最後に勝ちゃーいいんだよ
友人が家庭裁判所送りになった。本人はそれが大したことではないような口ぶりだった。
「じゃあ俺そろそろ帰るわ」「今日これからなんか用あるの?」「うん、ちょっと家庭裁判所行ってくる」ものの5秒である。
どうやら駅の前で裸になって騒いでいたところ、警察に補導され、捕まったようだ。ちなみにお酒も入っていないし、ラリっていた訳でもない。
僕が今まで出会った人間の中で一番奇想天外な友人の話である。
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就活で躓くたびに彼に相談した。決まって最後は「次行こ次。最後に勝ちゃー良いんだから」と締めくくられた。
そんな強い言葉をもらえると人は不思議なもので、なんとなくそれもそうだな、という気持ちになる。他人事だと思いやがって、とはならない。彼みたいな人間もいるんだから、俺だって何とかなるか。そう思える。
強い友人をそばに置いておくのはとても心強い。言い換えれば「楽観的」なのかもしれない。けれど楽観は時にとても強い武器になる。
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「勝つ」とは何だろう?
人より収入が高いことだろうか。人より偏差値の高い大学を出ることだろうか。人よりフォロワー数が多いことだろうか。
もしかしたらそれらが世間一般で見た時の「勝ち」になり得るかもしれない。上澄みだけを言葉にすれば、誰もが羨む人間になれるのかもしれない。
けれども僕は、自分の信念に従い、精神的に自立し、それを誇りに思う人のことを信じたい。どれだけ時間がかかっても良い、なぜなら、最後に勝てばいいのだから。
「最後に勝つ」のは、そういう人の事だと思う。
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