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旅が苦手な牡牛座さん

牡牛座さんは、自分の環境を心地よく整えると良いらしい。どの占いを見ても共通している。また牡牛座さんは、大きな変化が苦手。自覚はまあ、ある。どうもこれは、牡牛座にある「不動宮」という性質によるものだそうだ。

フットワーク軽く、サクサクこなしていくことができない。(仲間はいませんか)この部分にいつも苦しめられていた。働く環境や住まい、生き方をその時その時の感覚で柔軟に変容させていくのが上手な友人たちを、いつもうらやましく思った。わたしは何も成長できていない。ガラリと変化するのが、こわい。それでいて、今の暮らしもそこそこ好きなのだ。ほどよい心地よさに浸かり続け、いつの間にか変化がこわくなってしまったんだっけ。

そんな時に「ADDress」を知った。

地元の人や家守(ADDressのオーナーの名称)に教えてもらったおすすめの居酒屋や場所を訪れたり、たまたま見つけたお店に入ってみたり、ただただ、散策したり。

日常生活で遠のいていた小さな好奇心(あるいは好奇心にも満たないなにか)が、旅をして育っていった。自分の中にも僅かな軽やかさがあることを知れて、うれしい。同時に、自分ひとりで変わる必要なんかないのだ、とも思った。

静岡のひみつのトンネル

旅暮らしも板についてくると、久しぶりに我が牡牛座さんが再び顔を出し始めた。

洋服は動きやすさを優先するけど耳元は楽しむ

旅とはいえ、身軽であればいいわけじゃない。本当にお気に入りの物を持っていきたい。でも、わたしのお気に入りって何なんだっけ…?この頃は、あれこれと思案しながら旅先での所有物を厳選し続けている。

きっとわたしの持ち物も、わたしのホームであるはずだ。

『魔女の宅急便』を思い出した。

冒頭、キキは一人前の魔女になるため、修行の旅に出る。キキは旅に持っていく物を無造作にトランクにつめるが、選び取るそれらすべてからは、彼女の愛着を強く感じる。わたしも旅に出るかのように、この場面を観るときは毎回、胸を躍らせていたのを憶えている。

旅の途中、バックパックを新調した。その中には、未だに一度も着ていない服もある。これから先、旅を重ねるごとに、持ち物の顔ぶれも変わるのだろう。その時はきっと、なんらかの出会いや心境の変化があるのかもしれない。また同時に、持ち運べるわたしのホームたちが、わたしの旅を形づくるはずだ。

変化が苦手な牡牛座さんは、案外、旅に向いていたりして。

エッセイストとして活動することが夢です。自分の作品を自費出版する際の費用に使わせていただきます。