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暇な時に考える哲学

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アラサーのアキは暇になると物思いに耽ってしまう。 アキの考えてしまうことはなんなのか、 アキの日常を少し覗いてみましょう。
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記事一覧

第10話「別れの儀式」

第10話「別れの儀式」

アキは都会に勤めるアラサー。
今日はお休みだが喪服を買いに来た。近くはないが親戚の人が亡くなったため、葬儀に出ることになったからだ。
こんなに嬉しくない買い物はないだろう。

買い物をして帰宅した。
真っ黒い服を見たせいか、気分まで暗くなり何もする気にもならない。
こういったときは何か考え事をして気を紛らわせるしかない。
んー。葬儀について考えてみよう。

そもそも葬儀と言うのも不思議なものだ。

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第8話「伝え方」

第8話「伝え方」

アキは都会に勤めるアラサー。
勤務の隙間の小休憩をとっていた時にどこからか怒号が聞こえてきた。
ああ、またあの人が怒鳴っているのか。
顔を見るまでもなく声だけで誰のものかわかるその声は隣の部署の部長だった。
怒号とも取れるその言動は、隣の部署のアキのところまで悪評は轟いていた。
本人の仕事ぶりは悪いものではなさそうだが、その言動のせいで誰も部長を慕っていない。
勿体無いなとアキは思った。
学生の頃

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第7話「デジャヴ」

第7話「デジャヴ」

アキは都会に勤めるアラサー。
今朝は少し早めに家を出て会社に向かう。余裕もあって、混んでもいない電車は新鮮で気持ちがいい。
ふと、そこで突然前にもこんなことがあったような気がした。
こんな早くに出社するのは初めてなのにも関わらず、前にも経験したような気持ちになった。
フラッシュバックともデジャヴとも言うこれは一体なんなのだろう。
アキは少し考えてみることにした。

この経験したこともないことをあた

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第6話「次元」

第6話「次元」

アキは都会に勤めるアラサー。
アキは暇さえあるとYouTubeを見る。
今日もお昼休みにYouTubeを見ていた。仕事の唯一の至福のときだ。
たまにこういったおすすめ欄に「見えない世界」についての話をしているチャンネルがある。心霊現象や、スピリチュアルなどの人間では通常認知できない世界のことだ。
アキには何も見えない。
こういう見える人たちは何が見えているのだろうか。
見えない自分が考えても仕方な

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第5話「嘘」

第5話「嘘」

アキは都会に勤めるアラサー。
しかし今日は休日、よく晴れている。
家でリラックスして過ごしていたところ外で放送が流れていた。
「…振り込め詐欺が多発しています…」
前後がぼやけてよく聞こえないが、振り込め詐欺には気をつけよという内容だった。
こういう外のアナウンスが聞こえにくいのはいかがなものかと思うが、こればっかりは仕方ないのだろう。
それよりも「振り込め詐欺」はこんなに気をつけろと唱えているの

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第四話「先入観」

第四話「先入観」

アキは都会に勤めるアラサー。
仕事終わりの帰宅の途中、駅で電車を待っていた。
残業終わりのこの時間人はほとんどいなかった。アキはスマホでSNSを見ていた。
そういえば、よく「ガラの悪い人が実は優しくて自分の先入観を恥じる」といった内容のSNSの投稿を目にする。
皆が一度は恥じる「先入観」。なんとなく使っていた言葉だがそもそも「先入観」とはなんなのだろう。
アキは仕事で疲れてはいたが、スマホを眺める

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第三話「性」

第三話「性」

アキは都会に勤めるアラサー。
今日は休日で、溜めていた動画を朝から見ていた。
おすすめに誹謗中傷のすえ亡くなった、著名人のサムネがあった。
その方は心は女性、体は男性だ。
とても煌びやかな方で、カリスマ性もあったせいで格好の的になってしまったようだ。
その様はまるで中世の魔女狩りだ。
そんなに性は大切なことなのか。
お腹も空いてきたので、アキはラーメンでも作りながら考えることにした。

この世には

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第二話「恋愛と結婚と絆」

第二話「恋愛と結婚と絆」

アキは都会に勤めるアラサー。
この日は仕事が休みで1人、観光地に出掛けていた。
リフレッシュのつもりだったが、想像よりも多くの人で賑わっていた。
カフェのテラスからボーッと人の流れを見ていると、
カップルや家族連れが多く見られた。
こちらは1人なので、ただただボーッと「ここにいるみんなは恋愛を楽しそうにしているなあ。」と考えていた。
近頃アキの周りは結婚ラッシュの流れに呑まれ、
恋愛相談が多かった

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第一話「前世」

第一話「前世」

アキは都会に勤めるアラサー。
今日も通勤時に、動画を見て時間を潰していた。
ふと、おすすめに前世の記憶を持つ少年のドキュメンタリが上がってきた。普段なら見ないでスルーしてしまうが、今日はなんだか目に止まった。
その少年は、前世の死の瞬間の記憶まで持っているらしく3歳にはその出来事を両親に伝えていた。
その動画を見ているうちに「前世」について少し考えてみようと思い、スマホをしまい目を伏せた。

前世

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