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私は漂流している。時間を。空間を。 此処がなんであるのか。そんな事は解らない。考えても意…
私たち4人はこの公園のこの場所でよく遊び、よく語り、たまに喧嘩をして育ってきた。 社会…
康広は子供の頃からでかい。最初に間近で見た時は本当に大木が服をきているのかと思ったほど…
『仁美』 この場所に一人で通うようになってどれくらいが経つだろう。ここへ来たところ…
「具合悪いの? 保健室行く?」 優しい声だった。学校で聞くあたしへ対する初めての優しい声…
三限目の始まりを告げるチャイムが鳴り響くと、皆は散り散りに自分の席へ戻っていった。そし…
『陽太』 最後に見たのはうんこだった。 昨日オレは洋子の婚約祝いで昼間から酒を呑んでいた。そのまま今日の明け方まで騒いでいたせいで日課の散歩に行けなかったからか、帰ってきたオレに愛犬リュウはワフワフ言いながらピョンピョンとおねだりをしてきた。 老犬のはずなのだが元気である。喜ばしい事なのだが、大型犬に跳びつかれるのは鬱陶しい。 ワシワシと頭を撫でてから、自分の部屋に戻って一眠りした。目が覚めるともう夕方手前の時間だった。リュウの散歩に行ってあげようと思い、汗臭いシ
「こんな住宅地に森?」 ただ木々と、その隙間を 埋め尽くす雑草だけの世界に見える。まるで…
『潤』 大学へ入ってから、特に親しい友人も作らないまま半月程経っていた。 …
彼女はよくパスタを作ってくれた。 インスタントスープをうまいこと味付けに使っていたので…
『穴』 辺りは淡い暗闇に沈んでいる。雲のない空から降る満月からの光は、頼り無くでは…
「二人共仲のいい兄弟みたいで見てて楽しいって洋子が言ってました。葬式の時にはこうしてお話…
それからどれくらいの時間が流れただろうか。 村山は穴の壁を調べている。そして不機嫌そう…
「いたいよぅ」 やがて陽太は少し落ち着きを取り戻したようだったが、紫色の指の形をした痣から痛みがひかないらしく、頻りに頬をさすっていた。 「本当に痣になってない?」 「……全然なってないよ。少し……赤くなってると言えばなってる気がするかな? ねえ村山君」 「え……そうですね。少し強くやりすぎましたね。」 涙目だが、鋭い目つきで村山を睨む陽太。それを見た康広が宥めるように言う。 「お前が白目を剥くような事になるとは思ってなかったんだよ……ごめんな」 「てめー。こい