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よろしく愛して

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実りがない人生ならば、 長期展望にどんな意味があるのでしょうか。 どんな時でも、しょうがない人でありたい、 そんなしょうがない人を愛していたい。
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君は今どこで何をしているのだろうか

当時新卒入社したての頃、銀座のクラブで働いていた同い年の女の子とひょんなことで知り合いそれからしばしば会って酒を飲んだ。僕はホステスを職業とした女性と知り合うのはそれが初めてで最初の頃は緊張もしたものだが、お互い損なわれ続けることについてはちょっとした権威だったためか、そういった欠落感というか孤独感がなんとなく共通項として存在しており親近感を生んだのだと思う。だからすぐに仲良くなった。

ただ我々

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時々交わる人生について

時々交わる人生について

生まれ育った街で旧友と酒を飲もうということになった。彼からは何度かありがたいことにお誘いをいただいていたが、その頃は何故か気分が乗らず様々なお誘いを不義理しているところだった。何度目かのお誘いを頂き、ふと手段としてのお酒で心身を浪費するのではなく、美味いお酒を飲むこと自体に目的をおいて、彼と飲みたいと思った。つまりいつもの気まぐれである。

なるべく静かで、穏やかで、ロックグラスの氷が溶けだす様子

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何もない週末

何もない週末

僕はわりに一人遊びが得意である。本を読んだり映画を観たり一人で旅に出たり、まあそんなところだ。音楽一つをとったって疲れてしまうバンドを組むよりアコースティックギターを宛てもなく鳴らす方が好きだし、ふらふらと一人で大人っぽいバーだって小料理屋だって入れるし(もちろんそれなりに身なりを整えて)、そんなところで静かに隣の人の話を聞いたり、時には目の前の人と話したりね。訳もなく感傷的な気持ちに浸ることだっ

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感情について

感情について

僕はつくづく愛に溢れた人間だと思う。ただその愛情を注ぐべき対象を持たないから注がないだけだ。

ワイン・ボトルは固くコルクで栓をされているから、周りに綺麗なワイングラスがあっても、ワインを注ぐことができない。きっと中身は、芳醇な香りを放つ上品な赤ワインだろう。ただ、ボトルそのものは黒くて透明度は低いから、その中身は外からだと良く見えない。

どんなグラスでもいいけれど、しかるべきグラスに注ぎたい。

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バイアグラは美しい物語を綴れるか

つい先日、大学時代の先輩からバイアグラをもらった。錠剤タイプではなく、舌の上に乗せるシートタイプのものである。他にどんなタイプのものがあるのかは知らない。少なくとも僕が飲んだことがあるのは、錠剤タイプのバイアグラだけだ。

以前、僕は一粒だけバイアグラを飲んだことがある。もう少しで5年前になるが、それも同じ彼に貰ったものだ。「ちゃんとした医者からちゃんとした手段で処方されたあの錠剤タイプは、当時3

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僕は選べなかった

僕は選べなかった

「選べなかった」という言い方がある。「あの時こうしていれば」という言い回しも、そのフレーズの派生形である。

大抵人がこんなフレーズを口にするのは、ミュージシャンになるという夢を捨てたもののかつての知人がステージの上で活躍している様を久しぶりに目にしたとき(大体こういうのはネットニュースやテレビの前だ)、あるいは昔付き合っていた女性が「良い夫婦の日(11月22日)」に結婚したという噂を耳にするとき

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父とネクタイ

父とネクタイ

僕の父はブルーカラーだった。だから僕は父のスーツ姿をあまり見たことがない。父のスーツ姿を見たことがあるとすれば、僕の小学校や中学校の入学式、卒業式だ。子供ながらに見慣れない父のスーツ姿はなんだか不思議だった。その不思議さは、ただ見慣れていなかったから、だけではないように思う。最後に仕立てたのはいつだろうか、型崩れし、時代を感じさせるスーツと、奇抜なネクタイが、大味で無骨な父の雰囲気と妙に合っていた

