yukiko │ 文筆とアンティーク

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記事一覧

「生活と追憶」文学フリマ東京38 第一展示場w-11

1作目のエッセイと共に、新作『生活と追憶』を販売します。 2023年11月から2024年2月まで フランスのディジョンという街で暮らしていました。 華やかではないけれど、ま…

「静寂」

フランスの地方都市での生活に馴染んでくると、日本との圧倒的な違いに気がついた。フランスには「エンタメ」が少ないということ。いや、日本があらゆるエンタメコンテンツ…

noteを1年続けて気づいた「書くこと」が教えてくれたこと

努力や継続が極端に苦手である。しかし、書く、と決めると「あぁ書かなきゃ」「これも書きたいな」という出来事が次々と出てくる。かなり面倒くさい。 それなのに毎回、書…

眠れない夜と淡い夢|ブルゴーニュで借りぐらし

汗をすごくかいたと言って、恋人が夜中に目を覚ました。やがてまた、深い眠りに戻っていった。わたしの睡眠は不本意にも中断されてしまった。 窓からわずかに漏れる月明り…

300

ずっと、フランスで暮らしたかった

学生時代はパリへ留学。2023年春には、パリとリヨン、アヌシーに2週間弱の滞在。 それでもずっと、フランスで暮らしたいという思いが消えなかった。 もちろん日本に比べ…

書いていく決意は生活を愛する勇気だった

初めて自作のエッセイを作り、初めて出店した文学フリマで販売した。体験や感情、考えを届ける言葉そのものにお金を支払ってくれることの尊さや有難さは、ブースに立ち、販…

やさしいバリケード

11月11日に開催された「文学フリマ東京37」で、自費出版のエッセイを販売した。書き終えられた達成感や、本として形になる喜びは、今まで感じたことのないものだ。自分なり…

文学フリマ東京37に出店します

2023年の5月、「文学フリマ東京36」に訪れた。熱狂する大人たちが、とてもまぶしく見えた。こういう大人になりたいと思った。 それからわたしは、文学フリマから約5か月間…

世界と虚無を行ったり来たりしたい

旅が日常になって、新しい習慣ができた。ありふれているけれど、銭湯や日帰り温泉に行くようになった。 ハマったわけは、スマホを手放すことができるから。誰も、わたしの…

天草 アルバムをめくるように

ついに天草へ訪れることが叶った。 「天草」という土地に興味を持ったのは、今からおよそ10年も前。大学の講義で、隠れキリシタンについて学んだことがきっかけだった。た…

Instagramは一番長く続けているSNSだから連携できるようになってうれしい~!ストーリーで素を出しがち。

宍道湖のかたすみでアヌシーを愛した

目の前の旅に夢中だ。それでも、4月に訪れたフランスを頻繁に思い出す。観光らしいことは大してできなかった13日間の最終日、わたしはアヌシーにいた。アヌシーはスイスと…

分かち合えないことは、ふしあわせなことなのだろうか

次なる旅暮らしの拠点に向かう島根県 JR木次線の車両内。一両編成のこの電車は、山間や広々とした田んぼを通り過ぎた。綺麗。 「今日の花火、キレイかなぁ?」 ふと耳に…

旅が苦手な牡牛座さん

牡牛座さんは、自分の環境を心地よく整えると良いらしい。どの占いを見ても共通している。また牡牛座さんは、大きな変化が苦手。自覚はまあ、ある。どうもこれは、牡牛座に…

自分の世界の大きさを、彩りを、自分で定めない

自宅に戻らず、旅先から旅先へと旅を続けること、民泊施設に滞在すること。 旅に関することで「絶対にしない」と思っていたのがこのふたつだった。旅をするなら「絶対に」…

物にいだくいとおしさの正体

今回の渡仏は、蚤の市を巡る買い付け旅。 だから自分のお買い物はほとんどしていない。でも、ヴィンテージアクセサリーは例外。古いもの、引き継がれたものの魅力に憑りつ…

「生活と追憶」文学フリマ東京38 第一展示場w-11

「生活と追憶」文学フリマ東京38 第一展示場w-11

1作目のエッセイと共に、新作『生活と追憶』を販売します。

2023年11月から2024年2月まで
フランスのディジョンという街で暮らしていました。

華やかではないけれど、まばゆい瞬間があった90日間。インスタにのせるにはひかえめすぎる、
忘れたくはない日々を書き留めました。

お手にとっていただけたら嬉しいです!

