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語って食べて、踊る。霜月の夜は更けて

11月2日(土)は発酵合宿に参加。
合宿と言っても泊まりがけではなく、
「発酵について」を軸に、朝から夜まで〝食〟についての座談会です。

場所は福岡・糸島の海水浴場にある海の家。
前日は台風21号の影響で大雨警戒注意報が出され、この日も朝は大雨。
大ぶりの雨の中の集会で繰り広げられる食の談義。
もうこれだけで十分マニアック。

awauta brownrice / 嘉村商店 / 福⑧堂/ peace man style / ここく / 発酵農園 / かもすてらす

パネリストは独自の道を切り開き
日々研鑚している九州各地の食の職人たち。
味噌、漬物、醤油と麹、ハチミツ、土と微生物についての
体験談&実験談などを聞きながら、黒豆・小豆入りで作った味噌や
20年ものの味噌、採りたてのハチミツの層などを試食するという
楽しい学びの時間。

それぞれの味噌をおみそ汁で食べ比べ
大分・玖珠の山奥に巣箱を置き、
日本ミツバチのハチミツを採る福⑧堂さん。
巣箱からの採蜜を見学&試食。
春に集めたハチミツの層。口の中でスッと溶けるすっきりした甘さ

夕食は熊本・月亭さんの和食。
「まず川や野山に自分で食材を調達しに行くことから始まります」
という上月さん。
旬の食材を使った料理はおいしいだけではない、
奥深さが伝わってくるものでした。

<四方竹とむかごの煮物>
鰹出汁にムカゴの出汁が入ってよりおいしい。 それを筍が吸ってまたおいしくなる。
<鮎の肝を巻いた、肝みそ揚げ>蓼酢で。
蓼は鮎が上ったり下ったりする川縁によく生える。
昔からアユと一緒に使われる相性のいい植物。
<穴熊の燻製>と< 鴨の出汁で炊いた焼きねぎの煮浸し>
近隣で増えて困って穴熊を、 裁いておいしく食べられるように調理。
獲った鴨の脂を活かし、出汁で炊いた焼きねぎ
<穴熊と水菜のはりはり鍋>
<里芋のから揚げ><地キュウリの煮物とカボチャの南蛮煮><クルミ豆腐>
<茄子の田楽>
トロッとした茄子とコクのある味噌がおいしい
<炊き込みご飯>
マコモ、銀杏、落花生
マコモは、もともとはススキみたいな細い茎。そこにクロボ菌が入ると太っていく。
<山東菜と四角豆とさつまいもの胡麻和え>

食事を出してもてなすために奔走する様子が語源の「馳走」。
「ごちそう」の意味も味わいながら、1品1品の料理を楽しみました。

そして最後は盆踊り♪ (11月に盆踊り!?)
なんと糸島盆踊り研究会による三味線・太鼓・歌の生演奏で踊るという、
本格的なもの。

炭坑節、ドンパン節などなど♪♪

盆踊りなんて小学生以来・・・。
輪に加わり、見よう見まねでギクシャクと踊ってみる。
手拍子を打ち、その場でくるっと回る。
進んで下がって、また進む。

音楽に合わせて踊りながら何周も円を描いているうちに、
なんとなく輪がまとまってゆき、一体感が出ているのが分かる。
なにより、みんなとても楽しそうに真剣に踊っていて。
もちろん私も。

「語る、食べる、踊る」。
やっぱり、これが暮らしの根幹にある大切なものなんだろうなぁ。
両手を上げたり、左右にヒラリヒラリと振ったり。
踊りながらそんなことを考えてみる。

11月の雨上がりの夜。
漆黒の海からザザーン、ザパーンと波音が響く中、
海の家の照明に照らされ、
砂地で初対面の人々が輪になって盆踊りを踊っている。
このなんとも言えない不思議な非日常の体験が、
浄化と吸収を同時にもたらしてくれているような。

ディープでマニアックな世界に触れ、
私の中の食の心得もなにか醸されているかもしれない・・・。

明日から立冬。
どうりで。
風がまた少し冷たくなりました。


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