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僕の旅の流儀

僕の旅の流儀

一人旅の中でふと、孤独を感じる瞬間がある。それは大抵、陽が沈む頃。昼間はするべきことがあるけれど、あたりが暗くなると、急に手持無沙汰になり、疲労感を覚え始めるからだ。

しかし、それすら忘れるほどの致景と出会えることが、稀にある。

マルタ島に一人滞在した。観光を終え、広場で休み周囲を眺めていたら、カップルばかりで急に寂しくなった。宿に戻ろうと思ったが、橙色に染まり始める街に誘われ、もう少し散策す

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ノー・サマー・ロマンス

ノー・サマー・ロマンス

 「もう戻らない夏」にも、幾つかの種類がある。その中でもとりわけ僕の心に残るのは、「何も起こらなかった夏の日」だ。

 それは、仲間と過ごす汗と涙の青春でもなく、ひと夏の恋のようなメロドラマでもない。ただ、大学の授業をサボって過ごす平日の昼下がり、5畳半のワンルームに佇むベタついたテーブルの上にはビールの空き缶、微妙に中身が残るウイスキー・ボトル、近くの川が放つ磯臭い匂いとそれを運ぶ生ぬるい風。夏

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甲子園球児とそうじゃない僕の話

甲子園球児とそうじゃない僕の話

甲子園の季節。夏の風物詩とも言うべきか、高校球児だけでなく様々な人が球場で、あるいはテレビの前で熱狂に包まれる。

僕はこの時期になるとこんなことを思う。グラウンドに立てる者とそうでない者の違いは何か、と。強豪校になればレギュラーの10倍もの部員を抱えていることも少なくない。その分だけアリーナ席は応援要員で埋まる。アリーナ席で大声を張る、日焼けした坊主頭の球児たちと、グラウンドで脚光を浴びる選手た

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夜の港区と退職エントリその2

前回の日記でバーでバイトを始めたと書いた。先日、2回目の出勤だった。

系列のガールズバーに勤める女の子たちがこちらのお店に金払いの良い団体を引っ張ってきてくれた。僕はボーイの役に徹し、その仕事は今までレストランでやってきたことと大差なかったので、話をしなくてはならない前回よりも楽な作業だった。

彼女らの接客を眺めていると感心するものがあった。とにかく魅力的。こんな風に迫られたら僕でもシャンパン

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退職エントリ

高校時代の先輩が「新しくバーをオープンする」というので、つまりアルバイトとして働かないか?というお誘いを頂いた。

バーというものだから、カウンター越しにお酒を作って気の利いた会話をするようなお店を想像するだろう。ただし、そのお誘いしてくれた先輩というのも、良い意味で胡散臭く、ファッショナブルであるために変な人を周りに惹きつけ、それでいて健全という、要するによくわからない人間である。そんな彼が港区

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いつか行きつく場所

海の見える静かな町で、何かを書いていたい。書くとしたら、小説かエッセイだろう。そんなことをしているうちに、ブルータスとかにも出るようになっちゃったりして。いつしか「映画を好き勝手語る企画ならあの人だな」とかそんな適当なこと言われちゃうわけ。そして適当なことを言うだけでそれっぽい人たちから「あの人が言うことはやっぱり違うな」とか一目置かれちゃうわけなんだよ。でもそういう生き方って、流されているうちに

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最後に勝ちゃーいいんだよ

友人が家庭裁判所送りになった。本人はそれが大したことではないような口ぶりだった。

「じゃあ俺そろそろ帰るわ」「今日これからなんか用あるの?」「うん、ちょっと家庭裁判所行ってくる」ものの5秒である。

どうやら駅の前で裸になって騒いでいたところ、警察に補導され、捕まったようだ。ちなみにお酒も入っていないし、ラリっていた訳でもない。

僕が今まで出会った人間の中で一番奇想天外な友人の話である。

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