創作工房ものがたり

タンタン。トントン。丹念に糸を紡ぐ機織り職人のように。 ことばと写真と画で、出会いを紡…

創作工房ものがたり

タンタン。トントン。丹念に糸を紡ぐ機織り職人のように。 ことばと写真と画で、出会いを紡いでいます。 〝食べる〟を考える風土ライター/薬膳コーディネーター  24節気・風土・歴史・生態系を軸に「食」を探究中。 食のことや、日々のつれづれなど綴ります。

最近の記事

語って食べて、踊る。霜月の夜は更けて

11月2日(土)は発酵合宿に参加。 合宿と言っても泊まりがけではなく、 「発酵について」を軸に、朝から夜まで〝食〟についての座談会です。 場所は福岡・糸島の海水浴場にある海の家。 前日は台風21号の影響で大雨警戒注意報が出され、この日も朝は大雨。 大ぶりの雨の中の集会で繰り広げられる食の談義。 もうこれだけで十分マニアック。 パネリストは独自の道を切り開き 日々研鑚している九州各地の食の職人たち。 味噌、漬物、醤油と麹、ハチミツ、土と微生物についての 体験談&実験談などを

    • 霜降:朝露が伝える秋の深まり

      朝7時前、中庭に朝日が射し込み、 雑草についた水滴が光を反射してチラチラ輝いている。 水玉の息吹に満ちた時間は、ほんのいっとき。 太陽がのぼるにつれ、水滴はスッと消えていってしまう。 そばに行き、しゃがみ込んでのぞきこまないと見えない世界。 春先、初夏、初秋、そして晩秋と、季節の変わり目に出合う光景。 草取りを考えるとうんざりする庭の雑草も、 こういうときは優しい眼差しで見つめていられます。 24節気の霜降は「霜が降りる頃」という時季ですが、 今はまだ「霜」ではなく、「

      • 霜降:移ろう秋に鶏と冬瓜の薬膳スープ

        新聞紙にくるみ、日陰の風通しのよい場所で保存していた冬瓜。 どんな料理で食べようかな・・・と思っているうちに早2カ月。 思い出したように新聞紙を開いて硬い皮を切って中をみると、 まだ水分を保ってきれいな状態。 冷暗所で保存して置くと冬まで持つということから、 冬の瓜と書いて「冬瓜」。 なるほど、たしかに長期保存に向いている。 ということが、料理に迷っている間に確認できました。(^_^;) さて。冬瓜を使って薬膳スープなど。 空気が乾燥する秋。晩秋は肺を温めて養いましょう。

        • 霜降:天高く、コスモス笑う秋の食卓

          取材の帰り、秋桜が華やかに咲きそろう広場を見かけ、 ちょっと立ち寄り。 澄んだ空気、コスモス畑の上に広がる雲、空が高くて気持ちいいー。 夕餉の買い物にて。 鮮魚コーナーのやや端のほうに置かれたサンマ2匹入りパックが 目にとまり、立ち止まる。 うーん・・・。 〝新物〟シールが貼ってある少し細身のサンマが心なしか寂しげに見えて、 過ぎゆく秋を惜しむようについ買い物カゴへ。 そんな建前のような思いの奥にあるのは、きっと 「サンマ食べたい」というだけのこと。 そんなわけで、夕飯

        語って食べて、踊る。霜月の夜は更けて

          旬やさいの薬膳おむすび:      寒露に味わう、チンゲン菜&落花生みそ

          通年スーパーでみかけるチンゲン菜。 料理の万能選手で個性が埋もれがちですが、旬を迎えた今、 さっと湯通しをしてお浸しで食べると、歯切れのよいシャキシャキ感に、 「ああチンゲン菜って、こんなにおいしいのね」と、 あらためてチンゲン菜の存在を感じます。 そして落花生もおいしい季節。(9~11月)。 旬の落花生はちょっとキケンです。 なぜかというと、 塩ゆでしただけでおいしくて食べるのが止まらなくなるから・・・。 茹でたての落花生の殻を両手の指で押してパカッと割って、 薄皮ごと

