仲西 康至|移住|田舎|ライター

ライター、小説、新聞コラム、論文等々、書くことが好きなアラーフィフ。 現在は、移住専門FP「移住プランナー」としても活動中。 https://note.com/iju_planner/ https://ijuplanner.wixsite.com/home

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最近の記事

のび太の恋 (Sad pure love) 10年後

【登場人物】 功二(こうじ) :主人公。子供の時のあだ名は「のび太」。 優希菜(ゆきな): 憧れの女性。クラスのマドンナ。 10年後 白い塗り壁の部屋。 1人の女性がベッドの上で眠っている。 いや、眠っているのではない。 なぜならば、その眼は大きく見開かれている。 ただ、反応が無い。 今から10年前、交通事故で左脳と側頭葉を強打した彼女は、一命は取り留めたものの、そのショックで脳が萎縮してしまい、すべての感情が消え去ってしまった。 言葉を失い、記憶を失い、楽しかった

    • のび太の恋 (Sad pure love) 4日目

      【登場人物】 功二(こうじ) :主人公。子供の時のあだ名は「のび太」。 優希菜(ゆきな): 憧れの女性。クラスのマドンナ。 4日目(日曜日)  昨日までの晴れやかな天気が嘘のような一日。 どんよりとした雲が、お昼からずっと僕を包み込んでいた。   揺れるブランコに滑り台。 僕は彼女と過ごしたあの時間を思い出すかのように、グランドの隅にある、背の低い鉄棒に腰掛けている。  ここは僕と彼女が通った小学校である。 今日は1日、太陽を見ることが出来なかった。 腕時計に目を遣ると、

      • のび太の恋 (Sad pure love) 3日目

        【登場人物】 功二(こうじ) :主人公。子供の時のあだ名は「のび太」。 優希菜(ゆきな): 憧れの女性。クラスのマドンナ。 3日目(土曜日) 「あなたの成績では、この高校に合格することは無理ですよ」 「功二、先生の言われる通りにしなさい」 「嫌です。 どうしてもこの高校に行きたいのです」 「でも、この成績では難しいよ」 「これから、がんばります。 成績を上げます」 「私は責任をもてないですよ。 お母さん」 「功二」   ハッ!として、僕は飛び起きた。  夢だった。 夢に出

        • のび太の恋 (Sad pure love) 2日目

          【登場人物】 功二(こうじ) :主人公。子供の時のあだ名は「のび太」。 優希菜(ゆきな): 憧れの女性。クラスのマドンナ。 2日目(金曜日) 翌日、僕は大学の廊下で彼女と思わず出くわした。  彼女とは大学こそ同じでも、学部は違っていたので、キャンパス内で出くわすことはほとんどなかった。  それに、彼女は2年生だが、1年間浪人したまだ僕は1年生である。  同じ高校生活を送れた彼女と、どうしても同じ大学に進みたかった。  成績の良い彼女を追いかけるために、僕は1年間を余分に

          のび太の恋 (Sad pure love) 1日目

          【登場人物】 功二(こうじ) :主人公。子供の時のあだ名は「のび太」。 優希菜(ゆきな): 憧れの女性。クラスのマドンナ。 1日目(木曜日)  「優希菜(ゆきな)さん」 「え?あ、はい」 「僕はずっと優希菜さんのことが好きでした」   とうとう、言ってしまった。 10年間! 10年間の長い時間。 ずっと僕の心の中にあった、僕の大切な気持ち。 今まで何度も飛び出そうとするのを押さえてきた、弱い僕の大切な気持ち。 ここは僕と優希菜(ゆきな)さんが通う、某国立大学のキャンパス

          のび太の恋 (Sad pure love) 1日目

          R (あの時、僕たちは人生のコーナーに居た) 第七章 卒業+終章

          【登場人物】 光司(コウジ) :主人公 卓也(タクヤ) :光司の親友。高校時代の同級生 春樹(ハルキ) :光司の親友。高校時代の同級生 晃(アキラ)  :光司の友達。走り屋仲間 比呂(ヒロ)  :晃の年下の友達。走り屋仲間 裕美(ユミ)  :光司の恋人 洵子(ジュンコ):卓也の恋人 勇次(ユウジ) :走りや仲間。光司をライバル視 第七章 卒業昭和61年1月 成人の祝日の翌日 午前2時  光司たちはいつもの小さな駐車場に戻ってきた。 気が付けば日付は変わり、光司たちの成

