【登場人物】 功二(こうじ) :主人公。子供の時のあだ名は「のび太」。 優希菜(ゆきな): 憧れの女性。クラスのマドンナ。 10年後 白い塗り壁の部屋。 1人の女性がベッドの上で眠っている。 いや、眠っているのではない。 なぜならば、その眼は大きく見開かれている。 ただ、反応が無い。 今から10年前、交通事故で左脳と側頭葉を強打した彼女は、一命は取り留めたものの、そのショックで脳が萎縮してしまい、すべての感情が消え去ってしまった。 言葉を失い、記憶を失い、楽しかった
【登場人物】 功二(こうじ) :主人公。子供の時のあだ名は「のび太」。 優希菜(ゆきな): 憧れの女性。クラスのマドンナ。 4日目(日曜日) 昨日までの晴れやかな天気が嘘のような一日。 どんよりとした雲が、お昼からずっと僕を包み込んでいた。 揺れるブランコに滑り台。 僕は彼女と過ごしたあの時間を思い出すかのように、グランドの隅にある、背の低い鉄棒に腰掛けている。 ここは僕と彼女が通った小学校である。 今日は1日、太陽を見ることが出来なかった。 腕時計に目を遣ると、
【登場人物】 功二(こうじ) :主人公。子供の時のあだ名は「のび太」。 優希菜(ゆきな): 憧れの女性。クラスのマドンナ。 3日目(土曜日) 「あなたの成績では、この高校に合格することは無理ですよ」 「功二、先生の言われる通りにしなさい」 「嫌です。 どうしてもこの高校に行きたいのです」 「でも、この成績では難しいよ」 「これから、がんばります。 成績を上げます」 「私は責任をもてないですよ。 お母さん」 「功二」 ハッ!として、僕は飛び起きた。 夢だった。 夢に出
【登場人物】 功二(こうじ) :主人公。子供の時のあだ名は「のび太」。 優希菜(ゆきな): 憧れの女性。クラスのマドンナ。 2日目(金曜日) 翌日、僕は大学の廊下で彼女と思わず出くわした。 彼女とは大学こそ同じでも、学部は違っていたので、キャンパス内で出くわすことはほとんどなかった。 それに、彼女は2年生だが、1年間浪人したまだ僕は1年生である。 同じ高校生活を送れた彼女と、どうしても同じ大学に進みたかった。 成績の良い彼女を追いかけるために、僕は1年間を余分に
【登場人物】 功二(こうじ) :主人公。子供の時のあだ名は「のび太」。 優希菜(ゆきな): 憧れの女性。クラスのマドンナ。 1日目(木曜日) 「優希菜(ゆきな)さん」 「え?あ、はい」 「僕はずっと優希菜さんのことが好きでした」 とうとう、言ってしまった。 10年間! 10年間の長い時間。 ずっと僕の心の中にあった、僕の大切な気持ち。 今まで何度も飛び出そうとするのを押さえてきた、弱い僕の大切な気持ち。 ここは僕と優希菜(ゆきな)さんが通う、某国立大学のキャンパス
【登場人物】 光司(コウジ) :主人公 卓也(タクヤ) :光司の親友。高校時代の同級生 春樹(ハルキ) :光司の親友。高校時代の同級生 晃(アキラ) :光司の友達。走り屋仲間 比呂(ヒロ) :晃の年下の友達。走り屋仲間 裕美(ユミ) :光司の恋人 洵子(ジュンコ):卓也の恋人 勇次(ユウジ) :走りや仲間。光司をライバル視 第七章 卒業昭和61年1月 成人の祝日の翌日 午前2時 光司たちはいつもの小さな駐車場に戻ってきた。 気が付けば日付は変わり、光司たちの成
【登場人物】 光司(コウジ) :主人公 卓也(タクヤ) :光司の親友。高校時代の同級生 春樹(ハルキ) :光司の親友。高校時代の同級生 晃(アキラ) :光司の友達。走り屋仲間 比呂(ヒロ) :晃の年下の友達。走り屋仲間 裕美(ユミ) :光司の恋人 洵子(ジュンコ):卓也の恋人 勇次(ユウジ) :走り屋仲間。光司をライバル視 第六章 闘走昭和61年1月 成人の日 午後11時 生駒山の登山口ICにある駐車場から滑り出した、光司たち4台の車は、阪奈道路の下りコース
【登場人物】 光司(コウジ) :主人公 卓也(タクヤ) :光司の親友。高校時代の同級生 春樹(ハルキ) :光司の親友。高校時代の同級生 晃(アキラ) :光司の友達。走り屋仲間 比呂(ヒロ) :晃の年下の友達。走り屋仲間 裕美(ユミ) :光司の恋人 洵子(ジュンコ):卓也の恋人 勇次(ユウジ) :走りや仲間。光司をライバル視 第五章 友情昭和61年1月 成人の祝日 午後10時 大阪府と奈良県に跨る生駒の山。 阪奈道路からその山を駆け上がると、登山口ICが見えて
【登場人物】 光司(コウジ) :主人公 卓也(タクヤ) :光司の親友。高校時代の同級生 春樹(ハルキ) :光司の親友。高校時代の同級生 晃(アキラ) :光司の友達。走り屋仲間 比呂(ヒロ) :晃の年下の友達。走り屋仲間 裕美(ユミ) :光司の恋人 洵子(ジュンコ):卓也の恋人 第四章 恋慕昭和61年1月 成人の祝日 午後7時 光司は裕美が働くファミリーレストランの駐車場に、車を滑り込ませた。 知り尽くした店内に入ると、6席あるカウンター席の一番隅に腰を下ろした
【登場人物】 光司(コウジ) :主人公 卓也(タクヤ) :光司の親友。高校時代の同級生 春樹(ハルキ) :光司の親友。高校時代の同級生 晃(アキラ) :光司の友達。走り屋仲間 比呂(ヒロ) :晃の年下の友達。走り屋仲間 裕美(ユミ) :光司の恋人 洵子(ジュンコ):卓也の恋人 第三章 混沌 昭和61年1月 成人の日 午後6時 冬の夜の訪れは早い。 光司は夕暮れ時の淋しさが漂う時間は苦手でもあった。 小さい頃、陽が落ちて暗くなり始めると、友達と別れなければな
【登場人物】 光司(コウジ) :主人公 卓也(タクヤ) :光司の親友。高校時代の同級生 春樹(ハルキ) :光司の親友。高校時代の同級生 晃(アキラ) :光司の友達。走り屋仲間 比呂(ヒロ) :晃の年下の友達。走り屋仲間 裕美(ユミ) :光司の恋人 洵子(ジュンコ):卓也の恋人 第二章 昔日 昭和61年1月 成人の祝日 午後4時 光司はガソリン・スタンドのアルバイトを終えると、逃げるようにシビックSiに乗り込んだ。 卓也は随分
【登場人物】 光司(コウジ) :主人公 卓也(タクヤ) :光司の親友。高校時代の同級生 春樹(ハルキ) :光司の親友。高校時代の同級生 晃 (アキラ) :光司の友達。走り屋仲間 比呂(ヒロ) :晃の年下の友達。走り屋仲間 裕美(ユミ) :光司の恋人 洵子(ジュンコ):卓也の恋人 序章 令和6年1月 成人の日 午前11時 突然、けたたましく鳴り響く音が、暗闇の世界を粉々にくだけ散らした。それが、後方の車が鳴らすクラクションだと気付くのに、光司は数秒の時間を要した。交差