3年前くらいに買った「平家物語」をつい最近、読み終わりました。
河出書房新社から出ている池澤夏樹責任編集のシリーズものの一冊。
分厚いです。
机にどどんと縦置きできます。
(※この記事は、わたしが主宰している映画メルマガ「僕らのモテるための映画聖典メルマガ」の連載から一部抜粋して転載しています)。

「平家物語」といえば、有名なのは書き出し。

「祇園精舎の鐘の声、

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「夜になるまえに」(レイナルド・アレナス)を読んでみた

「夜になるまえに」(レイナルド・アレナス)を読んでみた

死ぬまでには読んでおきたい本。

今回は、
「夜になるまえに」(レイナルド・アレナス)を読んでみた。

レイナルド・アレナスさんはキューバ出身の作家。
最後は亡命して、アメリカで亡くなっています。
この本はレイナルド・アレナスさんの自伝です。

数年前、親を連れてキューバ旅行にいったことがありました。

常夏の楽園、音楽に溢れた街。
とても幸せな旅だったのですが、「夜になるまえに」を読んでキューバ

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「科学革命の構造」(トーマス・クーン)を読んでみた

「科学革命の構造」(トーマス・クーン)を読んでみた

死ぬまでには読んでおきたい本。

今回は、
「科学革命の構造」(トーマス・クーン)を読んでみた。

何かのきっかけで買ったままだった、この本。
いわゆる「パラダイム」という言葉を広めたといわれている。

おそらく、この漫画を読まなかったら、ずっと「科学革命の構造」は本棚に刺さったままだったろう。
その、漫画とはこちら。

「チ。ー地球の運動についてー」(魚豊)

地動説の証明をバトンリレーのように

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「ペドロ・パラモ」(フアン・ルルフォ)を読んでみた

「ペドロ・パラモ」(フアン・ルルフォ)を読んでみた

死ぬまでには読んでおきたい本。

今回は、
「ペドロ・パラモ」(フアン・ルルフォ)を読んでみた。

前回読んだ「百年の孤独」と並び称されるラテン・アメリカ文学の傑作。
うーん、すごいです。
わたしは今なにを読んでいるんだ! からの、これはすごい感。
映像ではできない叙述トリックのような仕掛け。そして生者と死者が入り乱れる世界観。

街の顔役であるペドロ・パラモは、サム・ペキンパー監督『ガルシアの首

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「百年の孤独」(ガブリエル・ガルシア・マルケス)を読んでみた

「百年の孤独」(ガブリエル・ガルシア・マルケス)を読んでみた

死ぬまでには読んでおきたい本。

今回は、
「百年の孤独」(ガブリエル・ガルシア・マルケス)を読んでみた。

とにかく読了の達成感がハンパじゃない。
購入したままずっと本棚に刺さりっぱなしで、これは死ぬまで読まないのじゃないかとなかば諦めていたけど、ある作品が撮了したことを期に思い切って1頁めをめくってみた。
それ以降は、ずっとリュックに入れて少しでも時間があれば、頁をめくり続けた。意外と仕事の合

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「方丈記」(鴨長明)を読んでみた

「方丈記」(鴨長明)を読んでみた

死ぬまでには読んでおきたい本。

今回は、
「方丈記」(鴨長明)を読んでみた。

序盤の震災・火炎・飢餓の描写は、吉村昭「関東大震災」の描写を思い出す。いやむしろあちらの方が「方丈記」を参考にしたのかもしれない。
貧乏になって、職を追われたら、もう一度読み返したい。
まあ方丈に住めればいっか、と思えるかもしれない。

2022年8月読。