ミモザの候 14: いのちが交錯するとき
道端で倒れていた父が真夜中に救急車で運ばれたちょうどその頃、伯母は看取りの時期を迎えていた。異母妹にあたる彼女の世話を、母はそれまで何年も続けていた。グループホームへ戻りたい、という彼女の願いをかなえるために、看取りの退院の手続きに入っていた。
病院とは医療的処置をする場である。この至極あたりまえのことが、家族のいのちが消え入りそうな時には、きわめて残酷な事実としてつきつけられる。
実際、父のあの時には、医師の説明を受けて廊下に出ると、「もう、ここではすることはありません