無理しないために必要なこと
わたしが思う体調管理の方法 ①
~自身の体調を知る~
わたしが、双極性障害を背負って一番感じたことは、自分の状態がつかめないというところだった。特に自身に対して管理方法など考えていなかった頃などはひどいものだった。躁状態の時ははしゃいで迷惑をかけ、うつ状態の時は落ち込んで迷惑をかけていた。今は双極性障害の症状はほぼ解消されているため、運用していないが、当時のわたしが双極性障害に振りまわれないようにまとめた対策方法をそのまま載せる。リワークで学んだWRAP(ラップ)と呼ばれるものがある。これは各々の症状の出方が違うため、それぞれの有効な対策を考えていこうというもので自身の体調管理を改善するのに非常に役立つ。躁うつ病患者が有志と共に編み出した方法であるのだから当然といえよう。下記に詳細と、当時のわたしの症状と対策を挙げていく。ぜひ参考にして欲しい。
WRAPとは?
Wellness Recovery Action Plan ・・・ 元気回復行動プラン
自分らしく生活していくための行動計画を立てるプログラム
⇒ 自分の取り扱い説明書
WRAPの基本理念(キーコンセプト)
(1)希望・・・いつでも希望を持って取り組む
(2)責任・・・自分の責任は自分が持つことが出来る(主体性)
(3)学ぶこと・・・自分が成長したり、学ぶ姿勢を忘れない
(4)権利擁護・・・自分の権利は守られている
(5)きちんとサポートを受けるようにする
WRAPに取り組む時はこれらを念頭に置く(必要であれば見返す)
WRAPの基本① 日常生活管理プラン
(1)「良い感じの自分」を書く
(2)良い感じの自分を保つ(元気でいる)ために「毎日するとよいこと」「ときどきするとよいこと」を書く
◆ 過去のわたしの例 ◆
~ 良い感じの自分 ~
穏やか、優しい、理性的、他人を気遣える、明るい、元気、社交的、静か、好奇心旺盛、冗談好き、控えめ、感情的にならない
~ 良い感じの自分を保つため、毎日するとよいこと ~
信号機を見る(自宅に掲示してある体調確認用の信号機、後述にて説明)、最低6時間は寝る、頭を使わない趣味の時間を必ず作る、犬と遊ぶ、リラックス出来る音を聞く、起きたことを頭の中で整理する
~ 良い感じの自分を保つため、時々するとよいこと ~
友人と話す、友人とお酒を飲みに行く、思い切り歌う、一人でバーに行く、喫茶店で本を読む
WRAPの基本② 元気の出る道具箱
あらゆる状況に対処するために道具箱を作成する。自分が元気が出ると思うことを出来るだけ多く書き出していく。
◆ 過去のわたしの例 ◆
好きなものを食べる、友人と話す、頭を空にして過ごす、ゲームをする、ユーチューブを見る、犬と遊ぶ、お酒を飲む作る、家族と話す、好きなものを調理する、少し寝る、シャワーを浴びる、音楽やリラックスできる音を聞く、本を読む、犬を眺める、テレビを見る、散歩する、美味しいものを見つける、難しいことをやり遂げる、歌を歌う、ドライブする、料理をする。
これらの中から、下記の対処する状況に使えそうな行動(道具)を当てはめていく。はずなのだが、当時の自分はよくわかっていなかったらしく、状況に対して自身の対処法が書いてあった。参考程度に留めて欲しい。
WRAPの基本③ 対処する状況(1)
(1)引き金
もし、それらが起きると気分が悪くなったり、調子を乱すきっかけとなるような出来事や状況
◆ 過去のわたしの例 ◆
身体の異常 ⇒ 出来るだけ細かく周囲に話す
否定・批判される ⇒ 自分のためのアドバイスと捉える
眠れない ⇒ 主治医に相談する
苦手な人と話す ⇒ 無心で話す
疲労 ⇒ 自分の体調をチェックして休む
心が痛むニュースを見る ⇒ 考えて仕方ないことは考えない
WRAPの基本④ 対処する状況(2)
(2)注意サイン
原因ははっきりしないこともあるが、自分の内側で起きている異変や調子の悪さ
◆ 過去のわたしの例 ◆
不安感・無力感 ⇒ 結果は出てみないとわからないと考えるのを止める
