僕の旅の流儀
一人旅の中でふと、孤独を感じる瞬間がある。それは大抵、陽が沈む頃。昼間はするべきことがあるけれど、あたりが暗くなると、急に手持無沙汰になり、疲労感を覚え始めるからだ。
しかし、それすら忘れるほどの致景と出会えることが、稀にある。
マルタ島に一人滞在した。観光を終え、広場で休み周囲を眺めていたら、カップルばかりで急に寂しくなった。宿に戻ろうと思ったが、橙色に染まり始める街に誘われ、もう少し散策することに。
石畳の道を登る。すると、夕陽に染まる地中海と街並みを一望できる丘が開けてきた。身震いするほど美しかった。旅の疲れや、一人であることを忘れてしまうほど。
時に夕陽は、例え異国の地でも、いつか見た景色を追懐させ、私たちの孤独を拭う。
しかし夕陽が沈んだ頃が一番危ない。我に返り辺りを見渡すと、夜に浸るカップルに囲まれ、さらに孤独感が募るから。
景色と共に移り変わる自分の感情も楽しむ、それが、僕の旅の流儀だ。
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