本作に載せているエッセイを1編、noteでも公開しています。こちらもぜひ。

「静寂」

「静寂」

フランスの地方都市での生活に馴染んでくると、日本との圧倒的な違いに気がついた。フランスには「エンタメ」が少ないということ。いや、日本があらゆるエンタメコンテンツに溢れかえっているだけかもしれない。特に東京にいれば、無理なくおもしろがれる物事に簡単に出合えてしまう。

秋アニメには何をやるのかなとか、フリーレン展に行けなかったなとか、日曜日にやっているワンピース最新話をリアタイするとか。ぜんぶアニメ

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noteを1年続けて気づいた「書くこと」が教えてくれたこと

noteを1年続けて気づいた「書くこと」が教えてくれたこと

努力や継続が極端に苦手である。しかし、書く、と決めると「あぁ書かなきゃ」「これも書きたいな」という出来事が次々と出てくる。かなり面倒くさい。

それなのに毎回、書くことを選んでいた。物ぐさのわたしが、せっせと書いている。noteにアップする。アクセス数をしつこくチェックし、がっかりする。1年が過ぎようとしている。

さまざまなことが起きるのが現実だ。時に、つらいことやかなしいこと、できれば自分の人

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眠れない夜と淡い夢|ブルゴーニュで借りぐらし

眠れない夜と淡い夢|ブルゴーニュで借りぐらし

汗をすごくかいたと言って、恋人が夜中に目を覚ました。やがてまた、深い眠りに戻っていった。わたしの睡眠は不本意にも中断されてしまった。

窓からわずかに漏れる月明りに照らされている背中が、穏やかな寝息に合わせてうごく。わたしは山あいの村でたったひとり、取り残されているような気分になった。いや違う、ここはフランスだ。わたしはいま、フランスのブルゴーニュ地方で恋人と暮らしている。

あぁ、今すぐ日本の家

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ずっと、フランスで暮らしたかった

ずっと、フランスで暮らしたかった

学生時代はパリへ留学。2023年春には、パリとリヨン、アヌシーに2週間弱の滞在。

それでもずっと、フランスで暮らしたいという思いが消えなかった。

もちろん日本に比べたら、治安も悪いし、不便なことも多いし、ここに住む人を冷たいと感じることもしばしば。そういうところを十二分に承知した上で、「この国で生活を営んでみたい」と思ったのだ。



フランスで暮らし始めて2週間が経った。計画的になにか行動

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書いていく決意は生活を愛する勇気だった

書いていく決意は生活を愛する勇気だった

初めて自作のエッセイを作り、初めて出店した文学フリマで販売した。体験や感情、考えを届ける言葉そのものにお金を支払ってくれることの尊さや有難さは、ブースに立ち、販売したからこそ深く理解できた。おいしいケーキやすてきな洋服とはわけが違うのだ。

文フリやSNSを通して、わたしを知ってくださり、はじめての本を購入してくださり、本当にありがとうございました!

オンラインショップの準備ができました。タイト

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やさしいバリケード

やさしいバリケード

11月11日に開催された「文学フリマ東京37」で、自費出版のエッセイを販売した。書き終えられた達成感や、本として形になる喜びは、今まで感じたことのないものだ。自分なりに文章と向き合ってきてよかったと心の底から思う。

それから、ブログなどのオンライン上のプラットフォームに自分の文章を残すことと、本にすることは、まるで異なる行為だということを知った。

noteの横書きの文章を縦書きに直し、紙の素材

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文学フリマ東京37に出店します

文学フリマ東京37に出店します

2023年の5月、「文学フリマ東京36」に訪れた。熱狂する大人たちが、とてもまぶしく見えた。こういう大人になりたいと思った。

それからわたしは、文学フリマから約5か月間の大小の出来事を言葉にした。それらを束ね、ZINEにすることは、自分には及ばない大きなことだと思い、遥か遠くを眺めている心地がしていた。しかし現実は逆だった。ぴたりと張り付き、わたしそのものと同化していた気持ちを、丁寧にめくり取る