イライラ ⇒ 極力一人で過ごし、眠れるなら眠る
やる気が起きない ⇒ 早く終わらせ、好きなことをやる
衝動的になる ⇒ 深呼吸し、先ずは一度座り、落ち着く
考えが否定的 ⇒ 根拠が明確かよく考える
目がランランとする ⇒ 周りの空気をよく見る
休日が要らないと感じる ⇒ 休息も仕事だと考える
万能感がある ⇒ 落ち着いてタスク管理する
ミスが増える ⇒ 休息の時間を設ける
怪談を読みたくなる ⇒ うつ状態のサイン、体調注視
WRAPの基本⑤ 対処する状況(3)
(3)調子が悪くなっているとき
「努力はしたものの、調子がとても悪くなってきた。もう少し悪くなると危険な状態になりそうだ」という状況
◆ 過去のわたしの例 ◆
1日中眠ってしまう ⇒ 諦めて眠る
うまく休めない ⇒ 眠れない場合は休みをもらう
不動感がある ⇒ 無理して動かない
音を聞いていられない ⇒ 極力一人で過ごす
朝、起きれない ⇒ せめて早く寝る
WRAPの基本⑥ 対処する状況(4)
(4)クライシスプラン
自分一人で対処することが難しく、自分のケアの責任を誰かに委ねなければいけない状況
◆ 過去のわたしの例 ◆
自責感が離れなくなる ⇒
支えがないと歩けなくなる ⇒
失声症 ⇒ こうなったら一人にしておいて欲しいと
自己否定のうわ言 ⇒ あらかじめ周囲に伝えておく
人との会話が難しい ⇒
WRAPの基本⑦ 対処する状況(5)
(5)クライシス後のプラン
クライシスを乗り越えた後、誰かのサポートをどのように減らしていくか・どのように活動を再開していくかのプランを立てる。
◆ 過去のわたしの例 ◆
クライシスを脱したサイン ⇒ 人との会話、声や音に強いストレスを感じなくなる
自分にすること ⇒ 自分は病み上がりだとよく考える
サポーターにすること ⇒ マメにコミュニケーションを取り、なにが必要で必要でないか明確にしていく
~ 責任を取り戻す予定表 ~
責任を持ってやっていた事柄 ⇒ 経済的に自立
誰か代わりにやってくれていたか ⇒ 両親
徐々に責任を取り戻していくための具体的な手順 ⇒ 出来る仕事からやっていく。障害者手帳を取る。
~後述~
数年前に作成したWRAPですが、まだまだこの頃のわたしは見えてないなあと感じました。
よくリワークで出てくる相談事として、体調が悪くなったらどうすればいいですか、といった内容があります。わたしは、体調が悪くなった自身になにかを求めることそのものに無理があると考えていて、上記のWRAPのクライシスプランにもあるように、最初から体調が悪くなることを見越して周囲にあらかじめ伝えておくことが大切です。精神障害は波があるため、体調が良い時は安心してしまい、元気な自分を謳歌してしまいがちです。気持ちはよく理解できるのですが、元気なうちに体調を崩した自分のための環境を整えておかないと後で苦しくなってしまいます。決して油断しないことが精神障害を乗り越えるために、必要なことの一つだと思います。自身を本当に大切にするという意味でも、エネルギーがある方はWRAPを実践してみてください。
最後になりますが、自作の信号機のことです。これはわたしがリワークの自己分析で作った掲示用の信号機です。左から、紫、緑、黄、赤の順に信号があり、いつでも移動できるように矢印が下についています。ちなみに、紫が躁状態、緑は異常なし、黄は注意しろ、赤はうつ状態です。作成当時は、起床時に必ず信号機を確認し、自身の体調を自分に問いかけるということをしていました。今でこそ緑から動かないのでほぼ機能していませんが、わたしにとって思い出、教訓の一つなので、部屋に大切に飾ってあります。
今回はリワークで一番役に立ったと思えるWRAPを紹介させていただきました。次回は、悩みとの折り合いについての記事を投稿すると思います。それはわたし独自の方法のため、粗が目立つかもしれません。ご容赦を。
では、また。
皆さんの行き先に明るい未来がありますように。