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ほんのひととき編集部が気になった記事

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ここでは、旅と本のウェブマガジン「ほんのひととき」の編集部が気になったnoteをまとめています。おもに、旅や文化歴史にまつわるもの、本や書店を紹介したもの、ほんのひとときの記事を…
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#エッセイ

夏の琵琶湖があまりにも「夏」だった

夏の琵琶湖があまりにも「夏」だった。憂鬱なほどに暑い日、その暑さを乗り越えた先には、「外に出てよかったなぁ」と思える景色に出会う。 「あまりにも夏」という言葉には、例えば、果てしなく続く入道雲や、太陽に照らされてキラキラ光る水面、容赦なく差し込んでくる強い日差し、木陰にいるとたまにふっと吹く風、外で食べるアイス、ゆらゆらと風にそよぐ稲穂、くっきりと空との境界を見せる山の稜線、強い日差しに顔を向けるヒマワリ……。そんな景色が思い浮かぶ。 外に出たくない気持ちを奮い立たせて(

京都の夏を楽しむ │ 下鴨神社 みたらし祭

祇園祭の前祭が終わって、すっかり空気が梅雨から夏へと変わった。京都の夏は暑い。本当にうんざりするほど暑い。 けれど、そんな夏の京都にはたくさんの神事がある。神社やお寺が多いからか、いたるところでお祭りが行われているように思う。そのひとつが、下鴨神社のみたらし祭、通称足つけ神事だ。 うだるような暑さが少し和らいできた夕方に、糺の森を抜け下鴨神社へ向かう。少しずつ夕方から夜へと移りゆく空気を感じて、この移り変わりは「夏だなぁ」と思わせてくれる。 「足つけ神事」ともいわれてい

やっぱり京都の街が好きだと思わせてくれる日のこと │ 祇園祭 前祭 山鉾巡行

7月17日、今日は祇園祭 前祭の山鉾巡行の日である。京都の街がいちばん浮足立つ日といってもいいかもしれない。残念ながら夜行われる神幸祭には行けないので、今年は巡行に合わせて朝早くに四条に向かう。 祇園祭の交通規制の影響で私が乗っていたバスが四条まで行けず、だいぶ手前で降ろされた。改めて京都の人たちはそういった面倒事も受け入れてこの祇園祭の期間を乗り切っているのか、と感心する。 朝8時、山鉾巡行がスタートする少し前に四条を訪れる。巡行前の山鉾を間近で見られるからだ。昨日まで

ポルトガル ポルト1泊~女子ひとり旅日記~

リスボンで2日間を過ごし、早朝にポルトに移動する。日本からの移動3日、滞在3日の時間のない旅行なので、まだ暗いうちから動き出した。 まだ夜の気配しかない朝の5時台にホテルを出るのは、なかなかに緊張する時間だった。泊まったのがリスボンの中心地で、朝からバスや電車が動いていて良かった。そわそわしながらバックパックを抱えて出て、でも人がいなくても穏やかな街の様子が変わっていないことに安心した。 この滞在中に何度も通った中央の広場から、バスでSanta  Apolonia駅へ。こ

ポルトガル リスボン1日目~女子ひとり旅日記~

久しぶりのヨーロッパ。憧れのポルトガル。ドバイ乗り換えでほとんど1日かけてやってきたリスボンは、まだ少し寒く、でも街を歩くと汗が滲んでくる気候だった。 空港に着いたときにはエコノミークラスと時差ボケが効いて、ふらりとしていたけれど、着いてしまえば電車への乗り換えもそんなに難しくない。少し肩を強張らせて乗った地下鉄だったが、リスボンのそれは日本のものと同じように、程よく穏やかな空気が流れていた。 目的地のBaixa Chiado駅に着く。地下から長いエスカレーターで登りきる

たんぽぽの綿毛が飛ぶように

 深夜、居間に一人でテレビを観ていると、祖母が入ってきた。 「親方は? ねぇ、親方は?」  祖母の口から親方なんて聞いたことがなかった。思い当たる人もいない。何のことを言っているのかわからない。  こんなとき、どうすればいいのだろうか。  返答に窮する間に、祖母の注意は切り替わる。少しバランスの悪い歩き方で、暗い廊下を歩き、玄関の方へ向かっていった。   「親方はここにいないよ」  慌てて祖父母の寝室へ連れて行く。  深夜に居間にいると、しばしばこのようなやりとりをしな

【エッセイ】「日常」を楽しんでいこう

 「わー!ブルーインパルス?!」  大きなジェット音と、見上げた青空に3本並んで描かれたまっすぐな飛行機雲。思わず声を上げた私に、同じ職場の人達が笑った。  去年の秋、東松島市のとある工事現場でのこと。  「シノブさん、北海道だもね。ブルーインパルス見るの初めてか?」  「子供の頃に一度だけ、見たことあります。札幌で。」  現在は宮城県で暮らしているが、私の出身は北海道である。  幼い頃、札幌の丘珠空港にブルーインパルスが来るとのことで、家族で見に行った。初めて間近で聞く飛行

