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ポルトガル リスボン1日目~女子ひとり旅日記~

久しぶりのヨーロッパ。憧れのポルトガル。ドバイ乗り換えでほとんど1日かけてやってきたリスボンは、まだ少し寒く、でも街を歩くと汗が滲んでくる気候だった。

空港に着いたときにはエコノミークラスと時差ボケが効いて、ふらりとしていたけれど、着いてしまえば電車への乗り換えもそんなに難しくない。少し肩を強張らせて乗った地下鉄だったが、リスボンのそれは日本のものと同じように、程よく穏やかな空気が流れていた。

目的地のBaixa Chiado駅に着く。地下から長いエスカレーターで登りきると、暗闇の中に明るい街がぽっかりと現れたようだった。リスボンの街で初めて浴びた光。ヨーロッパの街並み。コロナ禍を経て焦がれた場所についに降り立ったのだと、感慨深かった。

ホテルは駅からほど近いホテル、The 7 Hotelへ。石畳の街並みは歩いているだけでヨーロッパを最大限に味わっているようで浮かれる。チェックインをすると、そこはハネムーンかと思うほどの充実したツインルームだった。やたら高いとは思ったが、アクセスも部屋の広さも最高だ。

さて、移動に3日、滞在が3日という鬼のスケジュールなので、プランはないけれどとりあえず街に出てみる。まずは有名なエレベーターへ。1902年に建てられたというSanta Justa  Lift。街中を移動するのには階段も坂も多く、古くから地元の足を支えているのだそう。観光客が長蛇の列を作っていた。

あまりに長い列ができているので、下から登るのはやめて周りを散策することにする。なにしろ、歩いているだけで楽しいのだ。海沿いの広場であるPraca do Comercio まで歩いてきた。

街の色合いが、なんとも可愛らしい。オレンジの屋根に黄色の壁。まさに見たかった景色で、ついつい撮影が進んでしまう。少し歩いただけだが、リスボンの穏やかな空気に少し安心し始めている自分もいた。

子どもたちも駆け回っていて、平和な景色が広がる。はじめてヨーロッパに1人でやってきて、春のうららかな日差しを浴びているという感慨深さ。

広場に佇む人たちは思い思いに時間を過ごしている。私ものんびりしようかと思ったが、白に反射する光が眩しくなってきたところで一度ホテルに戻ることにする。ホテルまで徒歩5分ほどなので、いくらでも行き来できる。

ポルトガルといえば、トラムらしい。街中には可愛らしいレトロなトラムが走っていて、思わず写真を撮ってしまう。

1日目は、徒歩で行けるリスボンの街並みを味わうことにする。観光地と検索して出てきたところを、ひたすら歩いて巡ってみる。こちらのご夫婦の背中を追いかけながら、なんとなく酔っ払いが多くて緊張感のある通りも心強く通り抜けられた。

まずはフードコートのようなTime Out Marketへ。ここは飲みながら食べられるという大人のフードコートで、昼間から席が見つけられないほど賑わっていた。

ワインやビールのお店もたくさんあるので、是非とも飲みたかったのだが、流石に団体客しかいない。ひとりの日本人が相席を求めてきたらちょっと怖いだろうな、と退散することにした。雰囲気だけでも味わえてよかった。

フードコートを出て、観光地っぽい場所で写真を撮ってみる。写真ほどの綺麗な場所ではなく、お客さんを呼ぶ声でごった返す裏通りだったが、さっきの老夫婦が写真をとり合っているのをみて、少しだけ和んだ。

ホテルの方まで戻る途中にも、たくさんの飲食店ですでにお酒を飲み始めている人がいる。リスボンの多くのお店が店外の道にも席を出している。

お土産屋さんも、うさん臭いなあというところもあればやたらと綺麗な場所もある。カラフルな店頭のに誘われてついつい寄り道してしまう。

海外に行くとマグネットを自分用のお土産にすることも多い。ポルトガルは充実していて、選ぶのが楽しい。トラムにコルク、ニシンやタイルが有名なのだ。

さて、広場に戻ってきた。ここからはポルトガルの街を上から見下ろすべく、少し散歩してみよう。

トラムもバスも走っているけれど、歩いてめぐる気分。リスボンの坂はなかなか足が疲れると聞いていたが、本当だった。どう考えてもスニーカーじゃなきゃ回れない。

街は雑多な感じなのに、歴史を感じる建物の統一感で汚く見えない。全部が調和のとれたアートに見える。

落書きもポスターも絵も、全部がアートみたい。細い道に入ると、どこかわからなくなりそうで少しだけ焦る。

でも、路地に入らないと見えない景色もある。テーブルに、カラフルなテーブルクロス。街全体が、映画のセットのように見える。

さて、丘の上までやってきた。細い道を無理やりバスが通るので、ちょっとドキドキする道もあった。ここはMiradouro de São Pedro de Alcântaraという、高台にある広場だ。

