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狩野ミチ
2025年2月13日 19:30
北三陸の港町では、春の味覚として「あかはた」が親しまれている。八戸市の沿岸部では「あかっぱ」とも呼ばれるこれは魚のアカハタではなく、和名をアカバギンナンソウという北太平洋に生える海藻の一種のことだ。「あかはた」という呼び名こそ用いられないものの、北海道でも稚内市を中心とした宗谷地方では「仏の耳」や「耳こ」、「銀杏草」などと呼ばれ、味噌汁の具材などとして親しまれている。 柔らかく特有の旨味が
2024年11月14日 19:30
「梅の実を塩漬けにした保存食」と言われれば、日本全国で一般的なものは梅干しだろう。 梅干しを作った経験がある人はわかると思うが、梅干しはその名の通りに途中で梅を干す工程が入る。そのおかげで適度に水分が無くなり、独特の食感が生まれると共に携行性が増し料理にも使いやすいというメリットが生じる。 対して秋田県や青森県などの北東北の一部地域では、この「干し」の工程を挟まない梅漬けという保存食が存在す
2024年9月26日 19:30
北東北の太平洋側のスーパーでは、よくタラの丸干しという干物が売られている。 丸干しと言っても頭と内臓を取り除いたドレスと呼ばれる状態で干したもので、さらに言えばタラはタラでもよくイメージされる大きなマダラではなく助宗たら (標準和名はスケトウダラ、あるいはスケソウダラ)と呼ばれる大きくても30センチ程度の小ぶりなものだ。 助宗たらと言われてもピンとこない方も多いかもしれないが、いわゆるタラ
2024年8月29日 19:30
一般的にヤマモモというと、漢字で楊梅と書かれることが多い鮮やかな赤い果実をつける植物を指すと思う。 しかし青森県の三八地方 (※)ではお盆明けの短い時期に、同じく「ヤマモモ」の名で呼ばれる謎の果実が売られていることがある。※ 八戸市を中心に、階上町や五戸町などの青森県南東部の地域 今回この「ヤマモモ」を購入したのは、青森県八戸市で行われている館鼻岸壁朝市だ。 館鼻岸壁朝市は毎週日
2024年8月1日 19:30
日本全国には、伝統野菜として古くから栽培されてきた野菜が数々ある。 各地域毎で長年に渡り品種改良が行われてきた作物たちはそれぞれ独自の性質を有している。その多様性は時に今現在広く栽培されている主力品種のベースとなり、日々様々な品種が作られては我々の食卓に登っている。 例えば現在寒冷地で広く栽培されているニンニクの品種である福地ホワイト六片は、かつて青森県に存在した福地村 (現在は南郷村に編
2024年4月18日 19:30
2024年。4月も半ばの今、北東北は桜の盛りを迎えている。 花見の定番といえば、間違いなく団子と桜餅だろう。桜の名所と名高い青森県の弘前公園でも、桜祭りの季節には有名な花より焼き団子などが売られ、コンビニやスーパーでも関東風・関西風問わず様々な桜餅が売られている。 しかし青森では、団子や桜餅と並んで一風変わったものが花見の定番としてこの時期にもてはやされている。 それがタイトルにもある通
2024年3月7日 19:30
青森県の八戸市では、毎年2月1日から3月の終わりまで八戸ブイヤベースフェスタというイベントを開催している。 ちょうどえんぶりの期間と重なることもあり、えんぶりを見に来た際にポスターなどを見かけた方も少なくないと思う。 このイベントの期間中、八戸市内の様々なレストランでは八戸港で水揚げされた魚介類を用いた各店舗オリジナルの八戸ブイヤベースが提供される。 ブイヤベースはフランス南部などで見ら