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コンテンツ会議

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毎週金曜日に行っている #コンテンツ会議 にて取り上げたnoteをまとめています
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#本

私にとっての阪神 『細雪』との出会い

私にとっての阪神 『細雪』との出会い

生まれも育ちも関東で、親戚も関東圏内にしかいない私の境遇からは、谷崎潤一郎の『細雪』という作品は、関西という文化圏を初めて知る作品だった。

大学2年のとき、一つの文学作品を深く掘り下げる演習科目で、平安時代の作品を扱う演習の抽選にもれ、不本意ながら『細雪』を読む演習を受けることになった。

そこで学んだことの少しを思い出してみると・・・

『細雪』は、時代が太平洋戦争に向かっていこうとする昭和初

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『線でマンガを読む』さくらももこ

『線でマンガを読む』さくらももこ

『ちびまる子ちゃん』連載第1回がどんなお話だったか、覚えておられるだろうか。一学期が終わり、明日からは夏休み。学校から帰宅途中のまる子とおねえちゃんが、ひとりのおっさんと遭遇する。

『ちびまる子ちゃん』さくらももこ(集英社)1巻 P.7

子ども相手に他愛のない手品グッズを売りさばいているおっさんなのだが、完全にアウトな業界の人だ。言わずと知れた少女マンガ誌「りぼん」の、連載第1回で、こういうタ

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書評「Super Salamander #04 〜箱根駅伝実況Tweet分析2018〜」

書評「Super Salamander #04 〜箱根駅伝実況Tweet分析2018〜」

この本を読みたいと思ったのは、1枚のペーパーを手にとったのがきっかけでした。

このペーパーを読んだ時、僕は大笑いさせてもらいつつも、衝撃を受けました。なぜなら、いままでこんなスポーツに関する分析レポートは読んだことがなかったからです。

このペーパーを発行している「こへだ」さんという方は、「EKIDEN NEWS」というアカウントや、「オトナのタイムトライアル(OTT)」という手弁当で運営されて

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〈偏読書評 番外篇〉今週、度肝を抜かれた装幀と、これからの装幀の役割について

〈偏読書評 番外篇〉今週、度肝を抜かれた装幀と、これからの装幀の役割について

今週、仕事用・私用ふくめて入手した本の中で、度肝を抜かれた書籍の装幀をいくつかご紹介します。

まずは本谷有希子さんの短篇集『静かに、ねぇ、静かに』(講談社)。インスタグラムやネットショッピングなど、SNSに人生を翻弄されてしまっている人々を描いた3篇が収録されています。ちなみにタイトルをローマ字表記にすると「Shizuka ni, Ne-e, Shizuka ni」(=頭文字を並べるとSNS)と

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「お布団はタイムマシーン」を読んで

「お布団はタイムマシーン」を読んで

母親の実家は、当時住んでた家から電車を乗り継いで30分ほどのところにあるのだが、私の子供の頃はまだ近所まで電車が通ってなくて、バスを乗り継いで行かなければならなかった。
そのため、お年始など、帰りが遅くなった時にはタクシーに乗って帰った。我が家には車がなく、ふだん車に乗る機会があまりなかった私には、それがたいそう嬉しかった。
まだ背が低いので車窓が高い位置にあり、暗い中を店のネオンや街灯が流れてい

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