
石原路子さんのテディベアによるアルフォンス・ミッシャの世界の再現〜ジャポニズムの環流
アルフォンス・ミッシャは、チェコ出身の画家で、パリでジャポニズムに触れて、自身の芸術を形作りました。その作品の中に、花、鳥、波といった日本独特のモチーフと表現法を見ることができ、それらは変容して再び日本に環流して花開きました。
そんな、日本と深い交流関係にあったミッシャのポスターを、石原路子さんにによるテディベアの活躍で再現してみました。題材はミッシャの代表的なリトグラフによるポスター「モナコ・モンテカルロ、P.L.M.鉄道」*です。
(P.L.M.鉄道:パリ・リヨン・地中海鉄道)
アルフォンス・ミッシャ「モナコ・モンテカルロ、P.L.M.鉄道」ポスター1897年(三浦コレクション、川崎市市民ミュージアム)
ポスターでは、植物がうねって丸く描かれて、鉄道の車輪を表しています。
描かれている女性は、「風の精」です。春を運んでくる風の象徴で、人々をモンテカルロへの旅に誘います。
再現にあたって、「風の精」を演じるのは、我が家の「楽屋」にスタンバイした、石原路子さんによるテディベアです。今は秋なので、植物には、我が家のベランダで育てているムラサキシキブの枝を使いました。車輪のイメージは、ガラス作家・平井宏明さんによる小盃(手前)と、白神貴大さんによるガラスの小さな花瓶(右側)です。地中海の青色は、仲間のテディベアによる友情出演で表現しました。
この空気感はいかがでしょうか?
侘び錆びた日本の秋の風情が、私たちを旅に誘うのではないでしょうか。
皆さんに、テディベア達の演技を楽しんでいただけたら、とても嬉しいです。
*西山純子・他:ミッシャと日本、日本とオリクル. 株式会社国書刊行会, 2019. P53