春の京都の片隅を歩く。桜の行方を追いかけ彷徨う日には

4月1日。新生活にドキドキしたり、そうでなくてもなんとなく背筋がピンとしたり。フリーランスで特に環境に変わりはない私ですら、「新しい区切りだな」と思えるこの時期が好き。4月1日、桜の開花も進みつつあり、そして京都の天気予報は大きな晴れマーク。いいスタートを切るためにも、始まりにふさわしいこの日を、桜巡りDayに充てることとした。 気づいたら、1日で10キロ近く歩いていた。歩こうと思って歩いたわけではなく、桜を追い求めていたら、歩いていたのだ。バスは混雑していてあまり乗る気に

ポルトで「世界一うつくしい書店」を訪れて

ポルトガルを訪れて3日目、ポルトという街にやってきました。どこに行こうか調べているとき、真っ先に目に入った言葉がありました。「世界一美しいと言われる書店」。 リスボンからポルトに向かう特急に揺られながら、急いでチケットを予約しました。 その美しさに魅了され、ハリーポッターの作者もその執筆中に通い詰めたそうです。だからハリポタファンからの人気も高く、並ぶ覚悟でチケットを買う必要があると言います。 公式サイトから、日付と時間を選びます。30分ずつ区切られた時間から、12時を

京都が大好きな私が、さらに大好きでたまらない場所について。丸太町~出町柳~鴨川

京都が大好きでたまらずに移り住んでしまった私だけれど、その京都の中でも、とりわけ大好きなエリアがある。それが、神宮丸太町~出町柳~下鴨神社のあたりだ。地図でいうと、鴨川が左右に分かれて、賀茂川(西)と高野川(東)に分岐するちょうどそのあたり。 晴れた日には、ついこのエリアを散歩したりカフェにふらっと立ち寄りたくなったりする。数ある大好きな京都のエリアの中でも、特別視したくなるほどにお気に入りのエリアなのだ。 今日はそんな大好きな場所で過ごすお気に入りの時間、場所をまとめて

行きたい場所を繋いでいく自転車旅。

私が京都を好きな理由のひとつに、自転車でどこにでも行ける、というものがある。京都の街はコンパクトにぎゅっとまとめられていて、道は碁盤の目状に広がっているので、道に迷うこともなく、北へ南へすいすいと進める。鴨川を走り抜けば、信号もなく快適に風を感じられる。自転車で走るには実に快適な街だ。 春の訪れをひそかに感じる日々。実際はまだ寒いけれど、冷たい空気のなか太陽に照らされて揺らめく木陰や澄んだ青空を見ていると、外に出たくてたまらなくて、いつのまにか新しい場所へと足を運んでいる。

27歳になりました。そして最近嬉しいこともありました。

お誕生日おめでとう、自分。 なんだか実感を持って歳を重ねていたのは23歳くらいまでで、そこからは気付かないうちに数字が増えている気がします。 とはいえ、歳をとるのは別に嫌ではないというか。だいたいこのくらいの年齢までにこういうことをしていたいな、こういう環境にいたいなという理想はあるからたまに焦るけど、日々を楽しめていると思います。 27歳の1年も、やりたいことをちゃんと達成する一年にしたいです。たとえそれが、ちゃんと休むときは休むってことだとしても。 どんなケーキを

私の中にほんのり残る田舎の記憶

「田舎に帰省」とか「おじいちゃん、おばあちゃん」などのワードに弱いクミタです。こんにちは。 母方の祖父・祖母は早くに亡くなってしまったため、巷でよく見聞きする、おじいちゃんおばあちゃんとの触れ合いというものを私は体験していません。(父方はあまり良く覚えていない) 田舎に帰省した記憶も、恐らく法事の時で、覚えているものは小さい頃に2,3回程度。 田舎に帰省する機会って、きっと子どもが小さい頃のほうがたくさんしていて、子どもの成長とともに帰省回数は減っていくような気がします

屋久島日記 20代最後の一人旅

一日目 日記をつけようと思った。  はじめから決めていたわけではない。  宿について、檜の浴槽があると、さっき知った。  お湯がたまるまでの間、座敷の上に大の字に寝転んだ瞬間、思いついたのだ。  タイトルも、ひとりでに指が動いた。  「あ、そうか。これが20代最後の一人旅になるかもしれない」と自覚し、そのままタイトルにした。  屋久島は、肌に触れる、あらゆるものが吸いつくような湿気を帯びている。  風は強く、雨が降ったり止んだりする。引っ越したばかりの鹿児島の町