トラムで上がってくることもできるみたい。たくさんの観光客がトラムからぞろぞろと降りてくる。

帰りは違う道を選ぶ。こんなふうにずっと坂が続いているけれど、だからこそどの路地も美しい。

今日の晩御飯はどこで食べよう。どうやら人気のレストランは予約が必須らしい。ノープランで日本からやってきた私は、もちろん予約なんてしていないし、土曜日でこれから人気店に行くのは難しそうだった。

そんなときにこの景色を見ていたら、客引きのお姉さんに声をかけられる。明るいうちにお酒を飲みたいなと思っていたので、思い切って飲んでみることに。

他にお客さんもいるし、お姉さんはニコニコで優しそうだし、何より屋外のテーブルでなんて最高。調子に乗って大きなビールを頼んでみる。あとは、ポルトガルは海鮮が美味しいと聞いたので、タコのサラダを。

道ゆく人たちに眺められながら、そして私も彼らを眺めながら、ゆっくりとビールを飲み干す。なんていい休日なのだろう。街中どこでもタバコの煙に溢れているのはいただけないけれど、それでもすでにこの街がとても好きになりつつある。

ただの日常が、なぜか忘れ難い景色になるのがひとり旅だよなあと思う。それを誰にもいえないまま、また街歩きを再開する。

歩いていたら、いつの間にかあのエレベーターの上に来ていた。下には長蛇の列ができていたのに、空いている。これはチャンスかもしれないと、並んでみることにする。ここからの景色もとてもカラフルだった。

ちなみに、私が買ったメトロとバスに乗り放題の券は、このエレベーターにも乗れる券だった。普通に乗ろうとするとお金がそれなりにかかるので、これは嬉しい。

ディズニーのタワー・オブ・テラーを連想させるエレベーターは、細かい作りの美しい、旧型のエレベーターだ。おじいさんが動かしてくれて、がしゃんと扉が閉められたあとはゆっくり降りていく。街が左右ではなく上下につながっている、リスボンの街の坂の多さを改めて体感した。

夕暮れ時になってきたので、もう一つの展望スポットへ。Miradouro de Santa Luziaも、ホテルから15分ほどで行ける。ここにも有名なトラムが走っていて、混んでいる。バスもトラムも、見た目とはうらはらに結構アグレッシブな運転をするなあと眺めていた。

リスボンに来てから、壁の青い絵をよくみる。白や黄色のタイルの上にあしらわれているものも多く、その繊細さには驚かされる。展望台にはビールを片手に日暮れを待つ人も多かった。ここは夕陽が見える場所なんだろうかと、少し曇った空を見上げてみる。

周りにならって、私も塀の上に腰掛けてみることにする。私の前には、まつ毛の長い白人の女の子が誰かを待っているように気だるげに腰掛けていた。緊張がゆっくりと離れていき、街の緩やかな時間軸に染まっていくような、そんな午後だった。

ゆっくり街を巡るうちに、暗くなってきた。おやつの時間に軽く飲んでしまったので、今日はホテルの横のピザ屋さんでテイクアウトしよう。暗くなっても、それなりに人通りがあって怖くなくてよかった。

ホテルから歩いて1分ほど。Marie Blachère Boulangerie Sandwicherie Tarterieでピザを買う。

そしてお昼にビールを飲んだ場所の近くで、水を買うときに買ったお酒と共にホテルで二次会をすることにした。ブラックベリーのサイダーはとっても甘くて、時差ぼけの頭にどんどんお酒が回る。

本当は日記を書いておこうと思ったけれど、眠気に襲われて目を閉じる。やっぱりヨーロッパと日本の時差は大きい。ベリーサイダーも飲み切らないまま、広いベッドに倒れ込んで、1日目は終わった。2日目は歩いて回れないところに行こうと、心に決めながら眠りにつく。


2日目▼


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mayu
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