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SF、読書のよろこびマガジン

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大人になってからSFの楽しみを知った人の記録。本が好き、ゲーム興味ないかたはここで。
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#SF小説が好き

【読書】珍しいSFの芥川賞作家。高山羽根子「暗闇にレンズ」

【読書】珍しいSFの芥川賞作家。高山羽根子「暗闇にレンズ」

なんでもっと話題にならんのや

高山羽根子作品を3作読んだけど、もっと話題になってないとおかしくないですか?

感覚が今っぽい。
男に頼らない、小柄でインドア派だけどひとりで平気そうな女性が主人公。

設定はSFが入ってるけど、読んでいる最中は純文学というか。解釈はある程度読者にまかせられていて、面白いけどスッキリは終わらない。難解だけど押しつけがましくない。ふしぎなバランス。

「暗闇にレンズ」

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【読書】権力を持つ人はなんでもやる「ルナ・ゲートの彼方」

【読書】権力を持つ人はなんでもやる「ルナ・ゲートの彼方」

R・A・ハインライン「ルナ・ゲートの彼方」を読みました。

見た目で本を選んでいるので、この、あえて派手じゃない、といって古臭くもない、表紙が気に入った。

でも、amazonにはまた違ったテイストのカバーしか載ってない。美しいけど、本格派の難解なSFと似たタッチ。

新しいほうは「トライガン」の内藤泰弘によるもの。
小中学生から楽しめる「ジュブナイルSF」のシリーズなので、あえて少し昔の少年マン

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SF小説の未来予知が間違っているとkawaii【読書記録】

SF小説の未来予知が間違っているとkawaii【読書記録】

アーサー.C.クラーク「火星の砂」を読みました。

1950年ごろ書かれたもので、SF大家の長編2作目になります。開拓中の火星を訪れた作家の物語。

初めての宇宙旅行で離陸に緊張する主人公、「水鉄砲式」で水分を補給していたが重力が戻ってくると嬉しくなってコーヒーを器に入れて飲みたくなる船員。つい持っていたものを落としてしまい、いけねえ重力あるんだった重力重力、ってなる感じ。
火星探索の前に「無重力

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【芥川賞】首里の馬、ババヤガの夜に震える

【芥川賞】首里の馬、ババヤガの夜に震える

#首里の馬

えっ!?こんな芥川受賞作あった?
と思ったら遠野遥「教育」と同時受賞で、向こうの話題性に隠れていたらしい。

地味な女の人が沖縄の資料を整理していたら馬が来たからどっか乗っていくというあらすじです。本当にそういう話。
世間と合わない人が、すぐには役に立たない情報を管理して保存する。
今「役立たず」「低収入」「陰キャ」とか言われてる人も、今1円の価値もないおもちゃや誰も見向きもしない情

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【読書】火垂るの墓は急にガンダムにならない「宇宙の戦士」(改稿)

【読書】火垂るの墓は急にガンダムにならない「宇宙の戦士」(改稿)

ロバート・A・ハインライン「宇宙の戦士」新訳版を読みました。

「パワードスーツ」を着て戦う小説で、数多くの漫画、アニメに影響を与えています。刊行されたのは1967年。
カバー絵のいかにも「ちょっと前のロボットアニメ」っぽいイメージで読んだ。(原題がSTARSHIP TROOPERS)

そのイメージからすると、すごいギャップがあった。

「機動歩兵」部隊の主人公は、金持ちの父に歯向かい、勢いで軍

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【読書】太田光をぎゅ〜っと原稿用紙1200枚に圧縮したら。 笑って人類!

【読書】太田光をぎゅ〜っと原稿用紙1200枚に圧縮したら。 笑って人類!

爆笑問題の太田光書き下ろしSF長編娯楽小説「笑って人類!」を読んだ!
完全なネタバレはしませんがある程度内容にふれて語りたい!

お笑い芸人がお笑い以外のジャンルで、ふだん表に出さない過去や暗黒面をぶつけてくるパターンがある。

ビートたけしが北野武になるんだら、太田光が超絶ダークな内容できてもおかしくないと身構えて買ったのに、出てきたのは愛するSF、ギャグ、ミステリー、オタク文化への愛もある、娯

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「三体ゼロ」を読み終わる。謎の気球が飛ぶ。

「三体ゼロ」を読み終わる。謎の気球が飛ぶ。

中国のSF小説「三体」シリーズ、これで全部読み終わった。
「三体」三部作以前に書かれた前日譚になる話で、テーマは謎の自然現象「球電」。

実際に目撃証言のあるもので、電気を帯びたシャボン玉のようなものがす~っと浮遊して消えるのだとか。
少年のころに出会った球電にとりつかれた男が、自然や電気を勉強していたら、情熱は出会いを呼び、武器にとりつかれた女性やら旧ソ連の技術者らと出会い、球電を武器に転用しよ

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【読書記録】アイザック・アシモフとキン肉マンがつながることもある

【読書記録】アイザック・アシモフとキン肉マンがつながることもある

今流通している古本はきれいなのがほとんどで、ブックオフも昔の狭い古本屋の、あの独特の爺さんの服みたいなにおいがしない。

これのページ開いたら歴史の臭いが漂ってきて、うわ、これ久しぶりだなこの感じやべー、と面白がって読んでいたら体がかゆくなってきた。衛生的な生活に慣れすぎている。

アイザックアシモフの短編「火星人の方法」を読みました。

火星の水不足を解消するために、氷の粒でできている土星の輪を

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