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【詩】濃霧注意報

浮かぶ泡とゆらゆらしてる水のしたは暗くて、無数の目と手がこちらにおいでと手招きしてる、誰が行くかと一蹴して、急いで水面の壁を突き破る。いつかみた人魚姫もこんな気持ちだったのか、泡になって消えずに、自ら王子の首を狙いに行ったのかな。
流木の船に乗って世界をまわる、なんなら木の葉も一緒に付き添って、覗き込んだら、同じ顔がそこにあって、やっぱり呼ばれていることに気がつく。
どこからか陽気な音楽が聴こえてくるのに、私はすべての穴を塞ぐから、きっと北と南が逆になったのでしょう。真夜中の太陽はひとりぼっちで、誰も話を聞いてくれない、生まれてきた理由はどこかに置いてきた。
そろそろ呼ばれる時間で、戻りもしないだろうから、全部消して静かにドアを閉めていきます。

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