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好きなものについてつれづれ。アートとライフサイエンス。その他30代思うところ。

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最近の記事

[感想] ジョーカー フォリアドゥ:前作の答え合わせ

 このホアキン・フェニックス版のジョーカーの解釈が前作から気に入って・気になっていたところ、続編が出たということで楽しみにしていたもの。ここ最近の傾向として悪い評判で盛り上がっている映画ほど自分好みなのが続いているので期待値MAXで行ったところ、サクッと超えてめちゃくちゃ良い映画体験だった、という人の感想です。  ダークナイト三部作でバットマンにはまって、The Batmanも気に入った、ハーレクインは観ていない、ミュージカル好き、というステータスです。  ネタバレします。

    • [舞台感想] セツアンの善人

      概要  「三文オペラ」で教科書に出てくるブレヒトの寓意劇。神様が地上で見つけた善人が主人公のシェン・テ。彼女が、貧しい村の人達から搾取されたり自身の幸福を追求したりするのと善人でいることを両立させるために解決策を編み出したものの、それに引き裂かれる中で果たして善人とは、を問い続けるものの神様は答えを与えない、というストーリー。繰り返し上演されているようですが、今年は葵わかなが主人公、その恋人でトリッキーな役割を果たすのが木村達成で好演。ちなみにrecriのお試しでチケットを

      • 2年ぶりに帰国して思うこと(ポジティブ編)

         帰国してからまだ3カ月ちょっとと思うと、意外と時間が経っていなくてほっとする。もう少なくとも1年は経ったような、むしろ留学していていたのは夢だったか、というくらい、帰国前と今の環境にそう大きな違いがない。  ともかく、安部公房展をみてがぜんやる気が満ちてきたので、標題のネガティブ編の続編を書きます。安部公房展についてはまたいつか。 清潔さ  渋谷や池袋の人混みですら、ゴミは舞ってないし、ごく一部でしか臭いなんてしない。地下鉄でも放置された飲みかけのコーヒーなんて見ないし

        • [ブロードウェイ感想]Enemy of People

           米国留学中〆にふさわしいものとして最後に観た舞台になります。既に閉幕から3か月ほど経っているので思いっきりネタバレします。 概要  温泉が見つかったノルウェーの村を舞台にしたイプセンの戯曲「民衆の敵」をベースにした舞台。ストーリーは、温泉による経済効果で活気づく村の医師が、温泉が汚染されていることを科学的に見つけたところから始まる。医師は、村の人々や観光客の命を守るためと一刻も早い公表を訴えるものの、市長の弟や出版社に阻まれ、村八分にされる。が、村に残り事実を伝えること

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        • 観劇感想
          18本
        • 食べ物の話
          5本

        記事

          【感想】箱男:安部公房ワールドをみる愉しさ

           中学生の頃、問題文で登場した赤い繭をきっかけにハマり、読み尽くすまではいっていないものの、断片的に心象風景化している。それが私にとっての安部公房作品です。そんな微妙なレベルの原作ファンが映画の箱男を観た感想です。原作の匂いがしっかり感じられて、かつ、今の時代ぽさがあって、満足感ありました。  映画.comで割と結構な言われようだったのでこれは書かねばと。直線的なストーリーというわけでもないのでネタバレしようがない作品と思いますが、具体的なシーンの説明を含みます。 好きなと

          【感想】箱男:安部公房ワールドをみる愉しさ

          2年ぶりに帰国して思うこと(ネガティブ編)

           米国東海岸2都市の留学から帰国して1か月半ほど経ちました。食べ物には結構辟易していたはずなのに、ビネガー味のポテチとサルサが恋しいです。帰国してから、頭や気持ちと渡米前の記憶で動ける身体とがちぐはぐな感じが少しずつ薄れつつもまだ残っている。ということで忘れないうちに書き出してみます。米国の方が良かった、というわけでは決してないものの、内容からネガティブ編としてみます。 食べ物問題  何を食べていたのか覚えており、何を食べるべきかは分かるのでとりあえず胃にそれなりに悪くな

          2年ぶりに帰国して思うこと(ネガティブ編)

          [ブロードウェイ感想] The Great Gatsby

          概要  フィッツジェラルドの「グレート・ギャツビー」の約半年でブロードウェイにやってきた2024年新作ミュージカル。1920年代を舞台にした、一人称で紡がれるニューヨークという華やかな都会のシビアさ・アメリカンドリームの現実を描いた名作古典。2度の映画化、多分舞台も今回が初めてではないはず、というかボストンでRachel Chavkinによるガチ系ミュージカルが現在公開中という、米国はなおさら教科書で習うためみんな知ってる原作もの。みんな大好きジャズエイジのセット・衣装、J

          [ブロードウェイ感想] The Great Gatsby

          [ブロードウェイ感想] Lempicka

          概要  Tamara de Lempickaという1920年代と1970年代の2度ブームを呼んだ実在のポーランド人画家(女性)の波瀾万丈な半生を描いた2024年新作ミュージカル。Directorが5年目を迎えたHadestownと同じRachel Chavkin。主演2人がトニー賞にノミネートされているにも拘わらず、3か月余りで閉幕してしまったもはや幻の作品。Lempickaは一応キュビズムにカウントされるのだそう。ちなみにMadonnaも彼女の作品のコレクターの一人。

