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[感想] ジョーカー フォリアドゥ:前作の答え合わせ
このホアキン・フェニックス版のジョーカーの解釈が前作から気に入って・気になっていたところ、続編が出たということで楽しみにしていたもの。ここ最近の傾向として悪い評判で盛り上がっている映画ほど自分好みなのが続いているので期待値MAXで行ったところ、サクッと超えてめちゃくちゃ良い映画体験だった、という人の感想です。
ダークナイト三部作でバットマンにはまって、The Batmanも気に入った、ハーレク
[舞台感想] セツアンの善人
概要
「三文オペラ」で教科書に出てくるブレヒトの寓意劇。神様が地上で見つけた善人が主人公のシェン・テ。彼女が、貧しい村の人達から搾取されたり自身の幸福を追求したりするのと善人でいることを両立させるために解決策を編み出したものの、それに引き裂かれる中で果たして善人とは、を問い続けるものの神様は答えを与えない、というストーリー。繰り返し上演されているようですが、今年は葵わかなが主人公、その恋人でト
[ブロードウェイ感想] The Great Gatsby
概要
フィッツジェラルドの「グレート・ギャツビー」の約半年でブロードウェイにやってきた2024年新作ミュージカル。1920年代を舞台にした、一人称で紡がれるニューヨークという華やかな都会のシビアさ・アメリカンドリームの現実を描いた名作古典。2度の映画化、多分舞台も今回が初めてではないはず、というかボストンでRachel Chavkinによるガチ系ミュージカルが現在公開中という、米国はなおさら教
[ブロードウェイ感想] Lempicka
概要
Tamara de Lempickaという1920年代と1970年代の2度ブームを呼んだ実在のポーランド人画家(女性)の波瀾万丈な半生を描いた2024年新作ミュージカル。Directorが5年目を迎えたHadestownと同じRachel Chavkin。主演2人がトニー賞にノミネートされているにも拘わらず、3か月余りで閉幕してしまったもはや幻の作品。Lempickaは一応キュビズムにカ
[ブロードウェイ感想] Book of Mormon
概要
モルモン宣教師バディがウガンダでの活動を命じられ、文化や社会問題にショックを受けながら住民と交流を深めていくコメディミュージカル。モルモン教を特別ターゲットにするというより、一般的に宗教の経典ストーリーやその宣教活動のくだらなさを風刺しつつ、ウガンダの諸々の社会問題(武装組織、HIV/AIDS等)もがっつりネタに入ってくる。トニー賞受賞。
好きなところ
王道ミュージカル風でパロディが引
[ブロードウェイ感想] CHICAGO
概要
舞台はそのままシカゴ。実話が元ネタという、殺人を犯した女性2人がメディアと弁護士のビジネスの食い物にされながらスポットライトを求めて生き抜いていく、という辛めのコメディタッチでテンポの良いストーリー。シンプルだけれども凝った構造の舞台、黒のミニマムな衣装、終始シニカルな音楽とダンス、人間の身体だけでこれだけの表現ができるのかという感動を覚えました。なんとなく音楽とストーリーの動かし方にH
[ミュージカル感想] ファントム比べ
2019年雪組、望海風斗・真彩希帆ペア、中村一徳演出のファントム(以降「宝塚版」)と、配信のおかげで海外からも観ることができた城田優演出&2役の2023年ファントム(以降「城田版」※加藤和樹ファントム、城田優シャンドン伯爵)について、1993年のアメリカ版音源も仕入れて、良いところ・好きなところ、感じたテーマの違いをノーソースで勝手に考察しています。とにかくファントム好きだわ、という話です。
[ブロードウェイ感想]Back to the Future
概要
2023年新作。きっと映画のまま楽しそうだな、という期待を裏切らないエンターテイメント、アトラクション型ミュージカル、とか呼びたい。USJのアトラクション以上にタイムトラベルを体感できる。デロリアンはもはや演者の一人。マーティはどうしてもマイケルJフォックスが恋しくなってしまう一方、ビルの友達と両親がビジュアルも動きも驚くくらいそのまま。ドク・マーティ主演2人の声質が個人的にちょっと苦手
[ブロードウェイ感想] Hadestown
概要
日本にそのうち上陸しそうでまだ上陸していないイチ押し作品。ギリシャ神話のハデス王とペルセフォネ、エウリュディケとオルフェウスの2組のカップルのラブストーリーが軸になったやや比喩的なミュージカル。地下の世界/冥界が化石燃料と貨幣経済がモチーフの工場となっている。よく回転するインダストリアルなテイストの小さめセットが舞台で、ミュージシャンも物語に参加はしないがその場に居合わせる。冒頭からヘル