          旬やさいの薬膳おむすび:      寒露に味わう、チンゲン菜&落花生みそ

          秋の吉野ヶ里遺跡:弥生の里で味わう おむすび

          今年もおにぎりアクションに参加。 11月16日の締切りまでに、できれば何度か投稿してみたいと思います。 どんなおむすびにしようと考えたとき、 まず浮かんだのがタイトル写真の構図でした。 (〝おむすび〟の名称を好んでいるので、文中はこちらを使用) この写真を撮るために吉野ヶ里に行った というわけではなく、蔵開きイベントに参加した丸秀醤油さん(佐賀市)に向かう道中にあるんです、吉野ヶ里遺跡公園。 ということで、まずは竪穴住居と「塩むすび」。 この日はとにかく風が強くて。 お

          秋の吉野ヶ里遺跡:弥生の里で味わう おむすび

          2年かけてつくる木桶の醤油仕込みの体験

          創業120年、天然醸造の醤油づくりを続ける 佐賀の丸秀醤油さんの蔵開きイベントを訪問。(10月6日) 今年は「木桶仕込みのワークショップ」があるというので、 これはぜひ参加したい! と2年振りに一路佐賀へ。 六代目秀島健介さんの「醤油の製法」についての話を聞く。 醤油の原料は大豆・小麦、(麹菌)、そして塩と水。 蒸した大豆に煎って砕いた小麦を混ぜ、麹菌をふり、 3日かけて(醤油)麹をつくる。 醤油麹と塩水を混ぜたもろみ→発酵・熟成→圧搾→火入れ→完成。 一般のしょう

          2年かけてつくる木桶の醤油仕込みの体験

          彼岸花が咲き、サンマを味わう    秋分(9/22~10/7)の終わり

          お彼岸が近づくと、庭先の彼岸花が咲き始める。 必ずお彼岸の中日(9月21日~23日)に満開になる。 遅すぎず、早すぎず。 ひょこっと地上に顔を出したかと思うと、スーッとのびてパッと花が開く。わずか1週間ほどの間。 地上に現れ、花を咲かせるまでのそのわずか1週間を、彼岸花はいったいどうやって決めるのか、きっちりピンポイントでお彼岸に合わせて咲く。 毎年咲き始めると「あ、もうすぐお彼岸」と気づく。 そんな律儀な彼岸花が、今年はお彼岸が近づいても咲かなかった。 あまりの暑さに今

          彼岸花が咲き、サンマを味わう    秋分(9/22~10/7)の終わり

          秋の八宝菜:移りゆく季節を器に

          色の変化を見せてくれるピーマンにワクワク。 この色を活かした料理は・・・? 秋の薬膳:創作レシピ「秋の八宝菜」 季節の素材を入れて、8つの材料。 ・キクラゲ・シメジ・さつまいも・鶏肉(気を補う) ・人参(血液を養う) ・たまねぎ(気の巡りを促進) ・やきえび(腎の働きをおぎなう) ・ピーマン(脾胃を温める) *生姜・にんにく入り 味付けは塩・酒・みりんとかつお汁、隠し味にしょう油を少々。 仕上げに水溶き片栗粉を全体にからめ、完成。 シャキシャキのピーマンの食感と ホ

          秋の八宝菜:移りゆく季節を器に

          中秋の名月:お月見おむすびで月に思い馳せる

          奈良時代から平安時代の頃に中国から伝わったという月見。 歌を詠んだり音楽を奏でたり、 「月見の宴」を開いていた平安時代の貴族の習慣が後に庶民に伝わり、 江戸時代の頃には五穀豊穣や収穫の感謝をこめてお供えをする 行事になっていったようです。やがて月見を楽しむイベントに。 北米の先住民には毎月の満月の呼び名があり、 9月の満月は「ハーベスト(収穫)ムーン」。 秋の収穫への感謝とその思いを月に託す思いは、 人の心に共通にあるものなのかもしれない。 縄文・弥生時代の頃、おそらく

          中秋の名月:お月見おむすびで月に思い馳せる

          ふぞろいきゅうりの個性を楽しんでみる

          9月は夏野菜から秋野菜が出るまでの、野菜の端境期。 スーパーに行けばなにかしら並んでいて、 毎日、店頭に品数をそろえるのは大変だろうなぁ、 なんて思うのですが。 旬のもの、時季のものにこだわると、 春菊、チンゲン菜にはまだ早い。 ほうれん草、小松菜はもっと後かな。 こだわりすぎてもよくないかもしれないけど・・・。 何を買おうか迷っていると、 大小、形の不揃いなものを袋詰めにしたキュウリが目にとまり、 「あ、お買い得」と無目的に購入。 個性豊かなキュウリたち。 「さーて、

