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[観劇感想] ミュージカルSIX (来日版):みんな違ってみんな良すぎるQueens

 楽曲の一部とYouTubeの断片的な情報しかなかったにもかかわらず、リピーターのような気分で観に行ったところ、思ったよりめっちゃわかりやすくて面白い作品やん、となった話です。 
 ネタバレします。

概要

 ヘンリー8世の6人の(元)妃たち(キャサリン・オブ・アラゴン、アン・ブーリン、ジェーン・シーモア、アナ・オブ・クレーブス、キャサリン・ハワード、キャサリン・パー)が、グループを結成して各ソロで歌う悲劇度でメインボーカルを決めるという設定の物語。生きている時代はどうにもならなかったけれど、もし今だったらこんな風に生きてやる。同じ男と結婚したからじゃなくて、個人としてその歴史を知ってほしい。

感想

 緻密な作りで楽しく優しく元気をもらえる、プリキュア系作品だった。というのが嬉しいイメージとのギャップでした。アラゴンの「No Way」とブーリンの「Don' t lose Ur head」、ハワードの「All You Wanna Do」をリピートしながらよく通勤していたので、もっとシニカルで、連帯するとしてもとりあえずみんなで歌っておしまい、という感じかとストーリー構成はさほど期待しておらず。さすがパーの解釈と衣装と、それにノーマークだったクレーブスが、ドイツ語やらハリボーの曲(おそらくそれも童謡のパロディ?)が混ざった曲も歌詞も最高に面白く、また、シーモアの歌い上げもかっこいいし声も好きなタイプで。ハワードは、オリジナルのSamantha Paulyの絶叫は聴いてはいたものの、振付けを初めて観て、彼女の境遇のどぎつさが段違いに刺さった。

 また、この3曲しかまともに聴いていなかったので、いわゆる大人向けのネタが多い作品なのに子供無料席がある(文化庁支援事業)ということに驚きはあった。とはいえ、テーマだけでなく、歴史、衣装アレンジ、楽曲の作り、色んな角度で学びが多いのは確かだし、特に女子には観てもらいたいやつよな、と思い直したり。(まさかアイドルっぽくて短いから、なんてわけないはず)
 6人もいるとしっかり価値観だとか疑問を呈すべき規範とかが複数描けるのがやっぱりいい。グループのライブ、というのと楽曲のつくりでだれずに各キャラがそれぞれ際立っている。

 ということで、楽曲に込められた仕掛けもたくさんあるようです。SIXにハマってしまった人にぜひ見てもらいたいのが、こちらのHoward Hoによる考察、というか楽曲解剖のシリーズ。ブーリンとシーモア、メインテーマも。

日本キャスト版もまもなくはじまるということで。チケットを入手できた幸運な皆さまがだいぶ羨ましい…

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