けれどありがたいのは、毎日ここを読んでくれる方たちである。有名ではなく、さらには作品数の少ない、絵に描いたような売れない小説家なのである。そんな作家に興味を持ってくれるのだ。ぜひとも次回の作品で恩を返したい。物語の主人公は還暦過ぎのライダー。って、これだけでもう売れないわなあ。
壁にぶつかりながらも、新作の構想が進んでいる。テーマは「老いとバイク」であり「死とは忘れられた時」。「なぜバイクに乗るのか?」も書きながら考えていきたい。ということでいつものごとくバイク小説であり、しかも主人公は還暦過ぎ。なので一般ウケはしないはず。それでもこれを世に出したい。
「そんな無茶をしたら確実に寿命が縮みます」「いや、だからこそバイクに乗りたいんだ。最後の旅がしたいんですよ先生」「……じつは私もバイク好きでしてね。最後は医師の言葉より意思の強さでしょうね」そんなシーンが成立するかと現役の医師に訊ねた。バイク乗りでもある氏が言う。「あり得ます」
何年も前から温めている物語がある。やはりロードノベルである。テーマのひとつは「老い」。これは私自身が実際に戸惑っている問題でもある。ともあれ物語の中で旅をし、じっくりと考えてみたい。ただ派手さがないので、出版社としては扱いづらいだろう。版元を探す旅になるかもしれない。
私の作品にはロードノベルが多い。映画も、好んでロードムービーを観る。なぜにこうも旅物が好きなのだろうと考えるが、答えは見つからない。ただ中学生の頃に観た、映画「イージーライダー」の影響は明らかにあると思う。なにかがピタリと嵌った覚えがあるのだ。洋楽への傾倒もこの頃からだろう。
解説②「このパターンは読んだな」と思われた方も多いと思います。そうです。何度か似たシチュエーションの物語を書きました。けれどこれが大本で、他が「アレンジ」なのです。でも不思議です。舞台設定は30年前なのに、まるで現代の物語のように読めてしまいます。スマホもETCも出てこないのに。
解説①まず「長いな」と思われたでしょう。短編の定義は、じつは業界でも曖昧です。でも慣習として、400字原稿用紙で百枚までですね、短編は。今回のものは67枚ですし、やはり短編です。けれどネット界隈では、枚数ではなく文字数で計算されています。そうなりますわな、無駄な空行ばかりですし。
私はプロだがとてもマイナーな作家である。文学賞の受賞もないし、映像化された作品もない。ベストセラーもない。そして寡作である。なのでこのまま埋もれようと考えていたが、一方でこんな作家もいたのだと知ってほしい気持ちもある。ということで決めました。「はじまりへの旅」を無料にいたします。
これも思ってもいなかったことを実行する。創作大賞に応募するのだ。調べたら、条件はすべてクリアしている。もちろん、すでにプロで書いているのでデビューが目的ではない。「賑やかし」である。「枯れ木も山の賑わい」というではないか。それに、古木の枝ぶりを愛でてくれる人がいるかもしれない。
信じてよいのだろうかと、首を傾げている。なにせ20年前の作品なのだから。いや普遍的なテーマの掌編集であり内容には自信がある。よい曲は時代を超えて聴き継がれるし面白い本は読み継がれるし。ただ「私がそこに?」という戸惑いがある。ともかく息を吹き返した。皆様ありがとうございました。
復刊「千マイルブルース」の表紙を、「あれから20年」のテーマで撮影した。古くからの読者には喜んでもらえると思う。しかし呆れるのは、20年前と同じ格好でバイクに乗っているということ。「ぶれていない」というとカッコよいが、新調する金がないだけである。ともあれ老ライダー電子に見参。
意外だが、二段式ロケットだったらしい。だが高度は決して求めていない。緩やかな降下と、漂うような滞空時間が望みなのだ。また古くからのファンへの、「まだ元気でバイクに乗っているよ」というメッセージの発信でもある。なので、失速して急降下墜落消滅は、なんとしても避けたいのだが……。
初のkindle出版で反省点がいくつもある。やはりWordは縦書きに合わない。それをさらに変換するのでイメージとズレる。それとなぜか登録ジャンルが「エッセー」になっていた。けれど久しぶりの打ち上げ花火が嬉しい。一気に61288人抜きである。あとは傘を開いてゆっくり降下したい。