夜の港区と退職エントリその2
前回の日記でバーでバイトを始めたと書いた。先日、2回目の出勤だった。
系列のガールズバーに勤める女の子たちがこちらのお店に金払いの良い団体を引っ張ってきてくれた。僕はボーイの役に徹し、その仕事は今までレストランでやってきたことと大差なかったので、話をしなくてはならない前回よりも楽な作業だった。
彼女らの接客を眺めていると感心するものがあった。とにかく魅力的。こんな風に迫られたら僕でもシャンパン開けてしまう。そんなことを思っていた。
うち一人、とんでもなく美人がいた。確かに彼女のような綺麗な人とだったら、お金払ってでも話したいという気持ちになる。同時に、こんなに綺麗な人とお金を払う側として付き合っていたら、いつまでも心に触れることはできなくなるだろうと勝手にもどかしさを覚えた。
団体が帰りお見送りをし、店に戻り片付けを続けていると、先の美人だけお店に帰ってきて「一杯飲んでいい?」と言い、結局店のスタッフ全員で乾杯することになった。(アフターということで、彼女には飲み代が発生するシステムになっていた)
その後、別の客が来店したため、店長に「井出崎くん、彼女の相手してて」と言われ、まさか美人の話し相手になるとは思わなかったが、とにかく彼女の愚痴を聞いた。彼女は「お金を出させるからにはその分の価値を提供しなくてはいけないの!それをみんなわかってないの!」と言っていた。素敵な人だと思った。
僕がしばらく席を外して、また店に戻ってくると、美人とそのお客さん(おっさん)が飲み始めており、結局二人を含めたスタッフ全員で飲むことになった。みんなそのおっさんに飲ませる、飲ませる。一杯の値段が大したことないため、とんでもない会計にはならないだろうが、とにかくビールを開けまくっていた。
そんなものかぁ、と思っているうちに、例の美人に手招きされた。何かと思って彼女のもとに行くと「私の分の飲み代、そのおっさんにつけてくれないかな?」と耳打ちされた。
とっても切ない気持ちになった。しょうがない、むしろおっさんもこんな美人を横につけといてこの子に何も払わないなんてそれはないだろう...と、それこそ彼女の言う「代金に見合う価値」なのかもしれない。でも、寂しかった。とっても素敵な人で、初めて水商売の真髄に触れたような気持ちになったが、結局カモになりそうなおっさんに押し付けるものは押し付けるんじゃん。
そのおっさん、お会計を見て最後怒って帰っちゃったんだけど(値段的には予告してあったし、驚くほどではなかった)、やっぱり立場的に一番弱そうな僕に詰め寄ってきて、「これどう思う?なあ」と声を荒だてた。何も言うことができず、店の方針だしなんなら自分は部外者だから、僕はずっと傍観者で、自分のことをズルいとすら思わなかった。
とりあえず話の続きはまた別の日に語ろうと思う。
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