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分身たち

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書いた言葉は、自分から生まれた自分だと思っているので。詩がいます。
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#言葉

【詩】肌に触れたら垂れずに残る

【詩】肌に触れたら垂れずに残る

傘をさしたところで、結局どこかは濡れてしまうから、完全に防ぐなら、全身膜で覆うしかないね。
ただ、そうなると呼吸が出来なくなって、体の中を循環してる水も熱も感情も排出しないことになるから、隙間があるほうが案外生きやすいのかも。

水たまりを避ける生き方をしているが、本当は思いっきり水たまりに突っ込んで、下から濡れる道を歩んでいくことに夢見てる。
なにも背負わず、まわりを気にしないで先のことを心配し

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題名が思いつかない。

題名が思いつかない。

綺麗に言葉を見つけて、たくさんの想いを表現したくて、あれやこれやと手を出してみるけど、結局虚無感だけが残っている状態が、私の通常運転。

ほんとは、夢とか目標とかあるんだよ、こんな風になりたいってさ。
その到達したい場所までが遠過ぎて、届かなくて、ごろんと横になって目を閉じた時に浮かぶ光景が、今の私を包み込んでいるようにも見えるし、真綿で首を閉めているようにも見える。生き地獄かな。

小さなことか

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【詩】黄昏時の詩

【詩】黄昏時の詩

隣には、手を繋いで眠る君がいたハズなのに、バスに揺られてボクも眠っていたら、キミの姿は見えなくなっていた。
停車ボタンを押したら、たくさんの花が咲いて、座席からも手すりからも、色とりどりの花が生まれた。
欲しいものはそれじゃない、声に出せばいいのに、その言葉は飲み込んで、笑顔で手を振ってみたよ。
紫色の花びらが落ちたさきに、しずかな水溜まりが出来ていて、それを掬って上に投げたら、藍色の空になってい

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【詩】帰りの会

【詩】帰りの会

目の前に映る鏡越しの自分を、本当の自分だって証明できますか、なんて問題は、苦手な算数か、複雑な理科か、果ては深く巡らす道徳か、簡単に答えまで辿り着けないんじゃないかと思う。そもそも答えなんてあるのか、テストで空欄のまま提出したら×がつきそうだけど、×の根拠を書いてほしい。
授業参観じゃ、いつも以上の視線が錯綜して、そのレーダーが心臓に突き刺さる、挙手して、存在確認して、私を生きたら、この手を掴んで

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【詩】ガラスの手紙

【詩】ガラスの手紙

螺旋の階段を降りれば、心地よい沼につかるようで、いつもと違う呼吸が出来た。
手と手を合わせて、まるで挨拶をするように、ともにお茶を嗜むように、時間を味わうことが、きっと、お互いを理解するのに必要だったんだ。
そこにある音だって、香りだって、いっそのこと自分が溶けてしまってもいいくらい、浸透してくるから、自然に手が伸びてしまう。私にも、ちょうだいって、言いたくなる。
キラキラした輝きを持って帰れば、

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【詩】片道切符

【詩】片道切符

今日の結果を覆したいなら、昨日の今を生きている私に伝えて下さい。結果がわかるなら、手段もわかるだろうから。
嘆いていても戻らなくても、それでもいいから前に進むなら、どうぞお先にお進みくださいませ。
今日は昨日の明日で、過去も未来もないというなら、正しい答えもないと思う、そもそも、何をもってまるなのかばつなのか、わかりやすく私に教えてほしい、納得できるものを。
あの人がいえば、あの人の答えで、その人

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【詩】最低気温

【詩】最低気温

青と白の間、遠いところに黒があって、境界線がない空間が広がっている。
無数の手が何かを掴もうとしているけど、透明なのか、存在しないのか、掴むことができない。
大きな車に乗り込む、道はガタついて安定しないし、何度も頭をぶつけた。痛い。
外は見えない、あの空間だけ、都市部のビル群は形だけ残っているけど、息はしていないようだった。
もうすぐ夜明けになるのに、みんな口を縛られているから、耳を澄ますことしか

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【詩】ソーシャルネットワーキングサービス

【詩】ソーシャルネットワーキングサービス

1人で歩く言葉を追いかけても、どんどん差が開いていくから、あんなことを言わなければと後悔するころには、もう散らばり過ぎて掴めなくなっている。
たった1人の友達なのに、背中をさすってあげることも、果たしてそれが正解かどうかなんて考えている、愚かな私をどうか叱って。
ある日は、笑顔だったのに、別の日には、表情が変わる君を見ては、天気と同じように変化するのだねって、憎しみを隠した声色で合図を出した。

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【詩】濃霧注意報

【詩】濃霧注意報

浮かぶ泡とゆらゆらしてる水のしたは暗くて、無数の目と手がこちらにおいでと手招きしてる、誰が行くかと一蹴して、急いで水面の壁を突き破る。いつかみた人魚姫もこんな気持ちだったのか、泡になって消えずに、自ら王子の首を狙いに行ったのかな。
流木の船に乗って世界をまわる、なんなら木の葉も一緒に付き添って、覗き込んだら、同じ顔がそこにあって、やっぱり呼ばれていることに気がつく。
どこからか陽気な音楽が聴こえて

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