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[ブロードウェイ感想]Enemy of People

 米国留学中〆にふさわしいものとして最後に観た舞台になります。既に閉幕から3か月ほど経っているので思いっきりネタバレします。

概要

 温泉が見つかったノルウェーの村を舞台にしたイプセンの戯曲「民衆の敵」をベースにした舞台。ストーリーは、温泉による経済効果で活気づく村の医師が、温泉が汚染されていることを科学的に見つけたところから始まる。医師は、村の人々や観光客の命を守るためと一刻も早い公表を訴えるものの、市長の弟や出版社に阻まれ、村八分にされる。が、村に残り事実を伝えることをやめない、という今後の決意で終わる。脚本は「サラリーマンの死」のアーサー・ミラー。今回はジェレミー・ストロングによるリバイバル版とのことで、見事トニー賞の舞台主演部門に輝きました。日本でも主演を堤真一、その妻役が安蘭けい、という感じで舞台をしていたそう。観たかったすぎる。

感想

 面白かったー!!!
 と屈託なく思えた演劇でした。シアターゴーヤーとしての原体験にある12人の怒れる男たちを思い出すものがありました。結局お芝居が好きなんだなと。
 今回、しっかり理解したかったのでドラマブック(台本)に目を通してから挑んだものの、妻亡くなった設定で娘がメイン、など割と色々違っているところがあって逆に混乱したり。とはいえ、360度取り囲むようなオープンな舞台で、どうやって窓が石で割られてるとかするんだろう、と思っていたら、氷を使って、酒屋→村人達からボコボコにされる→冬の寒さ→石・割れたガラス、という華麗な演出がされていました。舞台じゃないとできない本当こういう見立てがたまらない。だから能も大好き。
 とにかく舞台、ストーリーに引き込まれる感覚がすごかった。最後列だったことをいいことにかなり前傾姿勢になっていたと思います。席の場所を確認せず、オペラグラスを忘れたのが本当に悔やまれる。その引き込み要素の一つが、緩急、間、意外と笑えるやり取りが少なくないところ。主役の医師もただ真面目でいい人というより、頑固で、弟に対する煽りスキル高めのキャラクターで面白い。まあ、村の人に健康のためと勧めていたものが健康被害をもたらす、ってわかってて、それを村の人にも黙って、観光客でちらほら病気の報告があるのにそれもうちじゃないと言い続ける算段で、開発のためには集まった投資もその改修のためには集まらないから税金でカバーすることになる、というロジックもとっても分かりやすい。もちろんそれに対してブチ切れるのもさらに良く分かる。そして最後、村人たちのハゲタカのようなキツさも、台本でただ読むよりも圧倒的にしびれるラストシーンだった。

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