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春の京都の片隅を歩く。桜の行方を追いかけ彷徨う日には
4月1日。新生活にドキドキしたり、そうでなくてもなんとなく背筋がピンとしたり。フリーランスで特に環境に変わりはない私ですら、「新しい区切りだな」と思えるこの時期が好き。4月1日、桜の開花も進みつつあり、そして京都の天気予報は大きな晴れマーク。いいスタートを切るためにも、始まりにふさわしいこの日を、桜巡りDayに充てることとした。
気づいたら、1日で10キロ近く歩いていた。歩こうと思って歩いたわけではなく、桜を追い求めていたら、歩いていたのだ。バスは混雑していてあまり乗る気になれないし、せっかく晴れの心地よい気候だから。京都の街をのんびり歩くのも悪くないな、と思いながら、春の行方を追いかけ京都の街をさまよい続けた1日を振り返ります。
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平野神社
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桜の名所で有名な平野神社。朝9時頃だったのにも関わらず、すでに多くの人がいて賑わっていた。境内に広がる早咲きの桜が満開で、春の暖かい空気と朝のまだ少し冷たい空気が入り混じって、今日がいい日になるであろうことを予感する。
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平野神社は桜の品種が多いことから、1カ月半も桜が咲き続けるといわれるそう。特に「魁桜」と呼ばれる大きなしだれ桜が青空に映え、うっとりとする景色を作り出す。多くの人に愛されるのも頷ける柔らかな雰囲気に包まれた場所だった。
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上品蓮台寺
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平野神社から北へ歩くこと15分。西陣エリアらしい入り組んだ路地を歩いていくと、ひっそりと佇むお寺がある。あまり知られていないからか、多くの人で賑わっていた平野神社とは対照的に、2、3人しか人がおらず、静かでゆっくりと桜の景色を目に焼き付けることができた。
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境内から門へと目を向ける。まるで1つの絵のような情景。外の世界では車がひっきりなしに通っていて、そこからは切り離されたような、静かな世界。まるで額を縁取るように大きなしだれ桜が、ただ在る。
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まるで桜のシャワー。しだれ桜の好きなところは、中に入り込んで桜越しに青い空をのぞめることだ。普段はきっと地元の人に愛されているお寺なんだろう、また春以外でもふらっと散歩がてら立ち寄りたいな。
建勲神社
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上品蓮台寺すぐ、船岡山の山頂近くに視界が開けた神社がある。以前、この近くに住んでいた時には毎週のように散歩に来ていた大好きな場所。私が「京都でお気に入りの場所は?」と聞かれたら、必ず「ここだ」と答える、そんな思い入れの深い場所だ。
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引っ越した関係で、建勲神社を訪れるのは5ヵ月ぶり。相変わらず大好きな景色が目の前に流れていて、思わず涙が出そうになる。紅葉に染まる日も、雪が降った日も、新緑が深い日も、そして桜が咲く日にも。何度も訪れているからこそ気づく、季節の移り変わりの美しさ。
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この場所から眺める京都の街が、大好きなんだ。そして、この場所に来ると私は改めて京都で暮らせてよかったと思えるんだ。春の陽気に包まれて、いつまでも歩いていたくなる、そんな心持ちで文字通り、まだまだひたすらに歩いてみる。
妙蓮寺
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建勲神社からさらに東へ20分。次の目的地は妙蓮寺というお寺だ。境内に入る前にかわいらしい濃いピンクの桜が2本、出迎えてくれる。
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このお寺にも満開が近いものからまだ蕾のものまでいろいろな品種の桜があって、私が訪れた時には御会式桜といわれる桜が色づいていた。何ともこの「御会式」というのが、日蓮上人の命日にあたる秋頃に咲き始め、お釈迦様の誕生日の4月8日頃に満開を迎えるというものだそう。
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薄いピンクも好きだけれど、意志がありそうだと思わせる濃いピンクの桜も、同じくらい好き。思わず「かわいい」と呟いてしまいたくなるピンクの世界にただ包まれて。
水火天満宮
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つづいては、境内を包み込むように桜が咲く水火天満宮へ。決して広くはない境内に入ると、まず否応なしに飛び込んでくる、桜のトンネル。太陽の光が風と共に揺れて、影すらも美しい。そんなうっとりと見入ってしまう景色が目の前にある。
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揺らめく影、ガラス窓に映る花びら、花びらの合間から差し込む光。誰にも邪魔されずに、ただずっと見惚れていたいと願うほどの美しさだ。実際に京都の他の名所とは違って、人がちらほら静かに見入っている程度。まるでひとり占めしてしまっているかと錯覚するほど、このピンクの景色はすぐ近くにあるようだ。
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京都の街に溶け込む、うっすらピンクの世界。自転車で見に来ていたり、ベビーカーを押したお母さんがいたり、近所の散歩の延長で立ち寄る、みたいな位置づけなのも、なんだかよかった。
本満寺
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去年も訪れてあまりの美しさに立ち尽くしてしまうほど感動した、本満寺のしだれ桜。満開だという情報を聞きつけて、真っ先に思い浮かび「また行きたい」と思ったのが、ここだった。
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しだれ桜はお寺の境内に奥まってあるため、外からではほとんど気配を感じない。それなのに、足を踏み入れた瞬間に、本当に大きな大きなしだれ桜が目に飛び込む。去年も同じ景色を見ているはずなのに、そして1人で見に来ているのに、つい「わぁ」という声を出さずにはいられなかった。
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ただ、そこに在るだけ。ずっと木として存在し続け、春になれば毎年当たり前のようにこうやって花を咲かす。それだけのことなのに、なぜこんなにも心を動かされるのだろうか。力強くそこに存在してくれているだけで、パワーをもらえるようなそんな佇まいだ。
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また来年も、同じ景色を見て、同じく心を動かされずにはいられなくなって、またこの強さを感じよう。そう誓いたくなるほど、まっすぐに美しいしだれ桜だった。
鴨川
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さて、ゴールはやっぱり、鴨川だ。桜の開花はまばらだったけれど、いたるところで花見を楽しんでいる人たちがいた。平和で皆がこの晴れやかな気候を嬉しく思って過ごしているみたい。そんな喜びあふれた場所を、私は静かに歩く。
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所々で桜が咲き、それを囲うように多くの人が集まる。桜の開花情報に気持ちが左右されがちだけれど、咲いていても咲いていなくても、この心地いい春の陽気を感じられるだけで充分だ、と思わせてくれた鴨川の景色。来週にはもっとピンクの世界が広がるのだろう。
春めく京都の街を彷徨う日には
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それはもう、たくさんの桜に出会った。少し歩けば神社やお寺が佇む京都で暮らすからこその体験。バスも電車も使わず、ただ京都の街を歩いて、桜の行方を探す。
自分の足で向かうからこそ、足を踏み入れる瞬間の感動を味わえる。心地いい疲れが足にじんと伝わり、「それでも歩いてこの場所にたどり着いてよかったな」と思わせてくれる。限りなくいい体験だ、と思える。
短い桜の時期だからこそ、今この目で見られる多くの景色に包まれていたい。大好きな京都の街が徐々に春めいていく、まさにその過程を眺めていたい。春の京都の片隅を歩きながら、私はまた1つ京都の街が大好きになったのである。
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