          ふぞろいきゅうりの個性を楽しんでみる

          8月の終わり:熟しピーマンと秋の気配

          ピーマンの旬は6~8月。 きれいな緑色に夏野菜らしさを感じますね。 旬の終わり、名残の時期になると赤く熟してきたピーマンを見かけます。 熟しかけは見た目の色があまりおいしそうに見えませんが、 苦味や辛味が弱まり、食べやすくなります。 緑から赤へ。 名残のピーマンを炒めものに。 ニンジン・玉ねぎ・ヤリイカ・生姜・ニンニクと一緒にジャジャッと炒めて、下味に酒としょう油を少々。ケチャップをからめたら水分が飛ぶまでしっかり炒め、仕上げにバターを隠し味程度に混ぜて出来上がり。 和

          8月の終わり:熟しピーマンと秋の気配

          処暑:ナスで楽しむ暑気払い その2

          おむすびって、食欲がないときでも 目の前にあるとつい手が伸びてしまう。 もっとも、食欲あるなしに関係なく、 年中いつでもどこでも、おむすびはおいしい♪ 夏の養生ごはん。その2 皮をむいたナスとちくわと煮干しの煮物。(千切り生姜入り) 冷蔵庫のあり合わせで作る即効料理です。 「あるもので」料理ですが、立派におかずの一品にヘンシン。 出汁であり、具でもある煮干しがいい味を出してくれます。(笑) 鍋に材料を入れ、酒・みりん各大さじ1と 具が浸る程度の水を入れ、中火にかけます

          処暑:ナスで楽しむ暑気払い その2

          処暑:ナスで楽しむ暑気払い

          暦では処暑(8/22~9/6)に入ったとはいえ、 日中はまだまだ酷暑。 で、今が旬のナスの出番。 インド原産のナスの美味しさが一番発揮されるこの時期。 煮ても焼いても揚げてもおいしい。 ナスが旬を迎えると食べたくなるんですよ、「田舎煮」。 油で炒めて、煮るだけ。油で炒めて、煮るだけ。 ナス(5本)の色が変わるまで油で炒め、 水カップ1とみりん大さじ2~3を入れ、 落とし蓋をして中火で4~5分ほど煮る。 しょう油大さじ2を全体にまわしかけ、 ナスがクタッとなるまで煮る。(

          処暑:ナスで楽しむ暑気払い

          梅雨時のジメジメを、スカッと飛ばす養生ごはん

          鮮魚コーナーの「カツオのたたき」が目にとまり、 柵のパックを手に取り買い物かごに入れてから、考える。 切り身にして「たたき」で食べる? 玉ねぎスライスにおろし生姜、薄切りニンニク・・・。 合わせる食材を考えているうちに、 材料はそのままで「生姜焼き」風に食べてみたくなり、 頭の中のイメージはこんな感じ、で出来上がった晩ご飯です。 <焼いて、からめて、ごちそうさんカツオ> 2人前 ・カツオのたたき1柵(マグロなど):好みのサイズにカット ・たまねぎ1個:縦細切り ・ニンニク

          梅雨時のジメジメを、スカッと飛ばす養生ごはん

          6月、田んぼに水を引く頃。大地と触れ合う、手植えの田植え

          6/5から24節気の「芒種」に入りました。(~6/20) 「芒ある穀るい稼種する時なればなり」(暦便覧) 「芒」はイネ科の植物の穂先にある針状の突起のこと。 「のぎ」とも読み、芒種はこの「芒」を持つ穀物の種まきや刈り入れ、 田植えを始める時季です。 取材でお世話になった子育てボランティアサークルの方に誘われ、 みなさんの田植えの様子を見学させてもらいました。 6/2(日)の朝9時、田んぼに集合。 集った40人ほどの人々が、 昔ながらの木枠を使って早苗の手植えをいざ実行!

          6月、田んぼに水を引く頃。大地と触れ合う、手植えの田植え