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UtaMochi/詩餅
2021年1月28日 00:07
2021-01-28十年の拘束から解放されたタヌキはとぼとぼと 力無く歩いている長い 永遠に続くような 廊下を抜けて鉄格子の向こうから 所持品を返される絶望の穴蔵から 這い出ることが出来るブザーと共に 高い塀のゲートが開き 眩しい太陽を見る足がすくんで仕方ない深呼吸をしながら ミリ単位で進む外は 穏やかな気候で陽の光は タヌキを明るく照らしているそれでも タヌキは不安で
2021年1月27日 23:57
2021-01-27おそらく 見たことのない『彼』が迎えに来るまでタヌキは 自分の記憶の中の彼を思い出していたやっと記憶の欠片を見つけるとその姿を 再び白い壁に映していた白い壁は タヌキが気の毒で仕方なく涙が止まらなくなってしまったその結果 酷い結露が起こり掃除をしなければならなくなったタヌキは 白い壁の下に置かれた雑巾で床と壁を磨いてみた擦ると 床にも壁にもび
2021年1月27日 23:32
2021-01-27タヌキは 手当てをされると自室に戻った一人一つの小さな部屋の中白い壁に見守られながら高熱と痛みに耐える日々を過ごした男は 腹いせにタヌキに暴行を加えた施設長は 男に前任者と同じ罰を与えた無理矢理 狂人と化すことになった男は次の日から 監視される側に回ったそれから タヌキは厄介者として扱われ施設を出るまで 自室に閉じこもることになった接触した者に暴力衝
2021年1月27日 19:28
2021-01-27タヌキは その時 彼がどのメーカーのコーヒーを飲みどんな漫画を読んでいたか思い出せなかったしかし 彼の顔ははっきりと見えた声も 煙草の匂いも しっかりと捉えられた(これは どっちなのだろうか?)常にタヌキはそう考える(現実だったら良かったのにな)常にタヌキはそう願うまるで ゲームの中のドットの世界だ彼の顔だけは リアルに浮かんでいる男は ぼーっとして
2021年1月27日 19:03
2021-01-27「さて あなたを迎えにくる人物ですが この名前に覚えはありますか?」男は一枚の紙をタヌキに差し出す「いや この名前…」と タヌキは悩む見覚えがあると思いたかっただが 彼は全くわからなかった「見たことあるような… ないような…」タヌキが呟くと 男はため息を吐く「まあ 無理もないでしょう 十年間もここにいたのですから あなたは この人の元に行きます こ
2021年1月27日 18:37
2021-01-27白い壁は タヌキを見つめているタヌキも 白い壁を見つめている白い壁は 彼のことを知っているタヌキの記憶を 映し出されたスクリーンネズミもリスも サメもシャチも知っているキツネもフクロウも知っている会ったことがない人物は顔を思い描くなので 白い壁はサメとシャチとキツネは ぼんやりとだけ知っている壁はタヌキに同情する多くのものを失ったと時折挟
2021年1月27日 13:19
2021-01-27タヌキは施設内の運動場のベンチに座っている周りでは 他の収容者たちが遊んでいる走り回っている者 バスケットボールを投げる者そんな者たちに囲まれて タヌキは高い塀を眺めている雀が飛んでいる 烏が飛んでいる鳴き声が会話に聞こえる タヌキは彼との会話を思い出す全てがはっきりと思い出せるこれが 本当に存在しなかったものだったら?そう考えて タヌキは恐怖を感じる
2021年1月27日 02:20
2021-01-27「本当ですか? 彼が 本当に? 僕を迎えに来てくれるんですね!」タヌキがそう聞くと 男は頬杖をついて答えた「まあ そうですね あなたはここを出れます ただ はっきりとさせておきたいことがあります あなたは 強い妄想に囚われている 十年前 あなたは道端に倒れているところを発見され この施設に保護されました 恐らく事故か何かに巻き込まれて 記憶が曖昧になっ
2021年1月27日 01:47
2021-01-27「うーん どうですかね先生 タヌキさんは 良くなってますか?」「いや ちっとも ただ 危害は加えないとは思うよ」「そうですか… 8年ほど昔 職員に暴行を加えまして」「それも 薬で緩和されているみたいだ 抑制が効くなら 近親者に面倒を見てもらえるかと」「はあ…でも彼は信頼出来ますか? タヌキさんの近親者だと言ってますが 絶対に違う」「大丈夫だよ
2021年1月27日 00:59
2021-01-27「それで…」男はメモを止め「あなたと彼は 兄丸組のトップになったと」タヌキは モジモジしながら「はい そうですよ しっかりちゃんと覚えてます」と答えた「大変だったでしょう? そんなに簡単にいくわけがない」男はメモを再開した「ええ まあ でも僕には ヒグマがいましたから」タヌキは落ち着きがない男は聞いた「ヒグマ?」「ええ 僕のことです」タヌキが答えた「頭の
2021年1月27日 00:41
2021-01-27それからというもの逃亡する場所もなく 迷った二人は街の事務所に戻り フクロウの部下たちに会いに行った事務所に入るなり タヌキはこう呼びかけた『てめえらの頭は取った!!! お前ら!!俺に殺されたくなけりゃ 俺の下で奴隷のように働け!!! 出来るやつには 金をくれてやる!!!』殺気立ったフクロウの部下たちだったがヒグマのようになったタヌキに三人が殺されると
2021年1月27日 00:09
2021-01-27彼は タヌキに連れられてフクロウの車に乗ったタヌキは もう元のタヌキに戻っていた死を回避したことを喜ぶ前に大きな謎が 彼の頭の中を旋回していた「なあ 本当に何も覚えてないってのか?」彼はタヌキに聞いた タヌキは頭を抱えて「はい 何も覚えてません フクロウさんを殺してしまいました」と答えた「まあ 殺されるところだったんだ 良かったんじゃねえか?」と彼が言
2021年1月26日 23:44
2021-01-26肩がわなわなと震えたその気迫で タヌキが縛られていた木に止まる鳥たちは一斉に逃げていったフクロウは ナイフを構えながら警戒したロープは簡単に引きちぎられた同時に フクロウはナイフをタヌキに投げたタヌキはそれを素早く避けフクロウの腹を思い切り殴った数メートル吹っ飛んだフクロウは着地と同時にナイフを投げたタヌキの膨れ上がった腕で弾き返されナイフは彼方へ
2021年1月26日 23:41
2021-01-26タヌキは サメとシャチのように木に括り付けられたしかしフクロウは 両手両足にナイフを刺すことはしなかったロープで締め付けられた手首と足首が木を一周回って 縛られた彼は手錠をかけられたまま 這いつくばっていた(ちくしょう…どうしたら良い!?)と考えながら「フクロウさん ありがとうございます」タヌキは微笑んだ フクロウは目を逸らし「彼はね… 友人があまり