東京の夜桜と、Tさんのナルシシズム
東京のドラッグストアでアルバイトをしていた十九歳の頃。バイト仲間にTさんという一つ歳上の男性がいた。彼はいつも周囲の視線を気にして、すました顔をしている。彼の殆どの行動は「かっこいいと思われたい」という動機に基づいているものなのだ。私はそんな彼のナルシストぶりを観察することが、密かな楽しみだった。
バイト先の隣には美容院が建っている。アシスタントと思われる若手の美容師さんたちが、仕事に必要な日用品をよく買いに来ていた。その中でも、NさんとОさんはお洒落で顔立ちもよく、バ