          [ブロードウェイ感想] Lempicka

          [ブロードウェイ感想] Moulin Rouge

          概要  ジュークボックスミュージカルの代名詞といっても良いくらい、タイトルを知らなくても全て聞いたことのある音楽で綴られる、バズ・ラーマン監督の同名映画がミュージカルになったもの。ベルエポックのパリのキャバレーを舞台にしたとっても華やかな作品。物語はムーランルージュのスターのサティーンとアメリカ人作曲家の青年クリスチャンとのロマンスを軸にした、金vs愛、主人公の機転と秘密、いい仕事をする友達s、といった要素が王道のラブロマンス。ボストンにてツアー版を観ました。 感想  

          [ブロードウェイ感想] Moulin Rouge

          グレート・ギャツビーが好きという話(後編)

           つづきです。  さて、デイジーの「綺麗で馬鹿な女の子(a beautiful little fool)になってほしい、それが一番いい」のところについて、自分自身の決断とそれが招いた結果に対する無責任さには自覚がないのでは、ということ。なのだけれど、だからといって彼女が悪女と称されるのはちょっと違うと思う。その無自覚さについて彼女を責めることができるのは、マートル&キャサリン姉妹くらいか。少なくともニックではない。この時代の地方系お嬢さま育ち(ガチもんのブキャナン家とは比べ

          グレート・ギャツビーが好きという話(後編)

          グレート・ギャツビーが好きという話

           スコット・フィッツジェラルドの1920年代のアメリカを舞台にした有名な古典作品で、1番好きな小説の一つです。ネタバレしまくります。  なぜ好きなのかがどうしてもうまく説明できない。Jギャツビーがデイジーを初めて家に招いた時の、花だらけにして時計を気にしまくる様子や、その後も嬉しすぎて何でもニックに話してしまうのがとんでもなく可愛い、そこからのプラザホテルの修羅場、からのニックにとっての最後の姿、からの子どもの頃の日記。この一連のカットにどうしようもない喪失感というか、どこ

          グレート・ギャツビーが好きという話

          なぜこんなにも世の中が速く感じるのか

           今日のクラスのゲスト講義が、この2年間の留学の学びを全てつなげるものだったのでとりあえず言語化してみます。  自分の身体や行動に関するデータが国境を越えてあらゆるところから収集され、自分の意図しないところで使われ、それが誰かを富ませている、という状況がある。これが、特定の人種や民族や捕虜に行ってきた過去の悲惨な人体実験や奴隷制度と同じ搾取の構造ではないか、という。  機械(テクノロジー)は道具とは異なる(※原典未読)とみてみると、「イノベーション」なるものは問題を解決す

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          絵で考えることを言語化する

          トレーニングのために、こうして書いているわけです。 ゆる言語学ラジオのビジュアルシンカー(視覚思考者)についての3本が非常に面白かったのをきっかけに。  動画内のエピソードや本の診断ベースで、おそらく図でなく絵画の方の視覚思考者のようです。色々腑に落ちることが多い。  好きな映像作品ほど説明が下手で、物を探す時は脳内でビデオ再生してる。一目瞭然と思うシーンや差異に説明を要する人がいて驚いたり、整列された英単語帳が全く頭に入らないためフォントと位置関係で覚えられるよう鬼気迫っ

          絵で考えることを言語化する

          猫ミームが苦手という話

           苦手どころかグロテスクに感じてしまうという、ややネガティブな独り言です。ここでいう猫ミームは、2023年頃から流行している(た?)という「猫の動画を切り抜き、組み合わせて日常生活などを表現した動画(Wikipediaより)」を指しています。  TikTokは見ていないので数か月前からYouTubeのおすすめに上がってきたのがきっかけで知ったもの。初めて見た時、あの画像の粗さや時々人の手や指が入った切り抜きが気味悪く、猫をいじめる人に対する炎上がミーム化したものだと思ってい

          猫ミームが苦手という話

          帰国が迫ってきたので

          ここから毎日更新に改めて挑戦してみようと。 写真はカナダ行きですが、米国留学中です。あと2ヶ月になり、授業はほぼ残り二週間。課題に追われて夜型化してます。 残りの期間用に最後の注文としてWeeeで割引の納豆と蒟蒻ゼリー、充填豆腐を購入した。こちらの豆腐、木綿はスカスカだったり絹は薄かったり、種類はそこそこある割に意外とこれじゃない感がある。結局extra firmという日本では見かけない炒めても崩れない固さのものを細かく刻んでチリソースやら味噌やらで味付けるのがベストな気が

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          美術館の歩き方

          コロラド州のデンバー美術館とニューヨークのMoMAが現代美術メインでも大いに楽しむことができたので、改めてアート鑑賞について書いてみます。 大学時代から、隙あらば美術館・美術展をチェックしていて、見たいものがあれば遠征も厭わない。仕事を除いて東京に住む一番のメリットはこの文化芸術に触れる機会の豊富さ。周るタイプなら関西にも来てくれていたけれど、それでも感覚として東京の半分くらいだろうか。学割がある時は隙あらば無料で入れる美術館に寄り道し、カップルを見かけては、山田五郎さん並

          美術館の歩き方