詩「人生悪役ⅩⅩⅨ」

2021-01-27

彼は タヌキに連れられてフクロウの車に乗った
タヌキは もう元のタヌキに戻っていた
死を回避したことを喜ぶ前に
大きな謎が 彼の頭の中を旋回していた


「なあ 本当に何も覚えてないってのか?」
彼はタヌキに聞いた タヌキは頭を抱えて
「はい 何も覚えてません
 フクロウさんを殺してしまいました」と答えた

「まあ 殺されるところだったんだ
 良かったんじゃねえか?」と彼が言うと
『何が良かったんじゃねえか?だ
 イキリ倒しても 何にも出来なかったくせに』とタヌキは答えた

彼は「え?」と驚き タヌキの方を見た
タヌキはきょとんとして 喉を触っている
『お前らを助けたのは俺だ!!!
 感謝しろよな!!!クソ野郎ども!!!』

また タヌキの制御できない声が
タヌキから発せられた
彼は 一旦車を止めて タヌキに向かって聞いた
「なんだお前は? 誰だ?」

『俺はタヌキだぜ! 覚えておきな クソ野郎
 死に損ないのだらしねえ二人組だぜ!!
 お前ら どこに行くんだよ!!!
 クソが 何も目的なしってわけか!?』

「なんで あなたがタヌキなんですか?」
タヌキは自分自身に問いかけてみた
『俺はお前だぜ 本来のお前だ
 お前はヤりたくて仕方ねえんだ』と答えた

彼は この現象に笑いを堪えられなくなった
「ちょっと笑い事じゃないですよ!」とタヌキが言うが
タヌキ自身も この現象が面白くて仕方なく
二人はしばらくの間 車の中で大笑いしていた

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