「黒田よし子作品展 絶滅危惧種の動物達〜alive〜」で購入したナマケモノの刺繍です。黒田さんはデッサン力を生かした動物の描写のみならず、色の再現が俊逸です。ナマケモノは天敵に見つからないよう寡動で、体毛・顔面の濃淡で背景の自然に溶けこむのが糸による点描で見事に表現されています。
木口秀一さんによるブナの額にお嬢さんが描いたムササビのイラストを添えられていました。窓から幸運が飛び込むのを表した縁起がよい絵です。すると黒田よし子さんの刺繍のムササビと出会いました。黒田さんは絶滅危惧種を刺繍で表現して啓発している方です。レアなシンクロニシティにびっくりです。
川月清志さん作の一輪挿で、木のフレームに試験管がしつらえてあります。それは野辺の花の横顔を引き立てます。花は優美なS字カーブを描き立っているのが解ります。その曲線はリラックスして立った時のヒトの脊柱と相同です。見つめていると首筋と肩から体がほぐれてきて、やさしい気持ちになれます。
倉敷市船穂町の濱田伸一さんによる陶器のオルゴールです。収蔵曲はコブクロの「蕾」です。「蕾」は多義的な曲ですが、このオルゴールが奏でる「蕾」は、原料になった船穂の山土そのままに、ひなびた、滋味に溢れた味わいです。魂に直接染み込むのではなくて、ふわっと寄り添って包んでくれる感じです。
丸山昌子さんによる七宝焼きのブローチでザクロの似顔絵と言うべき造形です。果実の表面はアメリカンチェリーのような濃い赤で、ところどころ傷んで黒ずんでいるのが表現されています。中は内部構造図になっていて、実が様々な宝石として概念的に現されており、綺麗を超えた理知的な美しさがあります。