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SF、読書のよろこびマガジン

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大人になってからSFの楽しみを知った人の記録。本が好き、ゲーム興味ないかたはここで。
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【読書】台北プライベートアイ2(ネタバレなし)

【読書】台北プライベートアイ2(ネタバレなし)

前作は風呂で読んだから紙がしけちゃったけど、今回は夏なので湯船の影響を受けない。
かわりにマウントレーニアのコーヒーをトートバッグに入れて、フタしてるから大丈夫だろう、って忘れててしっかりシミになっていた。

なんで毎回半月で好きな本をボロボロにできるんだ!

台湾のミステリー「DV8 台北プライベートアイ2」
読みづらい。進まない。わき道にそれる。
登場人物がやたらと多く、主人公は本筋と関係ある

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【読書】権力を持つ人はなんでもやる「ルナ・ゲートの彼方」

【読書】権力を持つ人はなんでもやる「ルナ・ゲートの彼方」

R・A・ハインライン「ルナ・ゲートの彼方」を読みました。

見た目で本を選んでいるので、この、あえて派手じゃない、といって古臭くもない、表紙が気に入った。

でも、amazonにはまた違ったテイストのカバーしか載ってない。美しいけど、本格派の難解なSFと似たタッチ。

新しいほうは「トライガン」の内藤泰弘によるもの。
小中学生から楽しめる「ジュブナイルSF」のシリーズなので、あえて少し昔の少年マン

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【読書記録】アーサー・C・クラーク「宇宙のランデヴー」にしびれた話をさせてください、さあ。

【読書記録】アーサー・C・クラーク「宇宙のランデヴー」にしびれた話をさせてください、さあ。

これの話です。何十年も前の作品なので、完全に結末まで言っちゃっていいと判断してしまいます。要はネタバレです。

「宇宙のランデヴー」は、遠い未来の、宇宙に飛来した謎の物体をめぐる物語。

銀河の果てから巨大な「くるくる回る水筒」みたいなやつが飛んでくるのです。最初は流星かなにかだと思ったが、明らかに他の文明によって作られたもの。
このまま行くと永遠にないのかと思っていた「異星人との接触」。そのとき

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【読書記録】アフリカ幻想冒険小説「薬草まじない」

【読書記録】アフリカ幻想冒険小説「薬草まじない」

まえのタイ小説に続いて、アフリカ小説。40年も前のものなので、さすがにネタバレしてもいいよね?

奥さんに子供ができる薬を求めて、さいはての地に住む「女薬草まじない師」に会うため、勇敢な狩人だった若者が旅に出る。
特にアフリカでは不妊は重要な問題だからね。

得意の弓を持って、ジャングルの奥地へ!立ちふさがる「首の取り外しがきく男」!
「アブノーマルな蹲踞の姿勢の男」!
日陰で休んでいたら日陰ごと

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ラッタウット・ラープチャルーンサップ「観光」今年ベスト短編集!

ラッタウット・ラープチャルーンサップ「観光」今年ベスト短編集!

タイ系アメリカ人の短編集。ハードル低かったのもあるけど、すごい良かった!誰かにオススメの短編聞かれたらこれにする!
こんなのとの出会いがあるから、ブックオフもたまには行くもんだな!

「カフェ・ラブリーで」
お兄ちゃんに連れられて初めて悪い遊び場に行くはなし。
お兄ちゃんについて行ったら大丈夫、と思っていたらシンナー吸いだしてわけわかんない状態になって、一人で取り残された少年が女の人にからかわれな

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なんでこんなに皆面白い小説書けるんだ!「ネイティブ・サン」と「我が友、スミス」

なんでこんなに皆面白い小説書けるんだ!「ネイティブ・サン」と「我が友、スミス」

重すぎる表紙とか「黒人作家の存在を知らしめた問題作!BLMの原点!!」とか、そういうの関係なく読んでくれ。ぼくは文庫はカバーとって裸で持ち歩いている。サスペンスとして目が離せない面白さと、作者の全人生を刻み込んだようなメッセージに圧倒された。

主人公は二十歳の黒人男性で、白人家庭に使用人として働けることになる。
そこがめっちゃいい家庭で、お嬢さんなんて
「私は肌の色に関係なく接するし、あなたたち

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ミン・スーが犯した幾千もの罪、沢木耕太郎を買う【読書日記】

ミン・スーが犯した幾千もの罪、沢木耕太郎を買う【読書日記】

まずタイトルと、逆光の男がドドーンと立ってる表紙でもう面白い。
中国系作家トム・リンのデビュー作となるヴァイオレンス・ウエスタン小説だ。

東山彰良の解説ではアメコミ映画を思い出したとあるけど、僕はジョジョの奇妙な冒険を連想した。
西部劇の世界観で超能力者が旅する話がジョジョかと言われると微妙だけど、作者が全く日本アニメを知らないことはないでしょう。

筋書きは、中国人の殺し屋が、見世物小屋の一座

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ディーパ・アーナパーラ「ブート・バザールの少年探偵」

ディーパ・アーナパーラ「ブート・バザールの少年探偵」

インドのスラムで起きた、子供の失踪事件。

スラムが題材の作品は「スラムドッグミリオネア」、小説だと「三つ編み」を読んだけど、それらが航空写真としたらこっちはハンディカメラで潜入したよう。
子供の視点まで姿勢をさげて、風景を細かく切り取る。

インド出身で貧困層の取材をしていたジャーナリストでもある作者が描く、スラムの少女が見つめる手のひらの描写はこんなだ。

「指のまわりにぐるっとできたマメやタ

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