          R (あの時、僕たちは人生のコーナーに居た) 第七章 卒業+終章

          R (あの時、僕たちは人生のコーナーに居た) 第六章 闘走

          【登場人物】 光司(コウジ) :主人公 卓也(タクヤ) :光司の親友。高校時代の同級生 春樹(ハルキ) :光司の親友。高校時代の同級生 晃(アキラ)  :光司の友達。走り屋仲間 比呂(ヒロ)  :晃の年下の友達。走り屋仲間 裕美(ユミ)  :光司の恋人 洵子(ジュンコ):卓也の恋人 勇次(ユウジ) :走り屋仲間。光司をライバル視 第六章 闘走昭和61年1月 成人の日 午後11時    生駒山の登山口ICにある駐車場から滑り出した、光司たち4台の車は、阪奈道路の下りコース

          R (あの時、僕たちは人生のコーナーに居た) 第六章 闘走

          R (あの時、僕たちは人生のコーナーに居た) 第五章 友情

          【登場人物】 光司(コウジ) :主人公 卓也(タクヤ) :光司の親友。高校時代の同級生 春樹(ハルキ) :光司の親友。高校時代の同級生 晃(アキラ)  :光司の友達。走り屋仲間 比呂(ヒロ)  :晃の年下の友達。走り屋仲間 裕美(ユミ)  :光司の恋人 洵子(ジュンコ):卓也の恋人 勇次(ユウジ) :走りや仲間。光司をライバル視 第五章 友情昭和61年1月 成人の祝日 午後10時    大阪府と奈良県に跨る生駒の山。 阪奈道路からその山を駆け上がると、登山口ICが見えて

          R (あの時、僕たちは人生のコーナーに居た) 第五章 友情

          R (あの時、僕たちは人生のコーナーに居た) 第四章 恋慕

          【登場人物】 光司(コウジ) :主人公 卓也(タクヤ) :光司の親友。高校時代の同級生 春樹(ハルキ) :光司の親友。高校時代の同級生 晃(アキラ)  :光司の友達。走り屋仲間 比呂(ヒロ)  :晃の年下の友達。走り屋仲間 裕美(ユミ)  :光司の恋人 洵子(ジュンコ):卓也の恋人 第四章 恋慕昭和61年1月 成人の祝日 午後7時    光司は裕美が働くファミリーレストランの駐車場に、車を滑り込ませた。 知り尽くした店内に入ると、6席あるカウンター席の一番隅に腰を下ろした

          R (あの時、僕たちは人生のコーナーに居た) 第四章 恋慕

          R (あの時、僕たちは人生のコーナーに居た) 第三章 混沌

          【登場人物】 光司(コウジ) :主人公 卓也(タクヤ) :光司の親友。高校時代の同級生 春樹(ハルキ) :光司の親友。高校時代の同級生 晃(アキラ)  :光司の友達。走り屋仲間 比呂(ヒロ)  :晃の年下の友達。走り屋仲間 裕美(ユミ)  :光司の恋人 洵子(ジュンコ):卓也の恋人 第三章 混沌 昭和61年1月 成人の日 午後6時    冬の夜の訪れは早い。  光司は夕暮れ時の淋しさが漂う時間は苦手でもあった。 小さい頃、陽が落ちて暗くなり始めると、友達と別れなければな

          R (あの時、僕たちは人生のコーナーに居た) 第三章 混沌

          R (あの時、僕たちは人生のコーナーに居た) 第二章 昔日

          【登場人物】 光司(コウジ)    :主人公 卓也(タクヤ)    :光司の親友。高校時代の同級生 春樹(ハルキ)    :光司の親友。高校時代の同級生 晃(アキラ)     :光司の友達。走り屋仲間 比呂(ヒロ)     :晃の年下の友達。走り屋仲間 裕美(ユミ)     :光司の恋人 洵子(ジュンコ):卓也の恋人 第二章 昔日 昭和61年1月 成人の祝日 午後4時   光司はガソリン・スタンドのアルバイトを終えると、逃げるようにシビックSiに乗り込んだ。  卓也は随分

          R (あの時、僕たちは人生のコーナーに居た) 第二章 昔日

          R (あの時、僕たちは人生のコーナーに居た)序章+第一章 葛藤 

          【登場人物】 光司(コウジ) :主人公 卓也(タクヤ) :光司の親友。高校時代の同級生 春樹(ハルキ) :光司の親友。高校時代の同級生 晃 (アキラ) :光司の友達。走り屋仲間 比呂(ヒロ)  :晃の年下の友達。走り屋仲間 裕美(ユミ)  :光司の恋人 洵子(ジュンコ):卓也の恋人 序章 令和6年1月 成人の日 午前11時  突然、けたたましく鳴り響く音が、暗闇の世界を粉々にくだけ散らした。それが、後方の車が鳴らすクラクションだと気付くのに、光司は数秒の時間を要した。交差

          R (あの時、僕たちは人生のコーナーに居た)序章+第一章 葛藤