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世界と虚無を行ったり来たりしたい

世界と虚無を行ったり来たりしたい

旅が日常になって、新しい習慣ができた。ありふれているけれど、銭湯や日帰り温泉に行くようになった。

ハマったわけは、スマホを手放すことができるから。誰も、わたしの邪魔をすることができないから。スマホでさえも、わたしの時間を奪えない。スマホを持ち込んでしまう自宅のお風呂(嫌な習慣だ)とはわけが違う。

強制的にスマホから切り離される環境で、ようやくわたしは孤独に成れた。

ひとりきりの時間、べつに特

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天草 アルバムをめくるように

天草 アルバムをめくるように

ついに天草へ訪れることが叶った。

「天草」という土地に興味を持ったのは、今からおよそ10年も前。大学の講義で、隠れキリシタンについて学んだことがきっかけだった。たしか、隠れキリシタンの歴史そのものの講義というより、日本に影響を及ぼした異文化について時代別に学ぶものだった。隠れキリシタンのパートは、2,3週取り上げられただけで終わった。

その後、多くの作品でキリスト教を題材にしていた小説家・遠藤

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Instagramは一番長く続けているSNSだから連携できるようになってうれしい~!ストーリーで素を出しがち。

宍道湖のかたすみでアヌシーを愛した

宍道湖のかたすみでアヌシーを愛した

目の前の旅に夢中だ。それでも、4月に訪れたフランスを頻繁に思い出す。観光らしいことは大してできなかった13日間の最終日、わたしはアヌシーにいた。アヌシーはスイスとの国境にある街だ。

(書くといって放置状態だった旅行記。お次はパリについて書くといいつつ、最終日のアヌシーについて書き散らす...)

パリから始めた旅路はリヨンへ、そして最後にアヌシーへと向かった。移動するたびに澄んでいく空気に共鳴す

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分かち合えないことは、ふしあわせなことなのだろうか

分かち合えないことは、ふしあわせなことなのだろうか

次なる旅暮らしの拠点に向かう島根県 JR木次線の車両内。一両編成のこの電車は、山間や広々とした田んぼを通り過ぎた。綺麗。

「今日の花火、キレイかなぁ?」

ふと耳にした家族連れの会話をきっかけに、近くで開催されるらしい花火大会に行くことにした。花火大会なんて随分久しぶりだ。いや、わたしだけじゃない。日本のあちこちで中止が続いたコロナ禍を経て、みんなが数年ぶりに体験するお祭りなはずだ。

風情を感

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旅が苦手な牡牛座さん

旅が苦手な牡牛座さん

牡牛座さんは、自分の環境を心地よく整えると良いらしい。どの占いを見ても共通している。また牡牛座さんは、大きな変化が苦手。自覚はまあ、ある。どうもこれは、牡牛座にある「不動宮」という性質によるものだそうだ。

フットワーク軽く、サクサクこなしていくことができない。(仲間はいませんか)この部分にいつも苦しめられていた。働く環境や住まい、生き方をその時その時の感覚で柔軟に変容させていくのが上手な友人たち

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自分の世界の大きさを、彩りを、自分で定めない

自分の世界の大きさを、彩りを、自分で定めない

自宅に戻らず、旅先から旅先へと旅を続けること、民泊施設に滞在すること。

旅に関することで「絶対にしない」と思っていたのがこのふたつだった。旅をするなら「絶対に」ホテルに泊まりたいと思っていた。見知らぬだれかと生活領域を共にすることは、受け入れがたいことだった。

どうやら今年は、そういう”頑ななもの”を変容させていく年らしい。

変容というか、「あれ、こんなもん!?」「意外といけるじゃん」という

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物にいだくいとおしさの正体

物にいだくいとおしさの正体

今回の渡仏は、蚤の市を巡る買い付け旅。

だから自分のお買い物はほとんどしていない。でも、ヴィンテージアクセサリーは例外。古いもの、引き継がれたものの魅力に憑りつかれてから、ちょこちょこ収集しているものだ。自分の時間をあまり取れない分、蚤の市を巡るついでに、良き出逢いがあったらヴィンテージアクセサリーをお迎えしようと思っていた。実際、いくつかの出逢いに恵まれた。

ヴィンテージならではの佇まいは、

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